データドリブンソサエティ2 オープンデータが生み出す好循環

2012年12月28日 in Special


オープンデータでは、①行政の透明化と効率化、②公共サービスの向上、③経済の活性化の3点が目的として挙げられます。しかし本来、これらの3つの目的は独立したものではなく、お互いに深い関係を持っており、そうした相互作用を理解した上でオープンデータ運動を進めていくことが重要です。特に地方公共団体においては、こうした関係性を理解して上手く活用することが、直面している課題を解決するための大きな力となります。

データドリブンソサエティとは、データをオープンにすることによって地域社会が活性化されることを表した言葉です。データドリブンソサエティにおける地域活性化は公的データのオープン化から始まり、公的な領域に関係する4段階のプロセスを通じて展開されていきます。

データのオープン化とは、公的機関などが保有している公的なデータを公開することです。データドリブンソサエティは、ここから始まります。

データのオープン化によって公開されたデータに対して興味や疑問を持った市民は、さらに「なぜこのようなデータが出てきたのか」「このデータはどういう過程を通じて作成されたのか」ということを知りたいと思うようになります。例えば予算値というデータに対して、予算委員会等での審議過程、各議員の発言、議会での投票結果など、データを生み出してきたプロセスについてもオープンにして欲しいと要求するようになります。これがプロセスのオープン化をもたらします。

データドリブンソサエティ

データとそれを生み出してきたプロセスを目の前にした市民は、今度はプロセス自体に何らかの関与をしたいと思うようになります。例えば、自分の選挙区から選出された議員、あるいは自分が投票し当選した議員が、自分の意図とは違う行動をしていることがわかれば、なぜその議員がそのような発言や行動をしたのかを知りたくなり、自分たちの考えをストレートに議員に伝え、議論したいと願うようになります。この欲求がコミュニケーションのオープン化を引き起こします。

コミュニケーションのオープン化によって市民の声は格段に行政に届きやすくなり、市民のニーズは明らかになります。これは行政にとっては間違いなく良いことなのですが、行政のリソースには限りがあり、すべてのニーズを満たすことは現実的にはできません。一方市民は、データ、プロセス、コミュニケーションのオープン化を通じて行政に対する関心を高め、行政に対して自らがもっと積極的に関わりたいと思うようになります。行政のリソースに限界があることも、そしてそれが行政の怠慢によるものではないことも市民は知っており、自分たちでできることは自分たちでやるという気持ちが生まれ、最終的にアクションのオープン化へとつながります。オープン化された活動の場は企業に対しても開かれており、新しいビジネスが生まれてきます。

データドリブンソサエティでは、データのオープン化がプロセスのオープン化をもたらし、さらにコミュニケーションのオープン化、アクションのオープン化へと拡がり、さらに市民や企業が公共に参画することによってデータのオープン化がさらに進むという好循環が起こります。実はここで説明した好循環メカニズムは、欧州などでは地道な市民活動によって獲得してきたものでもあります。それについては次回説明したいと思います。

 

 

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Tomihiko Azuma

Written by

Chief Fellow, Institute for International Socio-Economic Studies (株式会社国際社会経済研究所 主幹研究員)