オープンデータのライセンスを考える(3)データとデータベース

2012年10月21日 in Special


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次に「データ」と「データベース」の違いをみてみよう。Wikipedia によれば「データベース」の定義は以下の通り。

データベース(英: database, DB)は、特定のテーマに沿ったデータを集めて管理し、容易に検索・抽出などの再利用をできるようにしたもの

つまり特定のテーマに沿ったデータの集合体が「データベース」であり、再利用しやすいように構成されている。画像、音声、映像、論文などであればデータそれ自体に加えて内容を把握するために日付、タイトルといったいわゆるメタデータ(あるいはリファレンス)も付加されるであろう。

日本の著作権は「データベース」を以下のように捉えている。

データベースとは
・「論文、数値、図形その他の情報の集合物であって、それらの情報を電子計算機を用いて検索できるように体系的に構成したもの」(2条1項10号の3)
データベースの著作物
・「情報の選択又は体系的な構成」に創作性があるかどうかで著作物に該当するかどうかを判断(12条の2第1項)

つまりデータベース内の情報の選択や体系的な構成に創作性がある場合は、内容が事実情報であるか否かに関わらず著作物と判断されるのだ。例えば「日本のIT業界に影響を与えた100人」というメタデータ(リファレンス)のデータベースがあり、独自の視点で100人を選んでいる場合には著作物とみなされる可能性が高い。逆に言えば、事実情報を単純に、例えば発生順やあいうえお順で並べたものは著作物とはみなされない。これが日本の著作権である。

一方、ヨーロッパには「データベース権」というデータベース固有の権利が存在する。データベース指令(その修正、及び加盟国による国内法への置き換えを含む。)の第3章(スイ・ジェネリス特別権)に基づく権利を意味し、コンテンツの全体又は実質的部分の抽出及び再利用、並びに第10.4条に基づいて関連する法域で行使可能な類似の権利を含む。

「データベース権」とはすなわち著作権でカバーされない事実情報であっても、相応のコストを掛けて収集したデータの集合に一定の権利を認めるものである。EU発祥で、日本やアメリカではまだ認められていない。

オープンデータの基本理念のひとつはデータの利用者を可能な限り制限しないことである。すなわちそれは国の垣根を超えた活動であることを意味する。こういった国際的な動きであるオープンデータ、オープンガバメントを語る上で「データベース権」は避けて通れない概念であるが、上述の通り国により法制度のカバー範囲が異なるので、各国でその差異を理解し、ギャップを埋めるという作業がどうしても必要となってくる。本稿の主眼はそこにある。

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Shu Higashi (東 修作)

Written by

Georepublic Japan に勤務。OKJP事務局長及びオープンストリートマップ・ファウンデーション・ジャパン 事務局を兼務。Code for Japan設立発起人。内閣府電子行政オープンデータ実務者会議利活用推進WG構成員。 OpenStreetMapという自由な世界地図を作る活動をきっかけにオープンデータの活動に関わりはじめました。主な関心領域はデータのライセンシング、コミュニティ活動、市民参画、国際連携など。 投稿記事の内容はあくまで個人としてのものであり、所属する組織を代表する見解ではありません。