オープン・データの便益-経済研究による証拠

2012年10月14日 in Special


9月に開催されたOpen Knowledge Festival 2012 in September を振り返ってみると至るところで「オープンさ」が話題にのぼった印象だ。オープン・サイエンスオープン言語学オープンさにおける性差と多様性に関するトピック、さらにはオープン・プロムナードオープン・サウナといったイベント等々。オープン・ナレッジとオープン・データはありとあらゆるところに登場していた感がある。

しかしながらオープン・ナレッジ・コミュニティの向こう側を見据えると状況は一変する。例えば経済においては、多くの人は「オープン・データ」「オープンさ」「オープンな経済」といったものが正確に何を意味するかを理解していない。実際のところ気にかけてすらいない。よくある反応はこのようなものだ: 「ああ、面白くて大事そうだね、それで?どうしてこの俺が気にしなくちゃいけないのかい?」

この記事では、筆者は経済において情報公開が持つに至った積極的な役割の確実な証拠を提示し、エコノミスト -プロアマ問わず- を巻き込んでオープンさの考え方をメインストリームに持ち込むアイディアを描き出してみたいと考えている。

オープンな情報の現実世界におけるインパクト

情報をパブリックにアクセスできるようにすることで、公共サービスの配送を改善することが可能である。汚職がはびこる国々では、サービスと資金は最前線の提供者に届かないことが多い。さらに、仮にサービスが人々に届いたとしても、提供されるサービスの質はしばしば衝撃的なほど貧しいものである: バングラデシュ、エクアドル、インド、ペルー、そしてウガンダからの調査結果によれば、学校の先生や保健員の欠勤率は20%から30%にのぼる。多くの場合、スタッフへの訓練は不十分である。

サービス配布にデータをリリースすることで、汚職を減らし、公共サービスの改善を支援することが可能だ。ウガンダでは、研究者がランダムに選んだ一部の学校に対して地方紙を通じて資金のデータを親たちに情報提供した。その結果、汚職は著しく減少し、一方で学校教育への支出は実質的に改善した。健康の配布再分配ポリシーにおける類似の証拠は、情報の提供は国民が公共サービス提供者を訓練したり、サービスの質を高める支援ができるということを示唆している。

情報はまた悪徳政治家を白日のもとに晒すことができる。例えばブラジルの連邦政府は、自治体をランダムに選んで会計検査を行い、監査レポートをメディアへリリースし始めた。研究者は会計検査の支出は政治家が再選される可能性に大きなインパクトを与えたことを発見した: これらは汚職は投票によって罰せられるということを明らかにし、そのインパクトは情報の発信を地方のラジオ局が好んだエリアでいちばんよく宣伝された。

南インドの漁夫のは、情報が市場をいかに改善できるかという別の例だ。ケララでの携帯電話の採用事例から、研究者は携帯電話をを通じた情報へのアクセスは漁夫が市場でその水揚げをいちばん高い(そしていちばん魚の需要がある)ところで売るのを支援した、という確信的な証拠を発見した。

最後に、透明性の利点は汚職の削減や情報コストの低減にとどまるものではない。ある比較研究によれば、透明性 -パブリックにリリースされたマクロ経済情報の確度と頻度で計られる- はソブリン国債市場における借入コストの低減につながるものだという。オープン・データは多くの方法、多くの異なる文脈で費用を肩代わりできるものである。

これらは、最先端の経済研究が多様な範囲の状況の中でオープンさによる便益をいかに識別したかの、ごく一部の例である。筆者が説明した事例は相互関係性に基づくものではなく、注意深く確立したカジュアルな関係性によるものであり、 – 少なくとも研究対象の文脈において – 情報に関わる事柄についてはいささか疑問の余地がある。
おそらく最も重要なことは、これらの事例はオープン・データが幅広い意味において理解されなければならないということも明らかにしてくれたという点である。これらの介入はリンクト・データを活用したものではなく、FacebookやTwitterを通じてシェアされたCSVも使っていない – しばしば、これらの介入は究極的には人々の日常生活の改善を支援するシンプルな解決法である。

原文(2012/10/5 Open Knowledge Foundation Blog 記事より):
Original post The Benefits of Open Data – Evidence from Economic Research / Guo, licensed under CC BY 3.0.

Leave a reply

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

Shu Higashi (東 修作)

Written by

Georepublic Japan に勤務。OKJP事務局長及びオープンストリートマップ・ファウンデーション・ジャパン 事務局を兼務。Code for Japan設立発起人。内閣府電子行政オープンデータ実務者会議利活用推進WG構成員。 OpenStreetMapという自由な世界地図を作る活動をきっかけにオープンデータの活動に関わりはじめました。主な関心領域はデータのライセンシング、コミュニティ活動、市民参画、国際連携など。 投稿記事の内容はあくまで個人としてのものであり、所属する組織を代表する見解ではありません。