ネット選挙運動解禁後に必要なもの-1: ファクトチェック

2013年3月19日 in Special


いよいよ日本でもインターネットを使った選挙運動が解禁される見通しとなりました。各政党では議員向け研修会などが始まり、有権者も半数が好意的に受けとめているという調査結果も出ています。有権者が投票前に候補者と直接意見を交わし議論できることは大きなメリットがあり、歓迎すべき動きだと思います。

一方で、ネットを通じて広がる情報、特に定量的なデータについては、これまで以上に注意が必要です。先日、アメリカで行われた大統領選挙においても、かなりの頻度で間違った数字が含まれていました。日本でもネットでの選挙運動が始まると、こうした誤った数字が素早く、広範囲に拡大することが懸念されます。

こうした状況に対応するために、アメリカではFactCheckという団体が活躍しています。FactCheckは政治家の様々なメディアを通じた発言を監視し、データが正しいかどうかをチェックしています。

例えばオバマ大統領は「高品質のプレスクールに1ドル投資することによって、後に7ドルのリターンを得ることができる」と主張しました。しかしFactCheckによれば、この数字はミシガンの経済的に困窮している若者を対象にした小規模の2年制プログラムにおける経済分析に基づく数字であることが判明しました。オバマ大統領は「アメリカのすべての子どもに1年制のプログラムを提供する」ことを主張しているため、FactCheckはオバマ大統領が「7ドルのリターンを得ることができる」という数字を用いることは事実に反するとして、FackCheckのサイトで誤りを指摘し公開しています

FactCheckが利用しているデータの多くは、連邦政府や地方政府が公開しているオープンデータです。米大統領選の例が示すように、ネットという新しい選挙活動の場において1票でも多くの支持を得たいと考える候補者は、有権者の関心を引き付けるために刺激的なデータを挙げるケースが多々あります。こうしたデータが正しいかどうかをチェックできる仕組みが日本でも必要です。

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Tomihiko Azuma

Written by

Chief Fellow, Institute for International Socio-Economic Studies (株式会社国際社会経済研究所 主幹研究員)