23andMe、遺伝子分析サービスとデータ駆動型スパイラルアップモデル2

2012年12月20日 in Special


(1からの続き)

2012年9月17日、23andMeは顧客から集めた遺伝子情報を公開すると発表しました。23andMeは、顧客の許諾を得た上で名前やコンタクト情報などを除いた遺伝子情報をデータベースに蓄積し、サードパーティなどにAPIを通じた無料提供を開始しました。この遺伝子情報データベースの無料公開によって、23andMeは遺伝子情報という非常に価値の高いデータの提供者ともなったのです。ここに23andMeのデータ駆動型スパイラルアップモデルが登場します。

23andMeの仕組みは次の通りです。まず、自己の遺伝子に関心の高い顧客が23andMeの遺伝子分析サービスを利用します。23andMeは顧客から承諾を得た上で、遺伝子分析サービスによって分析した遺伝子情報をデータベースに蓄積します。次に23andMeは、遺伝子情報データベースをAPIを通じてサードパーティなどに無償で公開し、遺伝子情報を活用した新サービス開発を促します。こうしてサードパーティが開発したサービスの利用者の中から、新たな23andMeの顧客を生み出し、遺伝子情報データベースをさらに充実させていくことができるのです。

 

23andMeのデータ駆動型スパイラルアップとも呼べるモデルは、オープンデータビジネスにおける新しい可能性を示しています。従来のオープンデータビジネスは、公的機関が税金を使って収集したデータを民間企業が活用してサービス化することに主眼を置いてきました。しかし、23andMeにおいては、データ提供者はサービス購入者である一般市民であり、データ収集を価値のあるサービス提供の一環として顧客に負担をかけずに行っています。23andMeは市民から得たデータをAPIで公開し、他の企業が23andMeの遺伝子情報を自由に活用して新しい多様なサービス開発を促しています。

ここで重要な点は、市民に対して遺伝子情報を活用した様々な新サービスを提供することによって遺伝子に対する関心を高め、23andMeの顧客となる可能性を拡げるとともに、データ提供者としての市民を増やし、全体として正のフィードバックループが成立していることです。

23andMeは、遺伝子情報が増えれば増えるほど分析精度を向上させることができ、それはサービス購入者のニーズにまさに合致しています。企業は自らが蓄積し保有しているデータについて、オープン化することでその価値をさらに高めることができる可能性があります。

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Tomihiko Azuma

Written by

Chief Fellow, Institute for International Socio-Economic Studies (株式会社国際社会経済研究所 主幹研究員)