大家さんの強い味方、賃借人履歴情報サービスに見る日米の違い2

2013年4月8日 in Special


2013年3月13日、米連邦取引委員会(FTC)は賃借人履歴情報サービス企業等に対して公正信用報告法(FCRA)違反の疑いがあると警告書を送りました

FCRAとは、民間部門における個人信用情報の提供や利用等などを規制するための法律として1970年に制定され、1971年から施行されています。FCRAの規制対象は消費者報告機関(Consumer Reporting Agency, CRA)と呼ばれ、第三者に消費者報告を提供する目的をもって消費者の信用情報等を収集・評価することを業としている機関です。

FCRAの規制目的は簡単に言うと次の3点です。

  1. 消費者情報の利用目的を雇用、住宅供給、信用調査などに制限する
  2. 消費者情報の正確性を最大限保証する
  3. 情報主体への情報開示と、情報が誤っている場合の異議申し立ての権利を保証する

FTCが問題としているのは、賃借人の選別という目的のためだけに賃借人履歴情報を利用しているかどうか、提供されている賃借人履歴情報が正確であるかどうか、賃借人に対する情報開示と異議申し立て権が保証されているかどうか、という点です。例えば、大家さんが単なる興味から近所に住んでいる人を調べたり、良い賃借人を見つけるためのマーケティングにこれらの情報を用いるのはFCRA違反となります。

しかし、できるだけ正確な賃借人履歴情報を集め、大家さんに提供し、申込人選別に利用することについては何も問題とされていません。つまりFTCは賃借人履歴情報サービス企業に対して、賃借人履歴情報サービス事業者も消費者報告機関なのだから、利用目的を遵守し、正確なデータを集め、情報主体の権利を守りなさいと警告しているに過ぎません。

個人の情報をできる限り公開しない方がプライバシー侵害などの問題を起こさなくて済み消費者保護につながるという消極的な考え方ではなく、むしろ、正確性や納得性を向上させるために正確なデータをより広範囲に収集して提供する方が、消費者の利益につながるという積極的な考え方が基本にあります。

(続く)

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Tomihiko Azuma

Written by

Chief Fellow, Institute for International Socio-Economic Studies (株式会社国際社会経済研究所 主幹研究員)