大家さんの強い味方、賃借人履歴情報サービスに見る日米の違い3

2013年4月10日 in Special


日本にも賃借人履歴情報サービスに似たものがあります。国土交通省の社会資本整備審議会の住宅宅地分科会に設けられた民間賃貸住宅部会では、家賃債務保証会社における弁済履歴情報の共有が議論されてきました。その結果は平成22年1月に「最終とりまとめ」として公開されています。

賃貸住宅管理業者が加盟する公益財団法人日本賃貸住宅管理協会は民間賃貸住宅部会での議論を受けて、一般社団法人全国賃貸保証業協会(LICC)を設立し、LICCによる代位弁済情報(家賃情報)データベースの運用を開始しました。

このデータベースは、賃借人が賃料を滞納した際に家賃債務保証会社が賃借人に代わって弁済した履歴を記録したものです。家賃債務保証会社は賃貸契約を申し込んだ賃借人の審査にこのデータベースを利用しています。利用できるのはLICCの会員企業に限られており、一般の大家さんは利用することはできません。

代位弁済情報データベースに登録されている情報は以下の通りです。

  • 氏名、生年月日、旧住所、電話番号、免許証番号等の個人特定番号
  • 保証対象物件名・部屋番号、保証対象物件住所、保証開始日、月額賃料、保証終了日
  • 入金額、代位弁済残高など

情報の登録期間は賃貸住宅の退去・明渡しから5年間(延滞があった場合は債務が消滅してから5年間)に限られています。アメリカのNTNと比べて、この日本の代位弁済情報データベースには次のような特徴があります。

  1. 利用目的が家賃債務保証の査定に限定されていること
  2. 利用者が特定の団体メンバーに限定されていること
  3. データの種類が非常に限られていること

民間賃貸住宅部会の議論では、こうした情報提供サービス事業に民間事業者の参入は禁止できないという意見が出る一方で、登録すべき情報を悪質な滞納を行う賃借人の弁済履歴等の一定の範囲のものに限定すべきであるという意見も出ています。

日本でもマイナンバー法案が閣議決定を経て国会に提出されたのに伴い、個人情報保護やプライバシー問題を懸念する声も高まっています。この賃借人履歴情報サービスの例からも明らかなように、賃借人履歴情報を何の目的で、誰に、どこまで公開するのかということだけに関しても、日本とアメリカでは大きな違いがあります

データは公開しなければ活用できません。しかし、何を重視し、何を保護するのかについては、それぞれの国で考え方に大きな違いがあります。「データを公開する」ということに対してたとえ賛成であったとしても、市民が納得できる範囲や深さは国ごとに異なります。こうした違いを踏まえた上で、国民が受け入れやすい制度設計を進めていく必要があるのではないでしょうか。

(終わり)

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Tomihiko Azuma

Written by

Chief Fellow, Institute for International Socio-Economic Studies (株式会社国際社会経済研究所 主幹研究員)