データサイエンティスト × オープンデータ ~Data Science for Social Good~

2013年3月28日 in Special


 

ITやテクノロジーなどによって社会問題の解決や社会貢献活動を促進する取り組みの”Social Good”は、これまでソーシャルメディアやネットサービス、アプリケーションや「sinsai.info」のようなプラットフォームという形で広がりを見せています。

それと共に、職業上の専門知識やビジネススキルを生かした社会貢献活動であるプロボノも、徐々に注目を集めるようになってきました。

現在はエンジニア、マーケター、デザイナーといった職業の方達が多く活躍されていますが、今後需要が高まるであろうスキルが”データサイエンス”の分野です。

欧米のように規模が大きく、多種多様なデータを保有する非営利組織は日本にはそれほど存在しないかもしれません。しかしながら、世界的なオープンデータの普及によって、データを分析するための人材と時間の確保という問題を除けば、様々な社会問題の可視化・解決方法の模索などを行うための環境が揃ってきているのです。

 

データサイエンティストのプロボノ集団 DataKind × World Bank

datakind-worldbank

NPOやNGOなどの非営利団体のデータ分析支援を行っている、データサイエンティストのプロボノ集団として有名な DataKind (2012年4月まで “Data Without Borders” として活動) は、2011年10月から数ヶ月に一度、アイデアソン・ハッカソンである”DataDiveを開催しており、その規模は徐々に拡大し、2012年9月にはアメリカ国外初となるロンドンで開催されました。

そして、2013年2月22日には International Open Data Day のイベントの一環としてウィーンで UNDP/World Bank DataDive を開催、23日にはワシントンD.C.でハッカソンを開催し、そこで出たアイデアを形にすることを目的とし、2013年3月15日〜17日にかけてワシントンD.C.で DC DataDive with the World Bank が開催されました。

 

今回のDataDiveの共催組織であるWorld Bankは、data.worldbank.org を通じて独自のオープンデータカタログや API 、データ可視化ツールから、オープンデータ度評価ツールや、誰でも投稿可能なデータ可視化投稿ブログ「World Bank Dataviz」まで、オープンデータに関して様々な最先端の取り組みをしている組織であり、オープンデータの可能性を最も信じている組織の一つであると言えるのではないでしょうか。

今回の DataDive with World Bank には、およそ150人の様々な”データスキル”を持つ有志が参加し、「”貧困”と”公共事業における買収・詐欺などの不正行為”の撲滅」という目標に向け、9つのプロジェクトに取り組みました。

それらのプロジェクト詳細と成果物は、こちらの記事からそれぞれのページへ飛ぶことができます。

 

当日の様子は、27日にWorld Bankが公開した動画を共有します。

 

特に貧困対策についてのプロジェクト内容はとても興味を引くものでした。それは、政府統計データだけでは問題を可視化・把握することが出来ないケースもあるため、これまで定石となっている貧困を測る指標ではない全く新しい代理指標を見つける、というものでした。

例えば、2011年にオープンデータポータル「opendata.go.ke」を公開しているケニアは、国勢調査などの主な統計調査は10年に一度行われています。そのため、国内を把握する最新データを得られるまで最大10年待たなければいけないのです。ケニアで行われている大規模な家計調査”Kenya Integrated Household Budget Survey”は前回実施が2005年のため、あと数年待つ必要があります。

しかしながら、ケニア(などの開発途上国)では Code 4 Kenya のようなICTやオープンデータを活用しての経済発展・課題解決へ向けた動きが進行しており、その効果を最大化するためには、データの更新頻度を将来的に上げる必要があるのです。

 

それでは、更新頻度の低い政府統計データの代替として貧困を測るデータとはどのようなものが考えられるのでしょうか。今回のDataDiveでは、以下の3つの成果物が作成されました。 特に、貧困指標と光度の関係についてはとても興味深い結果が出ています。

 

DataKindは「今回のDataDiveだけで問題を解決できるような答えが出るのではなく、これが解決へ向けた大きな一歩となる」と考えており、このような活動を続けていくことによって、Twitterのハッシュタグにある #data4good の精神が世界に広がっていくのではないでしょうか。

オープンデータによって、データサイエンティストが解決できる課題は、所属する企業・組織のものだけでなく、社会問題にまでその対象は広がっています。DataDiveへの参加者は、いわゆる”データサイエンティスト”だけでなく、”データを愛する”(Data Geek、Data Hacker、Data Enthusiast など)様々な人が集まって行われています。

そんなムーブメントが日本でも起こる時が来るのでしょうか。2月23日に行われた International Open Data Day Japan にはデータ分析を生業としている方も参加されていました。OKFJとして、オープンデータを活用したアイデアソン・ハッカソンにどうすればデータサイエンティストが参加しやすくなるのか、そして”Data for Good”のムーブメントをどのように支援できるのかということも考えていこうと思っています。もし、日本でも既にそのような動きがあるという情報がありましたら、是非教えてください。

 

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Naoyuki Ito

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マーケティングリサーチ会社にて、データ分析によるマーケティング支援やデータ分析環境の開発・構築。2014年4月からは、デジタルマーケティングへの3D(オープンデータ、パーソナルデータ、ビッグデータ)活用によって、生活者主導で豊かな生活が送られる社会の実現を目指しています。