データドリブンソサエティ7(最終回) 自分たちのことは自分たちでやる

2013年1月16日 in Special


データドリブンソサエティも今回が最終回になります。最終回は、アクションのオープン化について扱いますが、これは簡単に言えば「自分たちのことは自分たちでやる」ということに他なりません。

こうした市民参加型公共サービス開発として有名なのは2009年にアメリカで始まったCode for Americaです。このプロジェクトでは、課題を抱える都市がエントリーして一般市民から開発者を募ります。開発者は有期・有償で自治体に雇用され、行政担当者と都市の課題を協同で分析し、解決するためのサービスを開発します。こうして開発されたシステムはオープン化され、誰でも再利用することができます。

Code for Americaの成功を受け、ヨーロッパでも2012年にCode for Europeが始まり、アムステルダム、バルセロナ、ベルリン、ヘルシンキ、マンチェスター、ローマの各都市がエントリーしています。

例えばマンチェスターでは、マンチェスター市議会のManchester Digital Development Agencyが主体となり、2人の開発者が9ヶ月、1万2千ポンドの給与で雇用され、マンチェスター市の公共サービス革新に取り組んでいます。

市民自らが公共サービス開発に参加する取り組みは草の根レベルでも行われています。

出典:NESTA

Who Owns My Neighbourhood?(WOMN)は市民による地域課題の報告と解決を目的として、イギリスのカークリース・カウンシル(Kirklees Council)、英国国立科学・技術・芸術基金(NESTA)、サムプリント協同組合(Thumbprint Co-operative)が協同で開発しました。その最大の特徴は、「誰が近隣の土地を所有しているのか」を知ることを地域課題解決の出発点としていることです。

例えば、あなたがある空き地に興味を持った場合、WOMNに郵便番号や地名を入力するだけで、その土地の所有者が誰なのかを確認することができます。さらにWOMNに自分をコミュニティ・コンタクトとして登録して、同じエリアで関心を持つ人々と連絡を取り合い、どんな利用方法があるのかを議論できます。議論の結果、その空き地が良い遊び場になるという結論になったら、所有者と連絡をとり、自分たちで遊び場を作ってしまこともできるのです

哲学者である内山節は「公共」について次のように述べています。

公共とは「みんなでする仕事」のことであり、行政とは「公共」の部分的な代行者にすぎない。「公共」の世界とは自分たちが直接かかわり、自分たちが行動することによって責任を負える世界のことである(『「里」という思想』,新潮社)

データドリブンソサエティとは、まさにこうした「公共」の世界を、かつての村社会に戻るのではまく、現代に合わせて再構築することを意味しています。アメリカやイギリスは中央政府と地方政府、そして市民が連携し、新しい社会の再構築を進めています。

データドリブンソサエティを目指すイギリス(赤)とアメリカ(青)

日本でも「国民一人ひとりが自分の問題として取り組むことがまさに今必要である」という言葉をよく耳にします。本当にこうした社会を実現したいのであれば、まず最初にやるべきことはデータをオープン化することではないでしょうか。

(終わり)

1 response to データドリブンソサエティ7(最終回) 自分たちのことは自分たちでやる

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Tomihiko Azuma

Written by

Chief Fellow, Institute for International Socio-Economic Studies (株式会社国際社会経済研究所 主幹研究員)