オープンデータのライセンスを考える(4)データベースを巡る国内の判例
2012年10月21日 in Special

Photo (c) Extraordinary Chambers in the Courts of Cambodia, licensed under CC BY.
データベースを巡る国内の判例には以下の様なものがある。
(出典:http://www.softic.or.jp/YWG/reports/dbrelated.html)
◆オフィスキャスター-デジタルピクチャー事件
情報分類体系について創作性を認定し、データベースの著作権(複製権)を侵害するものと認められた。◆日本電信電話-ダイケイ事件
タウンページのデータを元に作成された職業別データベースが著作権を侵害するとして損害賠償を求めたもの。
職業分類体系によって電話番号情報を職業別に分類した点において,タウンページデータベースのデータベースの著作物性を認定。◆アサバン印刷-東日本電信電話事件
東京23区を地域別に6分冊化した職業別電話帳についてタウンページがその編集著作権を侵害しているとして損害賠償を請求したもの。
編集著作物として狭い範囲の創作性を認定したが、一部複製だけでは権利侵害とならず。◆翼システム-システムジャパン事件
データベースの著作物として創作性は否定されたが、民法不法行為として損害賠償を認定。
これらの判例からは、著作物性の認定だけが絶対条件ではなく、複製の度合いや他の法令(不法行為法)との組み合わせで、総合的に判断されるケースがあることが分かる。
翼システム-システムジャパン事件の例では、著作物性を認定されない(例えば事実情報のみの)データベースであったとしても損害賠償を認定される可能性があることが示されている。
言い換えると、日本には「データベース権」は無いが、著作権法以外の法令により事実情報だけのデータベースであっても保護される可能性があると言える。
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