manabalss.lv、ラトビアの優れものオンライン請願システム

2013年4月12日 in Special


オンライン請願システムとしては、We the PeopleChange.orgなどが有名です。We the Peopleはアメリカ政府が運営し、Change.orgは民間企業であるChange.org, Inc.が運営しています。それぞれ素晴らしいシステムなのですが、残念ながら欠点もあります。

たとえばWe the Peopleでは、請願に対する署名が2万5千人を超えると政府は公式に回答をしなければならないとされています。請願の内容に厳しい制約はないため、2016年までにスターウォーズの「デス・スター」の建設開始を求める、というような実現性に疑問のある請願に対しても、署名が基準を超えればアメリカ政府は公式に対応をする必要があります

一方、Change.orgは民間企業が運営するサイトであるため、請願に100万人の署名が集まったとしても、その請願を検討するかどうかは政府が判断します。署名を多数集めることは政府に対する強力な圧力になりますが、その請願を政府が公式に扱うか否かはあくまで政府次第です。

ラトビアのオンライン請願システムmanabalss.lvは、偶然の幸運と独自のスクリーニングシステムによって、We the PeopleやChange.orgのこうした問題をうまく回避しています

ラトビアといえば、一部の有力者が権力を握る密室政治で有名な国であり、市民の政治参加や政府に対する信頼はEU内で最低クラスとも言われてきました。

こうした状態を変えるためラトビアの20代の若者2人がmanabalss.lvというオンライン請願システムを立ち上げました。manabalss.lv立ち上げから間もなく、引退間近の大統領がただちに支持を表明し広く使うよう働きかけを行ったことから、議会はmanabalss.lvに投稿された最初に請願について投票することを決め、その後の審議を経て、この最初の請願が成立しました。

その最初の請願とは

manabalss.lvで1万人以上の署名を集めた請願については、ラトビア議会は公式に審議しなければならない

というものです。

さらに、manabalss.lvは、議会が実現性の高くない請願について審議しなくても済むように、独自のスクリーニングシステムを構築しています。

  1. 請願が登録されると24時間以内に専門家グループから、請願には足りないものは何か、請願をもっと良くするにはどうすれば良いかなどのフィードバックを受ける
  2. 請願を修正後、請願にはURLが割り当てられ、請願者はそのリンクをTwitterやFacebookで共有して100人から署名を集める
  3. 100人の署名が集まった段階で、ボランティアの法律家が請願をチェックし、法的に適切かどうか、憲法に違反していないかどうか、問題に対する真の解決策になっているかどうかなどを確認する
  4. 法律家のチェックをパスした請願についてだけ、議会で審議するために必要な1万の署名集めを開始する

オープンガバメントやオープンデータに関しては、これまで遅れていると考えられてきた国が、1つの活動をきっかけに最先端に出てくるケースをしばしば目にします。そうした国は資金的にも豊かでない場合が多く、ボランティアの専門家やソーシャルメディアを上手く使いこなしています。“mana balss”とは”my voice”の意味で、市民の声が市民の後押しを受け、専門家の支援のもと議会に届き、法案へと繋がっていく素晴らしい仕組みがラトビアにはあります。

 

参考: 

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Tomihiko Azuma

Written by

Chief Fellow, Institute for International Socio-Economic Studies (株式会社国際社会経済研究所 主幹研究員)