オープンデータとは何か

2012年9月26日 in Special


オープンデータとして代表的なものは、公的機関が保有しているデータです。OECDは公的機関情報(Public Sector Information)を「情報プロダクトやサービスを含む情報であり、政府あるいは公的機関によって、または政府あるいは公的機関のために、生成され、作成され、まとめられ、加工され、保存され、維持され、広められ、あるいは資金提供を受けたもの」と定義しています。さらにドイツでは「ハンブルク透明化法」によって、ハンブルク市当局が50パーセント以上の支配権を持つ擬似公的機関や民間組織に対しても、公的機関と同様にデータ公開を義務付ける法案が議会を通過しており、データを保有する主体の範囲を拡大しています。

オープンデータ運動が進んでいる欧州では、税金などの公的な資金によって作り出されたデータについても、民間に広く公開するべきであるという考え方が一般的になっています。例えば欧州委員会(European Commission, EC)は、2012年7月17日に研究成果のオープン化に大きな一歩を踏み出し、2014年については、研究やイノベーションを促進するフレームワークであるHorizon2020から資金提供を受けたすべての論文に対して、”Gold”か”Green”のオープン化を義務付けました。”Gold”とは、出版社によって直ちにオンラインでアクセスできるようにするもので、”Green”とは一部を除いて基本的に6ヶ月以内にオープン化するものです。ECは、論文だけでなく、その基礎となったデータについてもオープン化する実験も開始するとしています。

さらに欧州においては、データ作成コストを誰が負担したかに関わらず、データに公益性があるかどうかによってデータを公開するか否かを決めるべきであるとする考え方も現れています。ロイターが報じるところによると、欧州医薬品庁(European Medicines Agency, EMA)は、臨床試験データの公開に踏み切ることを決定した模様です。これまで医薬品メーカーがひた隠しにしてきたデータを、その規制庁本体であるEMAが公開に踏み切ることで、年間1兆ドルと言われる製薬業界は、大きく揺さぶられることが予想されています。従来EMAは、製薬業界の費用負担で実施された臨床試験データは企業秘密であるとの立場でしたが、欧州オンブズマンが臨床試験データは公益性が高く、それを秘密にしておくことは公共の利益にそぐわないと裁定しました。臨床試験データという価値あるデータが公開されることによって、医療・製薬関係の分野でイノベーションが加速されることが期待されています。

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Tomihiko Azuma

Written by

Chief Fellow, Institute for International Socio-Economic Studies (株式会社国際社会経済研究所 主幹研究員)