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絵でみるサンタクロース史

2012年12月14日 in Special

Public Domain ReviewOpen Knowledge Foundation のプロジェクトのひとつで、著作権切れのちょっと変わった作品を紹介しています。今回取り上げられたのは「 絵で見るサンタクロース史」。

St. Nicholas “Lipensky” as he appears on a Russian icon dated to 1294 from Lipnya Church of St. Nicholas in Novgorod – Source.

コーポレートカラーとの類似から現在のサンタクロース像の起源をコカコーラ社による広告(1930~1940年代)とする説があるそうですが、その絵を時系列で並べてみると明らかに間違いであることが分かります。

1914 Japanese illustration featuring Santa, artist unknown – Source

創作物たる絵画から、製作年というわずかな事実を元に、面白いことが分かるものですね。

米政府のオープン戦略について考える

2012年12月13日 in Special

出典:https://petitions.whitehouse.gov/

米政府の公式サイトWhitehouse.govはオープンソースのDrupalを利用し、データポータルdata.govOpen Government Platform(OGPL)としてオープンソース化されています。また、政府の電子請願システムWe the Peopleについては、誰でも簡単に電子請願システムがつくれるようにと”white label“版が新たにリリースされます。

米政府内の開発者とオープンソースコミュニティとの関係は極めて良好で、活発に交流しています。こうしたシステム開発において、従来型SIerの存在価値が問われています。プロプライエタリなシステムを構築し、長期に渡って顧客を囲い込むことは難しくなっています。

データについてもオープン化は似たような現象を引き起こします。データを囲い込み、データの非対称性だけを強みとしている組織は非常に苦しい状況に置かれます。シンクタンク、調査機関、研究所など、真に創造性を発揮して新しい価値を生み出せないところは淘汰されてしまうのではないでしょうか。

米政府のオープン戦略を見ると、今のレベルにぬくぬくと安住することを許さない「創発」に対する強い思いが感じられます。当たり前になったものは全員が自由に利用できるように開放し、全体の底上げをはかり、そこから更に上を目指すことに注力できる(あるいは、せざるを得ない)状況を作り出しています

参考:Open Source and the Power of Community

 

ドイツのデジタル図書館がオープン、しかし課題も

2012年12月13日 in News

2012年11月29日、ドイツのデジタル図書館(DDB)がオープンしました。DDBは2千万点を誇るあのEuropeanaのドイツ公式アグリゲーターでもあり、そのデータ品質はEuropeanaよりもはるかに優れています。

出典:http://www.deutsche-digitale-bibliothek.de/

しかし、問題はライセンスです。

  • 自由なアクセスは認めるが、著作権等はDDBならびにデータ提供者が有する
  • 商用利用する際には、個々の著作権者から承諾を得なければならない

EuropeanaはCC0(Public Domain)を採用してます。DDBはその公式アグリゲーターであるにも関わらず、こうした制約の強いライセンスを採用したことは理解に苦しみます。さらにDDBの550万のデータのうち、300万を提供しているLandesarchiv Baden-Württemburgは、既にEuropeanaにもデータを提供しており、これらのデータをEuropeanaから利用する場合はCC0が適用されます。

文化遺産や科学的な業績をオープンなライセンスで自由に使えるようにすることのメリットは、Europeanaでさんざん議論され、その結果多くの機関から賛同を得てきました。DDBにはぜひ、Europeanaの歴史から学んで欲しいものです。

 

原文:Why the German Digital Library should learn from Europeana

 

気象庁が「防災情報XMLフォーマット形式電文」をホームページから公開

2012年12月12日 in News

気象庁は、気象情報のより一層の利活用の推進を図るため、気象庁ホームページから「防災情報XMLフォーマット形式電文」のデータ公開を開始するとアナウンスしました。公開は2012年12月17日から開始される予定です。

利用上の留意事項、必要なシステム、XMLフォーマット仕様、技術情報など詳細は下記をご覧ください。

気象庁防災情報XMLフォーマット形式電文の公開(試行)について
http://xml.kishou.go.jp/open_trial/index.html

Mastodon C、環境に配慮したビッグデータ・クランチング

2012年12月12日 in Special

Mastdon Cは、イギリスのOpen Data Instituteが育成中のスタートアップを1つです。ちなみにMastodonとは、辞書によると漸新世から更新世にかけて生息した象に似た古代生物のことだそうで、Cは恐らくCloudだと思います。

Mastdon Cは以下の3つをビジネスの柱にしています。

  1. 顧客が保有しているデータについて、データ解析や機械学習などの最先端の技術を活用し、収益を上げる方法をコンサルティング
  2. “Kixi”という、Hadoopによるビッグデータ処理クラウドサービスを提供、HDFS, Hive, Thrift, Hbaseなども利用可能
  3. 各地のクラウドサービスのコストと二酸化炭素排出量を示し、顧客の好みに応じたデータセンターを選択できるように支援

1や2のサービスは、他にも多くの企業が提供しており、飛びぬけて素晴らしいという可能性はあるものの、それほど珍しいものではありません。Mastodon Cの特徴は、やはり3の環境に敏感な利用者が自分の好みに応じてコストと二酸化炭素排出量のトレードオフを選択できる点にあります。

出典:http://www.mastodonc.com/dashboard

Mastodon CはLive Carbon Rankingで、各地のクラウドサービスを二酸化炭素排出量で順位付けし、同時にコストも示しています。例えば、このブログを書いている時点でのトップは、アイスランドで動いているGreenqloudで、時間当たりの二酸化炭素排出量はゼロ、コストは0.58ドルです。第2位はロンドンのAmazon Web Services(AWS)で、二酸化炭素排出量はゼロ、コストは0.96ドルです。東京のAWSは二酸化炭素排出量が0.262kg、コストが0.74ドルであることがわかります。

残念ながらMastodon Cが現在のランキングに使っているデータは事実に基づくデータではなく、ある種の仮定や専門家による判定に基づいています。オープンデータによって事実データが公開され、それを利用することができるようになれば、より顧客の好みに合致したデータセンターを選択できるようになり、二酸化炭素排出量がゼロの地域でビッグデータ処理をするというMastodon Cの究極の目標にも近づくことができるようになります。

ところで、Mastodon CはGoogleで定量分析をしていた技術者が友人と立ち上げました。あのTotal Weather InsuranceのThe Climate Corporationや、高度な数学モデルでサラ金の顧客の信用査定を行なうZestFinanceも元Googleの社員が立ち上げた企業です。Google卒のビッグデータ/オープンデータ・スタートアップが非常に目立ちます。創造力たくましく新しいものを生み出す力をつけるには、「日頃から膨大なデータの砂場でとことん遊ぶ」ことが大事な気がしてなりません。

The Open Book、クラウドソース型で2013年に出版

2012年12月11日 in News

出典:THE OPEN BOOK – SUMMARY
https://docs.google.com/document/d/1XcNd2bdoKMPcYPghOw9IxEyoRMp4b7T1QBI_19wh_rk/edit

ロンドンにあるフィンランドセンターとOpen Knowledge Foundationが協同で、オープンデータ運動の集大成である“The Open Book”を2013年に出版すると発表しました。これは複数の著者によるクラウドソース型で出版されるもので、内容は今年10月ヘルシンキで開催されたOpen Knowledge Festivalがベースとなります。

The Open Bookは2部構成で、第1部はOKFestivalでアドバイザーを務めた方々が、オープンデータ運動とその歴史、社会的な意義、透明性やオープンに関する他の運動との関係、将来の予想されるシナリオなどについて解説します。第2部はOKFestivalで議論された13のトピックのプログラム作成者が、特定の領域についてより詳細に掘り下げます。

The Open Bookの先頭には、オープンデータに関する重要なイベントのタイムラインが、OKFのRecline Timelinerを使って掲載される予定で、このタイムラインも世界のオープンデータ推進者によるクラウドソース型で作成されます。このタイムラインに掲載したいイベント等がある方は、5つまで掲載依頼をすることができますので、写真や場所などの情報を添えてopenbook@okfestival.orgに送ってみてください。締切は1月13日です。なお、The Open BookはCC-BY 3.0で公開される予定です。

クライシスレスポンス用アプリ・サービス事例4 OSM Tasking Manager

2012年12月10日 in Special

内輪のツールで恐縮だが、今回はHOT(Humanitarian OpenStreetMap Team:人道支援OpenStreetMap チーム) が使っているOSM Tasking Manager を紹介させて頂く。

大規模災害・政治的な迫害・疫病など、国連や赤十字などが緊急支援を始めるような事象が起きた場合、OpenStreetMap で該当エリアの地図を描くことで支援作業の手助けをできることが多い。緊急支援が必要な場所は、マップが整備されていないことが多いのだ。
そんな時、HOTチームではマッピング(地図描き)の作業をマッパー(地図の描き手)が作業しやすい適度な大きさに分割するOSM Tasking Manager というサイトを立ち上げる。

実際の例をご紹介しよう。
HOTチームは現在イギリスの「国境なき医師団」とコンタクトを取っており、彼らから見て優先度の高い地域からマッピングを進めようとしている。この中でも優先度が高い地域としてコンゴ民主共和国が挙げられた。コンゴでは内乱と治安悪化が続き、国内難民が発生しており、多方面での支援が必要な状況下にある。これを受けて下記2箇所のマッピングタスクがつい最近アクティベートされた。

1.ゴーマ(Goma)の西側
2.ブカブ(Bukavu)付近

上図はGoma西側の例だが、地図が適当な大きさの矩形で区切られている。白(透明)は未処理、赤は処理済、緑は処理済かつ検証済、白抜きのオレンジは現在処理中を表す。マッパーは未処理の矩形の中から好きなものを選んでマッピングし、終わったら処理済にして次の矩形に取り掛かる。まさに「マイクロタスキング」である。(尚、このサイトで作業に参加するにはOpenStreetMap で予めアカウントを作成しておく必要がある)

下図は選んだエリアを編集する画面だ。flash アプリなのでPCとブラウザさえあればどこでも編集できる。OpenStreetMap ではマイクロソフト社のBing 衛星画像を地図トレース用として利用する許可を受けているので、それをなぞり描きすることが主な作業となる。
ひとつの矩形は概ね1時間程度でマッピングできるサイズになっているため、自分の使える時間で、1日にひとつかふたつこなしていく、といった作業となる。OpenStreetMap の登録ユーザ数は世界で年内にも100万人になろうかというところだ。ひとりあたりの作業はごくわずかであっても、参加者が多ければそのパワーは計り知れないものになる。

出典: OSM.org

こういった作業を経験しておくと、いざコトがあった時にスムーズな対応が可能だ。日本にはウェブで使えるマップがいろいろあるために、改めてマッピングする必要性は一見無さそうだが、それは都市部の話で、山間部や離島では使えるマップが紙でしか無いといったケースがよくあるのだ。

クラウドソーシングを地で行くOpenStreetMap の使い方はあなた次第だ。こういった活動に興味ある方はぜひマッピングに参加してみて欲しい。

またOSM Tasking Managerはオープンソースとしてgithubで公開されているので、このソースをベースに別のアプリケーションを開発することもできる。地図を区切って、何らかの作業を分割するような使い方であればいろいろ応用できると思われる。興味ある方はその応用にもトライしてみて頂きたい。

オープンデータのライセンスを考える(16)カナダ政府のOGL-C

2012年12月9日 in Special

カナダ政府がそのオープンデータに適用するライセンスOpen Government Licence – Canada (OGL-C) の試案を公開し、コメントを募集中だ。ゆるやかな縛りのいわゆる「表示」ライセンスで、2013年春の正式リリースを目指しているという。

イギリスの Open Government License (OGL) とよく似た内容だが異なる部分もある。

オタワ大学の法学者Teresa Scassa のブログCanada’s New Draft Open Government Licence によれば、情報(Information)という用語の定義においてカナダには存在しない「データベース権」に言及している点、許諾の例外規定の中で「個人情報」ではなく「個人データ」という用語を使っている点、「情報提供者」と「ライセンサー」という2つの用語を混ぜている点などが課題だとしている。

個人情報や自国に存在しないデータベース権の扱いを考慮しなければならない日本の状況と似た部分があり、カナダの動向は参考になりそうだ。

私見だが、個人情報については既に個人情報保護法やそのガイドラインが存在する日本ではことさらに再定義する必要は無いと思う。公開できないものはマスクしたり、公開しなければ良いだけだ。あえて書くならライセンス条項としてではなく、参考情報程度の扱いで別途関連する法令を挙げておく程度で良いのではないだろうか。

クライシスレスポンス用アプリ・サービス事例3 FloodAlerts

2012年12月8日 in Special

FloodAlerts は視覚化の得意な企業Shoothill によって開発された洪水のアラート情報を配信するサービスだ。元データはイギリスの環境局が15分おきに提供している洪水に関するオープンデータである。

まずは元データを見て行こう。元は環境局が提供しているFloodline Warnings Direct というプッシュ型のサービスによるものだ。洪水警報が欲しい人は電話、携帯、メール、SMSテキストメッセージ、FAX、どれでも好きな手段で受け取ることができる。

登録手続きに進むと、まず自宅用と職場用それぞれで住所、電話番号、メールアドレスなどを登録する。イギリスに住所が無い者にとってはその先の手続は不明だが、住所からエリアを探すため、やや操作がわかりづらい印象だ。

そこでFloodAlerts だ。
こちらは場所の名前を入力してマップを検索したり、グリグリと動かすことで直感的に操作できる。

対象エリアに移動したら、上図のように半径を指定してできあがり。アラートはメールやフェイスブックで受け取れるようになっている。

自宅や職場で過去に洪水があったようなところでは、このような情報は貴重なものだ。安全面もさることながら、個人の財産や企業の事業継続性を守る上でも有効だ。

このサービス自体は無料で提供されるが、企業ユースにはより付加価値を付けた別のソリューションを有料で提供するというビジネスモデルだ。裏の仕組みが見えていないが、環境局にとって負荷分散の役割も果たしているものと思われる。オープンデータと利用者の間に立って、操作しやすいインタフェースを提供するという、まさにお手本のようなサービスといえよう。

参考:Live UK flood warning map uses Environment Agency data

クライシスレスポンス用アプリ・サービス事例2 UN-ASIGN

2012年12月8日 in Special

フィリピンを襲った台風24号のさなか12月5日にUNITAR(国連訓練調査研究所)よりCrisis Mappers のメーリングリストにUN-ASIGN と呼ばれるアプリが役に立つかもしれない、との示唆があった。
これはUNITAR/UNOSAT からの委託を受けてノルウェーの企業AnsuR が開発したクラウドソーシング用のスマートフォン向けアプリで、下図のように、去年のタイ洪水の折りに実際に使われたものだ。

iPhone用Android用があり、いずれも無料でリリースされているのでぜひお試し頂きたい。お試しの際はプリファレンス(設定)で「テストモード」にすると良い。

このアプリは位置情報付きの写真とテキストを大規模被災エリアから国連の下部組織であるUNITAR/UNOSAT宛に送るためのものだ。UNITAR/UNOSAT では全ての投稿をマップ上で見られるが、投稿者自身も自分の投稿分については同じマップ上で見ることができる。

被災地ではネットワーク環境が混乱していることが多いという点を考慮して、貧弱な通信環境であっても使えるような工夫が凝らされている点が特徴だ。
撮影された写真は大幅に圧縮して送信され、クリアな画質が必要な場合は、SMS(ショートメッセージ)を通じて自動収集するためのメッセージが届く仕組みだ。このため、アカウント作成画面では電話番号を入力するようになっている。
また、位置情報の取得については、GPS衛星が捕捉しずらい環境では3GやWi-fiの基地局などの位置を利用して取得する、といった多段階の手順となっている。

撮影された写真には自動的に撮影時刻と位置情報が付加され(スマートフォン側で位置情報取得を許可する必要がある)、テキストで説明を付けて送信する。

UNITAR/UNOSAT は投稿された写真・テキストと衛星画像を比較しながら、被害の度合いなどを評価する。

出典: ASIGN Online

さらにいくつかの写真・テキストは専門家によって別の、より専門的なオンライン地図ポータル上に表示・公開される、といった流れとなっている。

収集された情報は非営利目的の再利用は許可されることになっているので、収集結果を提供してもらい、独自のマップ上にマッシュアップ表示することは可能であろう。

尚、このアプリにはプロフェッショナル版が別にあり、そちらではより詳細な情報も送信できる模様だ。(Android版のチュートリアルはこちら)