データドリブンソサエティ1 地方公共団体から見たオープンデータの意味

2012年12月26日 in Special


オープンデータの目的としてよく挙げられるのが、①行政の透明化と効率化、②公共サービスの向上、③経済の活性化の3点です。これら3つはいずれも重要であり、それぞれにおいて以下のような活動が展開されています。

  • 行政の透明化と効率化を図るために、行政の支出に関するデータを公開する
  • 公共サービスの向上を図るために、市民が近隣の問題点などを通報できるようにする
  • 経済の活性化を図るために、オープンデータを活用した新ビジネスを育成する

しかし、「オープンデータの目的」という捉え方はデータホルダーからの見方であり、「こんな活用方法が考えられるはず」という、オープンデータの活用可能性に重きを置いたものです。いわゆるシーズ指向の考え方と言っても良いかもしれません。

一方で、複数の地方公共団体の関係者の方々と話をさせていただいた経験からわかったことは、地方公共団体では、まず具体的な地域や住民が目の前にあり、そこには解決しなければならない具体的な課題が存在し、それらを解決するためにオープンデータはどんな意味を持つのか、という捉え方をしていることです。こちらはニーズ指向の考え方とも言えます。

現在、政府などが実施しているオープンデータ推進のためのさまざまな取り組みの多くは、シーズ指向型に偏る傾向があります。「政府もニーズを聞いているではないか」と反論されそうですが、それは「オープンデータの活用可能性」を聞いていることが多く、現実に存在する具体的な課題を解決するために、オープンデータはどのような役割を果たすのか、果たさないのか、あるいはどんな使い方をすれば役立つのかという視点が足りていません。

こうした地方公共団体から見たオープンデータにおいて、最も問題だと思われるのは、先に挙げた3つの目的が何の連携もなく、バラバラに、しかも強力に実行されることです。

行政の透明化を図るために税金の使途を明らかにすることは意味がありますが、その目的が行政職員の怠慢を糾弾することだけに終われば、市民と行政の対立はより一層深刻なものとなるでしょう。市民が参加できる機会を増やす取り組みも様々な形で行われていますが、その成果が政策などに具体的に反映されなければ、市民と行政が協働で何かを成し遂げようという気持ちは失われていきます。実は日本でも、公的データを活用したビジネスは既に多数存在していますが、それらのビジネスと地域や住民との接点はほとんどなく、ビジネスサイドにも地域への貢献という意識は見られません。

つまり、3つの目的にための施策を、お互いにバラバラに強力に推し進めることは、地方公共団体にとっては逆効果になりかねないとも言えます。都道府県や市町村などの地方公共団体において、それぞれの地域社会の課題を解決し、より住みやすい地域社会をつくるために、オープンデータはどんなシステムの中で、どんな役割を果たすのかについて考えてみたいと思います。

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Tomihiko Azuma

Written by

Chief Fellow, Institute for International Socio-Economic Studies (株式会社国際社会経済研究所 主幹研究員)