Total Weather Insurance、10兆ものシミュレーションポイントでリスク分析

2012年10月22日 in Special


アメリカのThe Climate Corporationは、国立気象サービス(National Weather Service)から気象データを、農務省から収穫量と土壌データとを得て、新しい農家向け保険商品Total Weather Insuranceを開発しました。The Climate Corporationは、2006年に元Googleの従業員によって設立された企業で、元の名前をWeatherBillといいます。Total Weather Insuranceはオープンデータビジネスにおける新サービスの代表的な事例の1つです。

出典:(※1)

The Climate Corporationは、国立気象サービスがリアルタイムに提供する地域ごとの気象データと、農務省が提供する過去60年の収穫量データ、さらに2.5平方マイル単位で取得した14テラバイトにも及ぶ土壌情報などを活用して、地域や作物ごとの収穫被害発生確率を独自技術で予測します。この予測結果に基づいて、それぞれの顧客である農家あるいは農場ごとに保険をカスタマイズして販売しています。

出典:(※2)

Total Weather Insuranceは、農作物の収穫を妨げる原因となる悪天候に対して、年間を通じた収入補償を提供する保険であり、トウモロコシ、大豆、ソルガム(※3)を対象としています。保険によってカバーされるリスクは作物ごとに違いがありますが、例えばトウモロコシに対しては、種まき期の降水量、過剰降雨、干ばつ、日中の熱による影響、夜間の熱による影響、冷害や凍結などの危険要因が保険の対象となっています。

Ttotal Weather Insuranceを可能にしているのがFarm-Level Optimizerという技術です。この技術によって、作物、場所、土壌のタイプが異なる個々の生産者の収穫量を左右する気象条件を動的に判定することが可能になり、その生産者の農地を保障するのに最適な、年間を通じた保険を自動的にカスタマイズして作り出しています。

The Climate Corporationは、250万ヶ所から得る気象測定データと、主要な気象予測モデルから得られる日々の気象予報データとを、1,500億ヶ所の土壌観察データと合わせて処理することで、10兆にも上る気象シミュレーションポイントを生成し、保険の価格決定やリスク分析に活用しています。The Climate Corporationは、任意の時点で50テラバイトのライブデータを取り扱うことができる能力を備えています。

The Climate Corporationはこうした膨大なデータを、巨大なデータセットを分散コンピューティングによって高速処理するフレームワークであるMapReduceによって処理しており、システムとしてはアマゾンのAmazon Web Services(AWS)を利用しています。The Climate Corporationには数学、統計、神経科学などの博士号を取得したデータ解析の専門家が10数名在籍しており、こうしたビッグデータの解析業務に従事しています。

(※1)http://radar.weather.gov/radar.php?rid=box&product=N0R&overlay=11101111&loop=yes

(※2)http://www.climate.com/growers/total-weather-insurance/corn

(※3)イネ科の一年草の植物・穀物。熱帯アフリカ原産。主要な栽培食物のひとつであり、穀物としての生産面積ではコムギ、イネ、トウモロコシ、オオムギに次いで世界第5位である。熱帯、亜熱帯の作物で乾燥に強く、イネ、コムギなどが育たない地域でも成長する(Wikipediaより)

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Tomihiko Azuma

Written by

Chief Fellow, Institute for International Socio-Economic Studies (株式会社国際社会経済研究所 主幹研究員)