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オープンデータ活用事例に開発者情報などを追加しました

2013年1月23日 in Special

先日公開しましたオープンデータ活用事例に以下の情報を加えて更新しました。

  • DescriptionをDetailに変更
  • 新たにDescriptionとしてサービス名を追加
  • 開発者(Developper)
  • 開発者のURL(Dev. URL)
  • 開発者の種類(Dev. Type)
  • ライセンスの表示 CC BY

表現など、統一されていない部分が残っていますが、その点はご了承ください。

Museであなたも芸術家、オープンデータによる「芸術文化の発展」

2013年1月21日 in News

出典:Muse App

オランダで開催されたOpen Culture Data Competitionで最優秀賞を受賞したMuseは、芸術の世界に全く新しい可能性をもたらす優れたアプリケーションです。誰でもMuseを使うことによって、著名な芸術作品を切り貼りし、これまで見たこともない新しい作品を創り出すことができます

ビデオではタブレットを使って、作品を選び、好きな場所に配置し、組合せ、個性的な芸術作品を創るところが紹介されています。これなら誰にでも、楽しみながらできそうです。

Museはアムステルダム国立美術館(ライクス・ミュージアム)が保有するコンテンツを利用しています。欧州ではEuropeanaやその公式アグリゲータであるドイツのデジタル図書館(DDB)などがデジタルコンテンツのオープン化に続々と踏み切っています。欧州では既にオープンデータの目的の1つとして、「芸術文化の発展」が視野に入っています

自分の芸術作品の「もと」になったコンテンツには、多くの人が興味を持つと思います。そこから作品や作者への関心が芽ばえることもあるでしょう。教育においても、テストのためだけに無味乾燥な「美術史の暗記」をさせるより、こうしたクリエイティブな経験をきっかけとして興味を持てるようにした方が良いのではないでしょうか。

参考:Muse App Wins Dutch Open Culture Data Competition

32カ国、約400のオープンデータ活用事例を一挙公開

2013年1月21日 in Special

欧米を中心に32カ国から収集した400あまりのオープンデータ活用事例を公開しました。オープンデータの活用方法について調べたい方、アイデアソンやハッカソンの成果がどんな感じになるのか知りたい方、どなたでも利用できます。今後も適宜、事例を追加していきます。

 

オープンデータ活用事例

データはこれまでに調査等で発見した事例を収集したものです。もし誤り等がありましたら、ご連絡ください。また、こういうタイプの事例が多い・少ないという定量的な分析には適していませんので、その点はご了承ください。

データドリブンソサエティ7(最終回) 自分たちのことは自分たちでやる

2013年1月16日 in Special

データドリブンソサエティも今回が最終回になります。最終回は、アクションのオープン化について扱いますが、これは簡単に言えば「自分たちのことは自分たちでやる」ということに他なりません。

こうした市民参加型公共サービス開発として有名なのは2009年にアメリカで始まったCode for Americaです。このプロジェクトでは、課題を抱える都市がエントリーして一般市民から開発者を募ります。開発者は有期・有償で自治体に雇用され、行政担当者と都市の課題を協同で分析し、解決するためのサービスを開発します。こうして開発されたシステムはオープン化され、誰でも再利用することができます。

Code for Americaの成功を受け、ヨーロッパでも2012年にCode for Europeが始まり、アムステルダム、バルセロナ、ベルリン、ヘルシンキ、マンチェスター、ローマの各都市がエントリーしています。

例えばマンチェスターでは、マンチェスター市議会のManchester Digital Development Agencyが主体となり、2人の開発者が9ヶ月、1万2千ポンドの給与で雇用され、マンチェスター市の公共サービス革新に取り組んでいます。

市民自らが公共サービス開発に参加する取り組みは草の根レベルでも行われています。

出典:NESTA

Who Owns My Neighbourhood?(WOMN)は市民による地域課題の報告と解決を目的として、イギリスのカークリース・カウンシル(Kirklees Council)、英国国立科学・技術・芸術基金(NESTA)、サムプリント協同組合(Thumbprint Co-operative)が協同で開発しました。その最大の特徴は、「誰が近隣の土地を所有しているのか」を知ることを地域課題解決の出発点としていることです。

例えば、あなたがある空き地に興味を持った場合、WOMNに郵便番号や地名を入力するだけで、その土地の所有者が誰なのかを確認することができます。さらにWOMNに自分をコミュニティ・コンタクトとして登録して、同じエリアで関心を持つ人々と連絡を取り合い、どんな利用方法があるのかを議論できます。議論の結果、その空き地が良い遊び場になるという結論になったら、所有者と連絡をとり、自分たちで遊び場を作ってしまこともできるのです

哲学者である内山節は「公共」について次のように述べています。

公共とは「みんなでする仕事」のことであり、行政とは「公共」の部分的な代行者にすぎない。「公共」の世界とは自分たちが直接かかわり、自分たちが行動することによって責任を負える世界のことである(『「里」という思想』,新潮社)

データドリブンソサエティとは、まさにこうした「公共」の世界を、かつての村社会に戻るのではまく、現代に合わせて再構築することを意味しています。アメリカやイギリスは中央政府と地方政府、そして市民が連携し、新しい社会の再構築を進めています。

データドリブンソサエティを目指すイギリス(赤)とアメリカ(青)

日本でも「国民一人ひとりが自分の問題として取り組むことがまさに今必要である」という言葉をよく耳にします。本当にこうした社会を実現したいのであれば、まず最初にやるべきことはデータをオープン化することではないでしょうか。

(終わり)

オープンデータが加速するスマートエネルギー、Smart Energy @ Home

2013年1月15日 in Special

デンマークのミドルファートで実施されているSmart Energy @ Homeは、快適さ損なうことなく家庭でのエネルギー消費量と支出の削減を目指したプロジェクトです。このプロジェクトではスマートメータのような計器によるデータ読取に加えて、数々のオープンデータが活用されています

家庭におけるエネルギー消費に関しては、暖房システムへの供給エネルギー量(可能な場合は適切な装置で遠隔読取)、作られる温水量、温水消費量、家の温度などが計器によって測定されます。Smart Energy @ Homeでは、こうした家庭のエネルギー消費に関するデータだけでなく、以下のような多くの公的データも活用しています。

  • 気象測定と予測データ(デンマーク気象庁がプロジェクトに提供)
  • デンマークのビル・住宅登録簿、ビルの大きさ、施設の種類、エネルギー消費に関する過去の記録など
  • 建物に関する詳細データ、居住人数と年齢、窓の取り換えなど実施済みリノベーションなど(アンケートや他の公的記録から収集)

Smart Energy @ Homeでは、こうした2種類のデータ源を組み合わせることで、個々の建物にとってさらに有益な以下のようなデータを導き出すことができます。

  • 家の温度傾向
  • 暖房システムの効率性
  • 暖房消費指標(KWh/㎡、KWh/人)と同タイプの家の平均値との比較
  • 家庭生活や家の種類に関係した家庭行動(このデータは住人や建物の種類で分割されたセグメントに対して、カスタマイズされた最適なスマートエネルギー・ソリューションを検討するために活用)
  • 気象データと連動した家の冷暖房率

スマートエネルギーに関しては、これまでもエネルギー消費の見える化に焦点を当て、消費量そのものの可視化や消費傾向に基づく需要予測などが行われてきました。Smart Energy @ Homeはこうした従来の取り組みの一歩先をいっており、オープンデータを活用することによってより価値の高い分析やカウンセリングを実現していますデンマークが公的データの全面公開に踏み切った背景には、こうした地道な社会実験があることも忘れてはなりません。

出典:

データドリブンソサエティ6 地域を変える「ちょっとしたスパイス」

2013年1月11日 in Special

前回、ルイシャム・ロンドン特別区の市民参加型環境向上システムLove Lewishamについてご紹介しました。ルイシャムではLove Lewishamに加えて、市民を公共サービス提供に参画させるためのさまざまな取り組みを行っています。アクティブモードに切り替わった市民をいかにして具体的な行動に導いていくのか、そのためにはちょっとしたスパイスが必要です

ルイシャムが採用している仕組みの1つが、Spiceが開発したエージェンシー型タイムバンキングです。Spiceとは、タイムバンキングの応用例をイギリス中に普及させるために設立された法人で、主に公共サービスの共同生産促進を目的としたエージェンシー型タイムバンキングの普及に力を入れています。

伝統的なタイムバンキングでは「個人対個人」でタイムクレジット(時間)の交換を行います。これに対してエージェンシー型タイムバンキングは、タイムクレジットのやり取りを「個人対個人」ではなく、「個人対エージェンシー」の形に発展させ、公的サービスの共同生産に主眼を置いている点に特徴があります

エージェンシー型タイムバンキング

左図の例では、アン、デイブ、ジョージは共同で公園を清掃するなど、公的サービスの共同生産に自らが参加することによってタイムクレジットを手に入れ、各人のタイムクレジットはエージェンシーに預託されます(タイムイン)。

その後各人は好きな時に、エージェンシーが提供するサービスリストに掲載された各種サービスとタイムクレジットを交換することができます(タイムアウト)。

つまり、アンは公園の清掃に参加することで、駅まで送ってもらうサービスをエージェンシーから受けることができるようになり、同じくデイブは公園の清掃に参加することによって、車を修理してもらうサービスを受けることができます。

エージェンシーがタイムクレジットと引き換えに提供しているサービスは、公共サービスの供給能力の余剰部分や、公共施設の遊休時間などを活用したものが含まれています。例えば、地方自治体が主催しているカルチャースクールの定員に空がある場合や、会議室や体育館などの公共施設に遊休時間がある場合には、その利用権がサービスリストに掲載されます。ルイシャムでもさまざまなサービスをリストに載せています。こうした余剰能力の有効に生かすことで、ほぼ追加コストゼロでサービスを提供することが可能になります。

さらに、営利企業の有償サービスがエージェンシーのサービスリストに掲載される場合もあります。営利企業がタイムクレジットとの交換で有償サービスの提供に応じているのは、地域に貢献したいという慈善的な動機や、イメージアップを狙う意図があるのはもちろんですが、集客効果を生かしたフリーミアム型ビジネスモデルによって、収益を上げることが可能だからです。

Spice導入による地域社会活性化効果は著しいものがあります。Spiceの調査によれば、120名の地域社会メンバーのうち9割以上が「新しい人との出会いが増えた」「新しい活動に参加する機会が増えた」と回答しており、「地域社会がより良くなった」と回答した人も72%に達しています。

Spiceはその革新性が認められ、2012年2月19日、英国国立科学・技術・芸術基金(NESTA)によって、OpenStreepMapなどと共に、Britain’s 50 New Radicalsに選出されました。2012年6月にはロンドン市でもSpiceが導入されました

ちょっとしたスパイスですが、その効果は絶大です。

Captricityでやっかいな『紙問題』を解決

2013年1月10日 in Special

オープンデータにとって「紙問題」は頭痛の種です。倉庫にある昔作った書類もさることながら、毎日のようにやり取りされる膨大な量の紙を前に、途方に暮れてしまうこともあるのではないでしょうか。

Captricityはこうした「紙問題」を解決してくれます。Captricityによって手書きのアンケートや調査票などの個票をスプレッドシートに簡単に変換することができます。まず未記入のアンケートや調査票をイメージデータに変換し、Captricityにアップロードします。その後、デジタル化したい部分をマウスをドラッグして囲みます。複数の選択肢から選ぶチェックボックスなどにも対応しています。あとは記入済み個票のイメージデータをまとめてアップロードするだけです。一度に5万枚まで変換できますし、一回登録した個票を使って何度でもデジタル化できます。

出典:http://captricity.com/product-features/

文字認識には機械学習技術が使われています。文字はマシンで変換され、その結果を人が目視でチェックし、最後にもう一度マシンにかけて突合せるというトリプルチェックも行っています。目視チェックする人はMechanical Turkなどで雇われているようです。

出典:http://captricity.com/product-features/privacy/

Mechanical Turkなんてとんでもないと思うかもしれませんが、それが可能なのはShreddrというプライバシー保護技術を用いているためです。Shreddr技術によって個票のデータはバラバラにされ、データをチェックする人は個票の特定の部分しか見ることができません

例えば右図の例では、Worker 1はLastnameだけ、Worker 2はID numberだけをひたすらチェックします。社会保障番号は”AAA-GG-SSSS”という9桁の数字で表されますが、これについてもXさんはひたすら”AAA”を、Yさんは”GG”を、Zさんは”SSSS”をというように、元が何であったのかわからない状態でバラバラにされた上で目視チェックします。さらに、個票の中に誰にも見られたくないデータが含まれている場合には、その部分を囲んで黒く塗りつぶすこともできます

Captricityはクラウドサービスなのですぐに利用でき、気になるコストは1枚20セントほどです。モバイルアプリもあり、RESTful APIも提供されているので既存のシステムに組み込むこともできます。

「公的・非個人データ」から「民間・個人データ」へ、midataが拓く新領域

2013年1月10日 in Special

イギリスでオープンデータを推進しているOpen Data Instituteが昨年11月にあるハッカソンをロンドン・ハックニー特別区で開催しました。このハッカソンについてはニュース等ではあまり取上げられませんでしたが、オープンデータにとっては大きな意味を持っています。このハッカソンはMidata Hackathonというもので、個人データの新しい活用方法を考える初めてのODI主催のハッカソンです。しかも、対象としている個人データは公的機関が保有しているデータではなく、民間企業が持っているデータです

出典:http://www.theodi.org/events/midata-hackathon-2012

midataとは、消費者が民間企業の持つ自分の個人データに自由にアクセスできるようにすることを目指したプロジェクトで2011年に始まりました。アメリカでは個人のエネルギー使用状況を取得できるGreen Buttonがありますが、midataはその範囲を大幅に広げたものです。Midata HackathonはOpen Data Instituteがmidataをオープンデータとして取り扱った初めてのイベントであり、オープンデータの領域が「公的・非個人」から「民間・個人」へと急速に拡大していることを示しています

例えばイギリスでWebによる持続可能な社会づくりに取り組むCleanwebは、Midata HackathonでemPowerMiというアプリケーションを開発しました。emPowerMiは、個人のエネルギー消費実績、住所、住居タイプなどのデータをもとにして、その人にとってどのような省エネ技術が適用可能であり、その技術を利用することによってエネルギー支出がいくら抑えられるかをアドバイスしてくれます。さらに省エネ設備を設置するために利用できる各種制度についても教えてくれます。

出典:http://empowermi.cleanweb.org.uk/recommendations/rbfish

上図はロバート・フィッシュさんというハッカソン参加者の実データを利用した例です。フィッシュさんに対しては、太陽光発電パネル、屋根裏断熱、地熱ヒートポンプ、新しい給湯器が提案され、全部を実施すると年間695ポンドの節約になることがわかります。

midataにはエネルギー、金融、通信などの業界から20を超える企業がパートナー、つまり個人データ提供者として参加しています。その中には、British Gas、EDF Energy、Visa、MasterCard、Lloyds Banking Group、Threeなどに加えて、Googleも含まれています。イギリスでは近いうちに、Googleのアクセスログ、Visaの取引履歴、ガス・電力・携帯の使用実績などを組み合わせた、消費者向けデータ解析サービスがサードパーティから提供される可能性があります

これまではライフログを含む顧客の個人データを持っている企業が、消費者行動を分析する上で消費者に対して常に優位な立場にありました。しかしmidataによってこうした企業と消費者との情報の非対称性は一気に崩れます。イギリスは、まさにそこに新しいビジネスが生まれてくることを期待しています。

Creative CommonsのNC(非営利)ライセンスに関する問題について英語版ドキュメントがリリースされました

2013年1月9日 in News

ドイツの著作権の専門家がWikimediaドイツと協同で作成した“Folgen, Risiken und Nebenwirkungen der Bedingung Nicht-Kommerziell – NC”英語版がリリースされました。是非一度読んでいただきたいのですが、もし時間がないようでしたら、「5.商用利用とは」だけでも読んでみてください。私は以下の部分を読んでとても納得できました。

“商用利用”という用語は、それぞれの機関や人の営業行為に関する倫理的評価を意味しているのではなく、単に商業上の利益を得たり、報酬を得ることを目的としている可能性があることを意味しているに過ぎません。つまり、公的資金や民間の寄付からすべてのお金を得ている人以外にとっては、商用利用は必要なことなのです。(pp.10-11)

個人ブログで運用コストをカバーするために広告を掲載している場合が例として挙げられています。1円でもお金を得たら商用なのか、収入がコストを上回ったら商用なのか、それとも相当の利益を上げたら商用なのか、判断は困難を極めます。その結果、NCライセンスの付されたコンテンツを含むCCモジュールの利用を控える人が続出します

NCライセンスには、「多国籍企業のWebサイトで営業用に使われたくない」ライセンサーや、「何となく非営利がいいかな」というライセンサーの意図とはかけ離れた大きな影響を与える可能性があります。

出典:Consequences, risks and side-effects of the license module “non-commercial use only”

ケニア大統領選挙で党員の不正登録が発覚

2013年1月8日 in News

2013年3月に予定されているケニア大統領選挙に向けて政党が活動を活発化する中、政党が国民から承諾を得ることなく勝手に党員として登録しているという不正が発覚しました。政党は大統領候補を擁立するために、締切期限までに地域ごとに定められた数の党員を登録しなければなりませんが、いくつかの政党はその条件を満たすことが難しかったため、国民の識別情報を盗み勝手に登録した模様です。

 この不正が判明したのは、ケニアの”The Independent Electoral Boundaries Commission (IEBC)“という選挙や国民投票を監視する独立組織が政党登録機関と共同で党員のデータベースを作成し、国民が党員になっているかどうかを確認できる検索サイトを立ち上げたことがきっかけです。

出典:http://www.iebc.or.ke/rpp/

このIEBCのサイトを利用したジャーナリストのLarry Madowoが自分の情報を確認したところ、The National Alliance Party (TNA)の党員になっていることがわかり、驚いたMadowoは「私は党員になった覚えなどない」とツイートし、#FakePartyMembersKeというハッシュタグがすぐさま作られ、多くの国民が同じように不正に党員として登録されていることが明らかとなりました。

党員情報が公開されていなければ、またIEBCが国民IDやパスポート番号で検索できるサイトを立ち上げなければ、この不正は明らかにならなかったことでしょう。