オープンデータのライセンスを考える(10)ODbLの主要概念

2012年10月29日 in Special


ODbLでキーとなる用語をもとに、その背景にあるデータベース権に関わる概念を見て行こう。

派生データベース(Derivative Database)

著作物でいえば二次的著作物に相当するもの。後述の「集合データベース」と対をなす概念であり、ODbLの継承が必要なデータベースを指す。まるごとコピーして改変した場合だけでなく、実質的な部分であれば一部の利用であっても該当する。

実質的(Substantial)

「実質的」な利用か否かの判断を一律に決めることは難しく、ケースバイケースでの判断とならざるを得ないだろう。OpenStreetMap(OSM)では暫定的に「実質的でない」ものの例として以下のようなものを挙げている。(詳細はOpen Data License/Substantial – Guideline 参照)

  • 100件未満の地物。
  • 100件以上の地物であっても、「抽出」が非系統的であり、明らかにあなた自身の質的な基準、例えば友人と共有するための個人的なマップのためにあなたが訪れたすべてのレストランの位置の抽出、あるいはあなたが書いている本の付録として選んだ歴史的な建物の位置の利用、といった場合に限り、我々は非「実質的」とみなします。あるエリア内の全飲食店や、全てのお城の系統的な抽出は系統的なものと考えられます。
  • 住民が1000人までのエリアに関連する地物。ヨーロッパの村落などのような小さくて人口密度の高いエリアや、例えばオーストラリアのブッシュの1区画のような広域で人口密度の低いエリアなどが考えられます。

集合データベース(Collective Database)

ODbLを継承する必要が無いケースを明らかにするための概念のひとつ。何をもって「集合データベース」と判断するか、その基準には議論の余地がある。OSMでは現在のところ「名前」や「位置」のようなシンプルな判断基準だけで他のデータベースとゆるやかに連携している場合は「集合データベース」と考えられる、とされている。ODbLでライセンスされたデータベースと他のデータベースを組み合わせたサービス提供等を考える場合には、「集合データベース」とみなされる使い方であれば、他のデータベースにODbLを適用せずに利用することができる。 (詳細はLegal FAQ の3d参照)

製作著作物(Produced Work)

オリジナルのデータベース、派生データベース、又は集合データベースの一部分としてのオリジナルデータベースについて、そのコンテンツの全体又は実質的部分を使用することによって発生した著作物(画像、視聴覚資料、テキスト、又は音声など)を意味する。ODbLの文脈で頭にProduced と付いているのは、データベースを元に製作された著作物の意味合いがある。例えば画像としての地図を指し、データベースではないのでODbLの継承条項は及ばない。由来となったデータベースの表記は必要だが、製作した人が新たにライセンスを設定することができる。(詳細はLeagal FAQ の3c あるいはProduced_Work – Guideline を参照)

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Shu Higashi (東 修作)

Written by

Georepublic Japan に勤務。OKJP事務局長及びオープンストリートマップ・ファウンデーション・ジャパン 事務局を兼務。Code for Japan設立発起人。内閣府電子行政オープンデータ実務者会議利活用推進WG構成員。 OpenStreetMapという自由な世界地図を作る活動をきっかけにオープンデータの活動に関わりはじめました。主な関心領域はデータのライセンシング、コミュニティ活動、市民参画、国際連携など。 投稿記事の内容はあくまで個人としてのものであり、所属する組織を代表する見解ではありません。