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ガバメント2.0を理解する国連のツールキット-OGDCE Toolkit

2013年3月31日 in Special


2013/6/1 第2版が出ました。詳細は市民参画のためのオープンガバメント・データに関するガイドラインを参照。
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開発管理における 市民参画のためのオープンガバメント・データ 指導ツールキット(OGDCE Toolkit)

国連の行政開発管理部門(DPADM),経済社会局(UN DESA)による開発管理における市民参画のためのオープンガバメント・データツールキット

ガバメント2.0、オープンガバメント、オープンデータ、ガバメントデータ、オープンガバメント・データ等々よく似た用語が飛び交い、お互いが少しずつズレた概念のことを話しているのに気付くことがあります。生産的な議論のためには用語の定義や概念についての認識が共有できていないと、いつまでたっても噛み合わない不毛なやりとりになりかねません。

2013年2月、国連行政機関ネットワーク(UNPAN)より「開発管理における市民参画のためのオープンガバメント・データ 指導ツールキット(OGDCE Toolkit)」(原文はこちら)が公開されました。これは世界各国のオープンガバメント及びその鍵となるオープンガバメント・データへの取り組みをベスト・プラクティスとして整理し、関連する用語や概念の定義を試みたものです。

構成としては政府や自治体内部向けにオープンデータを軸にしたオープンガバメントを推進するのに必要な情報や手順をまとめた形式になっていますが、もちろんそれ以外のオープンデータやオープンガバメントに関心のある方向けにも有益な内容です。

例えば「オープンデータ」とは何か、ということについて法的なライセンスなどの側面と、技術的なファイル形式などの側面がある点など、幅広い視点から捉えており、各国の事情に合った進め方をして行く上での議論のベースになる内容です。

画像の出典:DPADM/UMU

画像の出典:DPADM/UMU

冒頭に挙げたオープンデータ、オープンガバメント、ガバメントデータ、オープンガバメント・データの関係は上図のようになっており、こういった関係性の整理は重要です。ちなみに、ガバメント2.0はティム・オライリーが提唱したものでITを活用したプラットフォームとしての政府やDo It Ourselves な社会のことであり、オープンガバメントの概念とほぼ重なるものです。

今回、「オープンデータ活用!」というFacebook グループの有志によりこのツールキットの日本語版初版がリリースされました。内容について、興味ある方はぜひ上記ツールキット画像をクリックしてPDF(約4.3MB)をダウンロードの上、ご一読ください。複製や再配布はご自由にどうぞ。

また、ガバメント2.0やオープンガバメントの推進をお考えの方でご質問やご相談などありましたらこちらの下部のフォームでお気軽にお問い合わせください。

以下、目次のみご紹介します。

ツールキットの概要
始める前に
ツールキットの使い方
誰がツールキットを使うべきか
セクションⅠ- オープンガバメント・データとは
透明性と説明責任のための市民参画
市民参画とは
オープンガバメント・データにおける「オープン」の定義
データの種別、セット、及び用法
構造化データ、機械可読データ、ローデータ、そしてLinked Data
データセット
データを制限無しに利用、再利用及び配布する権利
なぜガバメントデータのオープンが重要か
オープンガバメントデータの原則
課題、制限及びリスク
セクションⅡ – オープンガバメント・データ戦略の設計
政府及び国家発展戦略の一部としてのオープンガバメント・データ戦略
ステークホルダーを巻き込もう
他者に学ぶ
自己評価
オープンガバメント・データのレディネス
リソースを識別する
人的及び組織的資源
技術とインフラのリソース
財政的なリソース
ゴールと目的の設定
アクションの定義
セクションⅢ – 実施、モニタリング及び評価
アクションプランを開発する
中期計画と長期計画
ロジスティクス、訓練及びファシリテーション
実施計画を監視する
実施計画の遂行
ステークホルダーからのフィードバック
データをオープンにするには
データセットを選択する
需要駆動型アプローチ
供給駆動型アプローチ
人々に尋ねる
コスト対用法と利益の分析
オープンライセンスを適用する (法的なオープンネス)
データを利用可能にする (技術的なオープンネス)
オンラインの手法
データを発見可能にする
データポータルとカタログ
Linked open data
結果とインパクトを評価する
パフォーマンス指標の確立
セクションⅣ – オープンデータ・エコシステムを持続する
コミュニケーションとアウトリーチ
オープンガバメント・データの利用法をプロモートする
再利用コミュニティ参画の持続
より広くアウトリーチするためのソーシャル・ネットワーキング・サービスの利用
ステークホルダーとのコミュニケーションとフィードバックループ
セクションⅤ – 附属書
I. オープンガバメント・データ・レディネス評価
II. データプラットフォーム
III. データとファイルの形式
おすすめの読み物
おすすめのビデオ
参考図書

IT戦略本部初会合にて「公共データの民間開放と電子行政」が政権の政策課題の一つに

2013年3月29日 in News

3月28日に総理大臣官邸で、第二次安倍政権最初となる高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部が開催され、席上安倍総理からIT戦略本部に対し3つの課題に取り組むよう指示がありました。

首相官邸ホームページ
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/actions/201303/28it.html

第一に、ITの利活用による新しい成功モデルの提示と実証、標準化を通じた民間投資の促進、人材育成。

第二に、対面を前提とする医薬品販売などのネット上でのサービスに係る規制の在り方、データ活用とプライバシー保護の両立など、新しいIT社会の実現にあたっての規制改革、ルールづくり。

第三に、情報セキュリティを確保したうえで、公共データの民間開放と電子行政を進めていく。産業界にも新しいワーク・ライフ・バランスの実現に障壁となる企業慣行や業務プロセスの見直しを求めていく。
(首相官邸webより引用)

日本経済新聞3.28
首相、薬ネット販売など指示 IT戦略本部きょう初会合
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2702Y_X20C13A3MM8000/

また、「電子行政オープンデータ推進のためのロードマップ(仮称)(工程表)(案)」も21日に発表されています。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/densi/dai3/siryou5b.pdf

今後も、政府の動きには注目していきます。

データサイエンティスト × オープンデータ ~Data Science for Social Good~

2013年3月28日 in Special

 

ITやテクノロジーなどによって社会問題の解決や社会貢献活動を促進する取り組みの”Social Good”は、これまでソーシャルメディアやネットサービス、アプリケーションや「sinsai.info」のようなプラットフォームという形で広がりを見せています。

それと共に、職業上の専門知識やビジネススキルを生かした社会貢献活動であるプロボノも、徐々に注目を集めるようになってきました。

現在はエンジニア、マーケター、デザイナーといった職業の方達が多く活躍されていますが、今後需要が高まるであろうスキルが”データサイエンス”の分野です。

欧米のように規模が大きく、多種多様なデータを保有する非営利組織は日本にはそれほど存在しないかもしれません。しかしながら、世界的なオープンデータの普及によって、データを分析するための人材と時間の確保という問題を除けば、様々な社会問題の可視化・解決方法の模索などを行うための環境が揃ってきているのです。

 

データサイエンティストのプロボノ集団 DataKind × World Bank

datakind-worldbank

NPOやNGOなどの非営利団体のデータ分析支援を行っている、データサイエンティストのプロボノ集団として有名な DataKind (2012年4月まで “Data Without Borders” として活動) は、2011年10月から数ヶ月に一度、アイデアソン・ハッカソンである”DataDiveを開催しており、その規模は徐々に拡大し、2012年9月にはアメリカ国外初となるロンドンで開催されました。

そして、2013年2月22日には International Open Data Day のイベントの一環としてウィーンで UNDP/World Bank DataDive を開催、23日にはワシントンD.C.でハッカソンを開催し、そこで出たアイデアを形にすることを目的とし、2013年3月15日〜17日にかけてワシントンD.C.で DC DataDive with the World Bank が開催されました。

 

今回のDataDiveの共催組織であるWorld Bankは、data.worldbank.org を通じて独自のオープンデータカタログや API 、データ可視化ツールから、オープンデータ度評価ツールや、誰でも投稿可能なデータ可視化投稿ブログ「World Bank Dataviz」まで、オープンデータに関して様々な最先端の取り組みをしている組織であり、オープンデータの可能性を最も信じている組織の一つであると言えるのではないでしょうか。

今回の DataDive with World Bank には、およそ150人の様々な”データスキル”を持つ有志が参加し、「”貧困”と”公共事業における買収・詐欺などの不正行為”の撲滅」という目標に向け、9つのプロジェクトに取り組みました。

それらのプロジェクト詳細と成果物は、こちらの記事からそれぞれのページへ飛ぶことができます。

 

当日の様子は、27日にWorld Bankが公開した動画を共有します。

 

特に貧困対策についてのプロジェクト内容はとても興味を引くものでした。それは、政府統計データだけでは問題を可視化・把握することが出来ないケースもあるため、これまで定石となっている貧困を測る指標ではない全く新しい代理指標を見つける、というものでした。

例えば、2011年にオープンデータポータル「opendata.go.ke」を公開しているケニアは、国勢調査などの主な統計調査は10年に一度行われています。そのため、国内を把握する最新データを得られるまで最大10年待たなければいけないのです。ケニアで行われている大規模な家計調査”Kenya Integrated Household Budget Survey”は前回実施が2005年のため、あと数年待つ必要があります。

しかしながら、ケニア(などの開発途上国)では Code 4 Kenya のようなICTやオープンデータを活用しての経済発展・課題解決へ向けた動きが進行しており、その効果を最大化するためには、データの更新頻度を将来的に上げる必要があるのです。

 

それでは、更新頻度の低い政府統計データの代替として貧困を測るデータとはどのようなものが考えられるのでしょうか。今回のDataDiveでは、以下の3つの成果物が作成されました。 特に、貧困指標と光度の関係についてはとても興味深い結果が出ています。

 

DataKindは「今回のDataDiveだけで問題を解決できるような答えが出るのではなく、これが解決へ向けた大きな一歩となる」と考えており、このような活動を続けていくことによって、Twitterのハッシュタグにある #data4good の精神が世界に広がっていくのではないでしょうか。

オープンデータによって、データサイエンティストが解決できる課題は、所属する企業・組織のものだけでなく、社会問題にまでその対象は広がっています。DataDiveへの参加者は、いわゆる”データサイエンティスト”だけでなく、”データを愛する”(Data Geek、Data Hacker、Data Enthusiast など)様々な人が集まって行われています。

そんなムーブメントが日本でも起こる時が来るのでしょうか。2月23日に行われた International Open Data Day Japan にはデータ分析を生業としている方も参加されていました。OKFJとして、オープンデータを活用したアイデアソン・ハッカソンにどうすればデータサイエンティストが参加しやすくなるのか、そして”Data for Good”のムーブメントをどのように支援できるのかということも考えていこうと思っています。もし、日本でも既にそのような動きがあるという情報がありましたら、是非教えてください。

 

誰でも1クリックでデータポータルを立ち上げられます、しかも無料で!

2013年3月21日 in News

今年もKnight News Challengeは面白いプロジェクトが続々エントリーされています。先日のAfricanSpendingに続き、今回ご紹介するのはFree Hosted Open Data Portals for Local Governmentsです。データポータルを立ち上げたいのは山々だが、技術もないしお金もないという問題を抱える小規模な地方公共団体向けに、1クリックでデータポータルを立ち上げることを可能にしようというプロジェクトです。しかも無料で。

データポータル自体はDrupalベースのCKANであるDKANを採用し、DKANをマルチテナントのローコストPaaSで動かすというものです。

このPaaSには、無料で使えるティアと、有料のティアとが用意されていて、とりあえずデータポータルを立ち上げてみたいという地方公共団体などは無料のティアを利用して文字通り1クリック、費用負担なしでデータポータルを立ち上げることができます。

右の例はデモサイトで公開されているものですが、こうしたデータポータルを誰でもすぐに作ることができます。

こうして楽々とデータポータルを立ち上げた後、データポータルが市民に好評ですごく活用されるようになった暁には、「大量のデータを公開したい」「もっと大量のトラフィックをさばきたい」「Drupalをカスタマイズしたい」という希望が芽ばえた顧客をPaaSまるごと有料のティアに移行させることができます。彼らはこれをOpenSaaSとも呼んでいます。

興味のある方は是非デモサイトを使ってみてください。

出典: Free Hosted Open Data Portals for Local Governments

ネット選挙運動解禁後に必要なもの-2: トラッキング

2013年3月21日 in Special

前回は、選挙運動期間中に候補者が言及する様々なデータに関して、事実か否かをチェックするファクトチェックが必要であることを述べました。今回取上げるのは、当選した後の話です。

ネット選挙運動が解禁されると、これまでとは比べものにならないほど多様で大量の情報を、候補者は有権者に対して伝えることができるようになります。その中に含まれているデータの誤りについてはファクトチェックで監視できますが、それだけでは不十分です。候補者はしばしば有権者からの支持を得るために、有権者に対して耳ざわりの良い約束をすることがあります。そこで、候補者が当選した後、実際にどういう行動をとったのかを追跡し、選挙運動期間中に約束した通りに行動しているのかを逐一チェックする必要があります。

イタリアでは非営利組織openpolisが、イタリアの政治活動に関する情報を提供し、市民の政治への関心を高め参加を促すために、いくつかのツールを開発し提供しています

openparlamentoは、イタリアの上院・下院で行なわれていることに関する情報を毎日提供し、議員の活動をフォローすることができるポータルです。openpolicitiでは、自分たちの代議士が誰で、何を行い、どんな発言をしているのかを調べることができます。市民はopenpolicitiを利用して、自分の街の名前から代議士を検索し、各代議士がどのような行動をとってきたのかを詳細にチェックすることができます(下図参照)。voisietequiでは、各種選挙における主要な争点を明らかにし、それに対して各候補がどのような立場をとっているのかを知ることができます。

openpolisの収益は会費、寄付、サービス販売の3本立てです。会費に関しては、正会員が50ユーロ/年、学生会員が20ユーロ/年、維持会員が500ユーロ/年、法人正会員が50ユーロ/年、法人維持会員が500ユーロ/年、政治家会員が50ユーロ/年、政治家維持会員が500ユーロ/年となっています。またopenpolisは、議会・政策の監視・分析を専門としている企業DEPP srlを通じて、有料の情報サービスを提供しています

openpolisは、政治家が選挙公約を守るかどうかを監視するサービスをビジネスとして仕立て、3種類の財源からバランスよく活動資金を調達しているなど、組織運営面でも非常に優れています。

千葉市から始まった、オープンデータによる地方自治の未来

2013年3月19日 in Special, 未分類

3月18日夕方、千葉市役所別館にて「ビッグデータ、オープンデータで変わる自治体行政」千葉市職員研修ワークショップの第2回があり、取材してきました。
千葉市では、2/23のOpendata dayでもOKFJが協力してイベントを開催しました。

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直前の告知に関わらず千葉市のほぼ全部局からの参加者が集まった、みなさん真剣です!

1回目と2回目の間に1週間時間を置き、宿題も出して望んだ今回。
参加者は1回目は約70人、今回2回目は、千葉市のほぼずべての部局12局、2区から、45人が参加。直前の告知にも関わらず部署を問わず若い職員からベテラン、局長まで、とても幅広く参加者が集まりました。

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講師は全編OKFJ代表/GLOCOMの庄司昌彦が担当。真剣な市職員を前に一言一言に熱が入ります!

講師はOKFJ代表/国際大学GLOCOMの庄司昌彦が担当しました。
1回目は講演でオープンデータの意義や国内外事例の紹介をし、今回2回目は千葉市のデータを使ってどのようなことができるかについてのアイディアソンです。

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局長・部長級のベテランと若い職員が部署の違いも越え一緒に熱心な議論がつづく

宿題で参加者が考えてきた千葉市のオープンデータの活用法をシートに記入していきます。
そしてまずはグループ内でアイデアを発表しあいます、とても活発な意見交換になりました。市民からの問い合わせに効果的・効率的に応える工夫や、部局横断の情報提供、市民との協働による課題解決など。みなさん現場の職員さんだけに、現場のいまの課題に基づいたものがたくさんでてきました。

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アイデア発表は6人、それぞれにユニークな視点です

次にワールドカフェ形式を使って、さらに多様なアイデアを共有し合います。
最後に代表して6人の職員さんがアイデアを発表します。

発表されたアイデアをご紹介、職員さんならでは(?)のアイデアができてきました。

「投票に行かないとお金無駄にしちゃうよ?」
一票にかかる費用を可視化、公開する。

「市民お助けマンクラブ」
市に持ち込まれた問題の内、市民でできる、治せることは市民に有償で直してもらう。地域でがんばっている団体にお任せすると好循環にもなる。

「オリンピックを目指す学校選び」
種目別に各学校の部活動の活動情報などを可視化し、比較しやすくする

「楽しい夏休み」
親子が楽しめる、子どもが楽しめる夏休みの過ごし方の場所やイベント情報を一箇所にまとめる

「課ごとのお仕事一覧表の公開」
どの課がどのような仕事をやっているかは庁内でも共有されきっていなくて、市民からの問い合わせへの効果的な対応ができていない。市民もこれが分かれば問い合わせもしやすくなる。

「スマホで選べる居酒屋アプリ」
いま空いている席と、その席のまわりの客層まで知ることができるアプリ。

アイデアソンの後、最後に、fix my streetを市政運営に取り入れた場合、どのような課題がありそうかを議論しました。
fix my streetは2/23のOpendata Day関連でも千葉市でワークショップが行われました。fix my streetは、市民が地域の問題点を知らせ、行政と市民が一緒に解決していくwebアプリツールです。

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fix my streetについて説明する千葉市総務局の片桐情報統括部長

実際に稼動したとき、行政はどのように対応していくか、市民がどこまで課題に対応するか、行政と市民の役割の線引きについてや、市民による対応を継続するにはどうしたらよいかなどが話しあわれました。

3時間ほどの研修でしたが、みなさん真剣で、あっという間に過ぎた印象でした。
取材の感想として、オープンデータ活用を考えると、自然とそもそもの行政のあり方や、行政と市民との関係を考えることになるのだなあという印象を強く持ちました。

今回はアイデア出しだけでしたが、今後は実際に開発まで含めた継続も期待できそうです。
地方自治での取り組みが、はじまっています。

ネット選挙運動解禁後に必要なもの-1: ファクトチェック

2013年3月19日 in Special

いよいよ日本でもインターネットを使った選挙運動が解禁される見通しとなりました。各政党では議員向け研修会などが始まり、有権者も半数が好意的に受けとめているという調査結果も出ています。有権者が投票前に候補者と直接意見を交わし議論できることは大きなメリットがあり、歓迎すべき動きだと思います。

一方で、ネットを通じて広がる情報、特に定量的なデータについては、これまで以上に注意が必要です。先日、アメリカで行われた大統領選挙においても、かなりの頻度で間違った数字が含まれていました。日本でもネットでの選挙運動が始まると、こうした誤った数字が素早く、広範囲に拡大することが懸念されます。

こうした状況に対応するために、アメリカではFactCheckという団体が活躍しています。FactCheckは政治家の様々なメディアを通じた発言を監視し、データが正しいかどうかをチェックしています。

例えばオバマ大統領は「高品質のプレスクールに1ドル投資することによって、後に7ドルのリターンを得ることができる」と主張しました。しかしFactCheckによれば、この数字はミシガンの経済的に困窮している若者を対象にした小規模の2年制プログラムにおける経済分析に基づく数字であることが判明しました。オバマ大統領は「アメリカのすべての子どもに1年制のプログラムを提供する」ことを主張しているため、FactCheckはオバマ大統領が「7ドルのリターンを得ることができる」という数字を用いることは事実に反するとして、FackCheckのサイトで誤りを指摘し公開しています

FactCheckが利用しているデータの多くは、連邦政府や地方政府が公開しているオープンデータです。米大統領選の例が示すように、ネットという新しい選挙活動の場において1票でも多くの支持を得たいと考える候補者は、有権者の関心を引き付けるために刺激的なデータを挙げるケースが多々あります。こうしたデータが正しいかどうかをチェックできる仕組みが日本でも必要です。

文化庁とクリエイティブコモンズの連携についてドミニク・チェンさんにインタビュー

2013年3月17日 in News, 未分類

文化庁が、「CCライセンスとの連携協力を視野に入れた新しい在り方を検討する」とアナウンスし、下記シンポジウムを開催すると発表しました。著作権のあり方において画期的なことだと思います。

第8回コンテンツ流通促進シンポジウム
『著作物の公開利用ルールの未来』
今回の発表について、クリエイティブ・コモンズ・ジャパン理事のドミニク・チェンさんにコメントを頂きました。
ドミニク・チェンさんは、「フリーカルチャーを作るガイドブック」などの著書でも知られる方です。


Q1.

文化庁が、CCとの連携を前提に検討を進めるとのコメントを出しました。これについてどのようにお考えですか?

アメリカのホワイトハウスやヨーロッパ諸国の首脳公式ウェブサイト等では以前からCCライセンス採用が相次いできた経緯がありますし、国内では経産省が関与しているインフォグラフィックのサービス『ツタグラ』やグッドデザイン賞データベースが以前からCCライセンスを活用してきたことを踏まえても、文化庁との連携は歓迎すべき動きですし、国際的な時流にも沿っている動きと言えると思います。

なによりもオープンライセンスの種類が増えすぎることはコモンズ全体にとっても望ましくないことなので、既にデファクトとなりつつあるCCライセンスを採用するという決断はその点でも評価できることと言えるでしょう。

 

Q2.今後のビジョンや、残されている課題などあれば、CCとしてのみならずドミニクさん自身もどのように活動されていくかも含め、お聞かせください。

日本国内では民間においても、2012年末に初音ミクが海外ユーザーコミュニティに向けてCCライセンスを採用したり、CCライセンスを採用するネットレーベルの楽曲をリミックスしたコンピレーションアルバム『Creative Commands Compilation Data』(分解系レコーズ)が文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門審査委員会推薦を受賞する等、CCライセンスそのものへの注目も高まってきています。

大局的には、CCライセンスがより多くのコンテンツに付くことで二次利用できる資源を増やすフェーズから、今後はそうした資源をいかに活用して、いかに有意義な二次利用の様式や実例を増やしていくかということが重要となるフェーズに移行しつつあると個人的には考えています。

例えばCCライセンス付コンテンツの多様性や豊富さを活用したリミックスやマッシュアップのアプリケーションや、二次派生した作品間の継承関係を可視化し、様々な方法で評価するサービスなどが増えていくことで、私たちの社会的なコモンズが充実化したことが実際に社会的価値を帯びることを促進していくということです。

オープンガバメントや関連するハッカソンの実施などは、そうした動きを加速化させる重要な傾向だと思います。
個人的には、従来通りのCCライセンスやオープンネスに関する啓蒙活動に加えて、オンラインとオフラインを結ぶシェアカルチャーの醸成につながるアプリケーションやサービスの開発や企画に今後とも広く関わっていきたいと考えています。

そのプロセスの中でも重要なこととしては、オープン化の実践のデータをデータ提供者自ら記録し、定量的、定性的に評価して公開することによって、オープン化の意味や問題をオープンに議論する慣習を広めることだと思います。

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この動きは引き続きフォローしていきます。
ドミニクさん、ありがとうございました!

速報!オープンデータ流通推進コンソーシアム表彰式

2013年3月13日 in Featured, News, 未分類


今日3月13日午前、オープンデータ流通推進コンソーシアムの「勝手表彰・表彰式」があり、
最優秀賞は「データシティ鯖江」に!優秀賞/日本IBM賞に「International Open Data Day」が、「Where Does MY Money Go」ほか6つの団体・チームが優秀賞、OKFJ賞は埼玉県宮代町の「電脳みやしろ」に!
まず速報でお伝えします。

(各受賞者の紹介文はオープンデータ流通推進コンソーシアムwebサイトにあるものを参考にしました)

 

最優秀賞/Google賞 : データシティ鯖江

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鯖江市の牧田さん、福野さん、Googleの方、コンソーシアム利活用・普及委員会の中村伊知哉座長

データシティ鯖江として、様々なデータをXML等の形式で公開。

・避難所の施設名、位置情報
・消火栓の名称と位置情報
・市が運営するコミュティバス「つつじバス」の運行情報
・西山動物園の動物情報
・鯖江市内の文化財の写真、説明
・市内の農産物直売所
・鯖江市議会議員の情報など

 

 

 

 

優秀賞/日本IBM賞   : 2013 International Open Data Day

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IODDに参加した、青森、鯖江、横浜、東京、千葉の各地の代表者のみなさんと、全国を統括したOKFJの庄司代表

2013年2月23日に世界中の都市で、オープンデータイベントを開催。日本では、東京、横浜、千葉、名古屋/東海、鯖江、青森、会津若松、福岡の8都市、20チーム、400人が参加して開催。

 

 

 

 

 

 

 

 

優秀賞  : 図書館横断検索サービス「カーリル」

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カーリルの吉本さん

全国6,000以上の図書館の蔵書・貸出情報を横断検索可能。APIも提供しており、様々なアプリが開発されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優秀賞  : Where Does My Money Go? の日本語化と横浜市版の作成

WDMMG

受賞スピーチをするOKFJ/元佐賀県CIO川島さんとWDMMG横浜市版開発チーム

イギリスの Open Knowledge Foundation が開発した Where Does My Money Go? (英語版) をベースに日本語化し、さらに横浜市民が横浜市に納めている市税を対象として構築。自分の年間総収入をスライドで設定し、単身世帯か扶養一人世帯かを選択すると、給与所得者であるという前提で、横浜市に納めている市税年総額と10分野毎に一日当たり支払っている市税額が表示される。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

優秀賞 : 気象庁の一連の取り組み
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気象統計データなどをウェブサイトで公開。2012年12月からは防災情報XMLフォーマット形式電文を試験的にサイトで公開。2012年11月~12月にはコンソーシアム等と協力して、気象データアイデアソン/ハッカソンを開催。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優秀賞  : あおもり映像コンテンツ・プロモーション

aomori

観光プロモーションに活用できる映像素材を県職員が自ら撮影し、YouTube等に公開。二次利用可能な独自の利用規約を作成し、幅広く活用されることを目指している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 優秀賞  : LODチャレンジ

LOD

LODチャレンジ実行委員会のみなさん



2011年に続き2回目の開催。データセット部門、アイデア部門、アプリケーション部門、ビジュアライゼーション部門の4部門に対し計205作品の応募があった。3/7に表彰式を行う予定。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優秀賞  : CKANを用いたデータカタログサイト

CKAN

CKAN日本版の開発を進めている加藤さん


データポータルソフトウェアであるCKAN(http://ckan.org)を用いて、日本のデータカタログをまとめたサイトを構築。現在、有志のコミュニティで運営。2013年1月31日現在、オープンガバメントを推進している地方公共団体のデータを中心に、125のデータセットを掲載。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本マイクロソフト賞  : 横浜オープンデータソリューション発展委員会の活動

YODS

日本マイクロソフトの方と横浜オープンデータソリューション発展委員会の杉浦さん

横浜から世界に向けてオープンデータによって成長・発展する新しい都市の姿を発信していくことを目的として設立。アイデアソンやハッカソンの開催、情報発信など積極的に活動。

 

 

 

 

 

 

 

 

国際大学GLOCOM賞  : 東日本大震災アーカイブほか3件

GLOCOM

震災の被害状況を可視化し、災害の実相を世界につたえる多元的デジタルアーカイブズ。個別に存在していた被災地の写真、パノラマ画像、被災者の証言、TV報道映像、ジオタグ付きツイート等のデータを一元化し、Google Earthの三次元地形に重ね、俯瞰的に閲覧することができる。さらにタイムスライダー機能を備えており、震災発生後の時間経過に沿って資料を閲覧することも可能。データをiPhoneのARビューで閲覧できるアプリもリリースしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

ソフトバンクテレコム賞 : エレクトリカル・ジャパン

SB

東日本大震災後の日本の電力事情を理解するための電力データ集約・可視化サイト。電力の供給に関するデータとしては、日本全国約3300ヶ所の発電所の位置や出力を独自に調査してデータベース化するとともに、各電力会社が提供するリアルタイム電力供給データをアーカイブして利用。一方電力の需要に関するデータとしては、日本全国の電力消費を象徴するデータとして夜間照明光を観測した衛星観測データを可視化することで、電力供給を象徴する発電所の分布と比較できるようにした。また電力需要に関係する気象データ(アメダス気温・日照時間)も電力データと関連付けて利用できるようにしている。さらに経済産業省資源エネルギー庁や財務省が公開する政府統計データを解析し、グラフなどの形で可視化。データを核としたストーリーを作るデータジャーナリズムの方法論を活用し、日本の電力事情を発電所が開設された歴史のアニメーションで表現したり、電力融通データが示す意味などを解釈したりするなどの試みを行った。

 

 

 

全国地質調査業協会連合会賞 : 流山市/流山市議会の取組み

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市と市議会両方のサイトでオープンデータに取り組んでいる。市議会のサイトでは、議員基本情報や定例会議審議結果などをcsv形式で公開。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Open Knowledge Foundation Japan賞  : 電脳みやしろ

miyasiro

宮代町の担当の方とOKFJ庄司代表

オープンデータの活動が広がる以前からホームページ上に多様な種類のデータ提供を実施。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後にみなさんで! 全国各地から、多様な人達があつまりました。みなさんおめでとうございました!
all

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オープンデータ活用に女子の視点を!LODチャレンジ受賞チームインタビュー

2013年3月12日 in Special, 未分類


3月7日に開かれたオープンデータ活用コンテスト「LODチャレンジ表彰式」
(概要ページ)
http://lod.sfc.keio.ac.jp/challenge2012/index.html
応募総数205作品という、前年から大幅に増えた応募数の中から、オープンデータを活用した様々なアプリやアイデアが受賞しました。
(受賞作品まとめページ)
http://lod.sfc.keio.ac.jp/blog/?p=1071

そのなかで、ヒューマンセントリック賞 [富士通株式会社] を受賞した、女子だけのチームGIRLS FASHION LINKの洞渕彩未さん、中尾京子さんにインタビューしました。
お二人は関西地方の女子大で情報科学を学ぶ学生でもあります。
(GIRLS FASHION LINK作品説明ページ)
http://lod.sfc.keio.ac.jp/challenge2012/show_status.php?id=i037

 

Q1 やろうとしたきっかけを教えてください。

女子として一番関心があり、勉強してみたいファッションの分野で、情報がバラバラで集めづらいなあと以前から思っていました。元々大学で情報科学専攻でもあり、大学で学ぶことが活かせたらと。情報科学を女性としてやってみて、よりファッションの分野では情報化が進んでいないことに気づきました。

情報化が進んでいるところって、男性が関わっているところが多い。理系の分野は男性が多いし、情報も強い、そのため、女性が興味を持つ分野の開拓が進んでなかったと思うんです。

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Q2 回りの女性はオープンデータ活用に興味はありますか?

大学ではセマンティックウェブを研究していたりするので、その部分は理解はあります。LODに関しては、私の中では、堅苦しい物ではなくて、やわらかいもの、データがもっともっと繋がったら、使える対象は学術的なものだけでなく、日常的なものに役立つものかなと思います。それもあり、LODをファッションにと考えました。
今回の受賞で、回りにも広がっていけばいいなと思っています。

Q3 これからやりたいことを教えてください

セマンティックウェブが研究分野でもあったのですが、今回をきっかけにアプリ開発にも興味を持ちました。いままでデータベースしか知らなかったから、それがリンクしていく面白さを広げていきたいです。

ファッションなどを題材にすることで、いままでテクノロジーが縁遠いと思っていた女性にも広げていきたいです。女性目線から、その題材にあった技術を、これからもいろいろ使っていきたいです。

この分野への「女子」の進出を、これからもレポートしていきます。
取材協力していただいたお二人、そしてLODチャレンジ事務局のみなさまありがとうございました。