「公的・非個人データ」から「民間・個人データ」へ、midataが拓く新領域

2013年1月10日 in Special


イギリスでオープンデータを推進しているOpen Data Instituteが昨年11月にあるハッカソンをロンドン・ハックニー特別区で開催しました。このハッカソンについてはニュース等ではあまり取上げられませんでしたが、オープンデータにとっては大きな意味を持っています。このハッカソンはMidata Hackathonというもので、個人データの新しい活用方法を考える初めてのODI主催のハッカソンです。しかも、対象としている個人データは公的機関が保有しているデータではなく、民間企業が持っているデータです

出典:http://www.theodi.org/events/midata-hackathon-2012

midataとは、消費者が民間企業の持つ自分の個人データに自由にアクセスできるようにすることを目指したプロジェクトで2011年に始まりました。アメリカでは個人のエネルギー使用状況を取得できるGreen Buttonがありますが、midataはその範囲を大幅に広げたものです。Midata HackathonはOpen Data Instituteがmidataをオープンデータとして取り扱った初めてのイベントであり、オープンデータの領域が「公的・非個人」から「民間・個人」へと急速に拡大していることを示しています

例えばイギリスでWebによる持続可能な社会づくりに取り組むCleanwebは、Midata HackathonでemPowerMiというアプリケーションを開発しました。emPowerMiは、個人のエネルギー消費実績、住所、住居タイプなどのデータをもとにして、その人にとってどのような省エネ技術が適用可能であり、その技術を利用することによってエネルギー支出がいくら抑えられるかをアドバイスしてくれます。さらに省エネ設備を設置するために利用できる各種制度についても教えてくれます。

出典:http://empowermi.cleanweb.org.uk/recommendations/rbfish

上図はロバート・フィッシュさんというハッカソン参加者の実データを利用した例です。フィッシュさんに対しては、太陽光発電パネル、屋根裏断熱、地熱ヒートポンプ、新しい給湯器が提案され、全部を実施すると年間695ポンドの節約になることがわかります。

midataにはエネルギー、金融、通信などの業界から20を超える企業がパートナー、つまり個人データ提供者として参加しています。その中には、British Gas、EDF Energy、Visa、MasterCard、Lloyds Banking Group、Threeなどに加えて、Googleも含まれています。イギリスでは近いうちに、Googleのアクセスログ、Visaの取引履歴、ガス・電力・携帯の使用実績などを組み合わせた、消費者向けデータ解析サービスがサードパーティから提供される可能性があります

これまではライフログを含む顧客の個人データを持っている企業が、消費者行動を分析する上で消費者に対して常に優位な立場にありました。しかしmidataによってこうした企業と消費者との情報の非対称性は一気に崩れます。イギリスは、まさにそこに新しいビジネスが生まれてくることを期待しています。

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Tomihiko Azuma

Written by

Chief Fellow, Institute for International Socio-Economic Studies (株式会社国際社会経済研究所 主幹研究員)