クライシスレスポンス用アプリ・サービス事例4 OSM Tasking Manager

2012年12月10日 in Special


内輪のツールで恐縮だが、今回はHOT(Humanitarian OpenStreetMap Team:人道支援OpenStreetMap チーム) が使っているOSM Tasking Manager を紹介させて頂く。

大規模災害・政治的な迫害・疫病など、国連や赤十字などが緊急支援を始めるような事象が起きた場合、OpenStreetMap で該当エリアの地図を描くことで支援作業の手助けをできることが多い。緊急支援が必要な場所は、マップが整備されていないことが多いのだ。
そんな時、HOTチームではマッピング(地図描き)の作業をマッパー(地図の描き手)が作業しやすい適度な大きさに分割するOSM Tasking Manager というサイトを立ち上げる。

実際の例をご紹介しよう。
HOTチームは現在イギリスの「国境なき医師団」とコンタクトを取っており、彼らから見て優先度の高い地域からマッピングを進めようとしている。この中でも優先度が高い地域としてコンゴ民主共和国が挙げられた。コンゴでは内乱と治安悪化が続き、国内難民が発生しており、多方面での支援が必要な状況下にある。これを受けて下記2箇所のマッピングタスクがつい最近アクティベートされた。

1.ゴーマ(Goma)の西側
2.ブカブ(Bukavu)付近

上図はGoma西側の例だが、地図が適当な大きさの矩形で区切られている。白(透明)は未処理、赤は処理済、緑は処理済かつ検証済、白抜きのオレンジは現在処理中を表す。マッパーは未処理の矩形の中から好きなものを選んでマッピングし、終わったら処理済にして次の矩形に取り掛かる。まさに「マイクロタスキング」である。(尚、このサイトで作業に参加するにはOpenStreetMap で予めアカウントを作成しておく必要がある)

下図は選んだエリアを編集する画面だ。flash アプリなのでPCとブラウザさえあればどこでも編集できる。OpenStreetMap ではマイクロソフト社のBing 衛星画像を地図トレース用として利用する許可を受けているので、それをなぞり描きすることが主な作業となる。
ひとつの矩形は概ね1時間程度でマッピングできるサイズになっているため、自分の使える時間で、1日にひとつかふたつこなしていく、といった作業となる。OpenStreetMap の登録ユーザ数は世界で年内にも100万人になろうかというところだ。ひとりあたりの作業はごくわずかであっても、参加者が多ければそのパワーは計り知れないものになる。

出典: OSM.org

こういった作業を経験しておくと、いざコトがあった時にスムーズな対応が可能だ。日本にはウェブで使えるマップがいろいろあるために、改めてマッピングする必要性は一見無さそうだが、それは都市部の話で、山間部や離島では使えるマップが紙でしか無いといったケースがよくあるのだ。

クラウドソーシングを地で行くOpenStreetMap の使い方はあなた次第だ。こういった活動に興味ある方はぜひマッピングに参加してみて欲しい。

またOSM Tasking Managerはオープンソースとしてgithubで公開されているので、このソースをベースに別のアプリケーションを開発することもできる。地図を区切って、何らかの作業を分割するような使い方であればいろいろ応用できると思われる。興味ある方はその応用にもトライしてみて頂きたい。

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Shu Higashi (東 修作)

Written by

Georepublic Japan に勤務。OKJP事務局長及びオープンストリートマップ・ファウンデーション・ジャパン 事務局を兼務。Code for Japan設立発起人。内閣府電子行政オープンデータ実務者会議利活用推進WG構成員。 OpenStreetMapという自由な世界地図を作る活動をきっかけにオープンデータの活動に関わりはじめました。主な関心領域はデータのライセンシング、コミュニティ活動、市民参画、国際連携など。 投稿記事の内容はあくまで個人としてのものであり、所属する組織を代表する見解ではありません。