データドリブンソサエティ4 データの5W1Hを明らかにする

2013年1月5日 in Special


データドリブンソサエティは、市民にとって最も関心の高い分野のデータを優先的に公開することから始まります。このデータ公開によって市民全員が納得すれば良いのですが、そのようなことはまず起こりません。市民と一言では括れないほど個々人の興味や関心はバラバラで、同じ分野に関心がある場合でもその強弱には大きな差があります。市民に関心の高いデータを公開することの真の目的は、市民に納得してもらうことではなく、市民の間に議論を巻き起こすことだとも言えます

公開されたデータは結果だけを示していることが多く、例えば「なぜ教育より医療に予算が多く配分されているのか」という疑問には答えてくれません。市民は結果データである予算値を前にして、政党のマニフェストやメディアの報道など手に入る情報からいろいろと推測し、その理由を見つけ出そうとします。

こうした市民の行動は非常に大切で意義のあることですが、なぜそのデータが導きだされたのかが分からない状態で、利害関係がぶつかるグループ間での議論が加熱すると、深刻な対立を招く恐れがあります。高齢者を大切にすることも、子育てを支援することも、当事者からすればそれが一番大事です。しかし限られた予算を獲得するためにお互いを激しく攻撃し合うような状態は健全な市民社会とは言えません。

異なる価値観を持つ市民が自分の利害だけを押し通すのではなく、議論しながら妥協点を見いだし、折り合いをつけていけるようにするためにカギとなるのがデータの5W1Hです。データの5W1Hとは、データが「いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)」した結果として生み出されたのかを明らかにすることであり、データを作り出したプロセスをオープンにすることです。

出典:http://www.theyworkforyou.com/

例えばイギリスのmySocietyが開発したTheyWorkForYouでは、議員の活動をモニタリングすることができ、市民は自分たちが選んだ代議士の活動について知ることができます。議論の内容を読んだり、文書による回答を見たり、議会で次に議論される議題についても知ることができます。また、将来にわたって関心のある人や事柄があれば、それについてメールで知らせを受け取ることもできます。

OpenSpendingが開発したWhere Does My Money Go? では、税金の使い道を追跡することが可能で、自分の日々の税金が政府のどの部門でどれだけ使われているのかを知ることができます。また、政府のそれぞれの機能において合計でいくら使われたのか、またそれはどこなのかについてもわかるようになっています。

プロセスをオープン化し、データの5W1Hを明らかにすることによって、市民は行政や対立するグループの状態をより詳しく知ることができるようになり、表面的な情報に惑わされることなく、妥協点を探るためのより深い議論ができるようになります。

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Tomihiko Azuma

Written by

Chief Fellow, Institute for International Socio-Economic Studies (株式会社国際社会経済研究所 主幹研究員)