レポート:「データ公開ニーズを深堀りする ~オープンデータトークシリーズ(1)」

2013年4月29日 in Featured, News, Special


904485_499182313481244_930106737_o4月26日、Open Knowledge Foundation Japanと国際大学GLOCOMオープンガバメント研究会は共催で、「データ公開ニーズを深堀りする」と題したイベントを開催しました。これは、2013年度から月1回のペースで開催していく「オープンデータトークシリーズ」の第1回です。

開催概要

◯日時 2013年4月26日(金)19:30〜21:30

◯会場 国際大学グローバル・コミュニケーション・センター (東京都港区六本木6-15-21ハークス六本木ビル2F)

政府は新しいIT戦略の柱として公共データの活用を掲げ、今後、新規ビジネスの創出や官民協働を強力に進めていく方針を示しています。政府がデータ公開に積極的な姿勢を示しているいま、私達はどのようなデータの公開を求めていくべきでしょうか。またそれらが公開された時にどのように活用していくことができるでしょうか。「オープンデータアイディアボックス」に寄せられた意見や要望、その他の委員会等で公開されたニーズ調査の結果などを読み込み、皆さんと一緒に公共データ活用の具体的な姿を思い描く機会にしたいと思います。当日は参照資料などを元に多くの方に意見を出していただき、議論を深めたいと考えています。

◯参照資料

1.2月に政府が行った「オープンデータアイディアボックス」に寄せられた意見やデータ公開ニーズ

2.オープンデータ実務者会議等に提出された調査結果など

3.International Open Data Dayで発掘されたニーズ

◯主な参加者

平本健二氏 政府CIO補佐官 兼 経済産業省CIO補佐官

座間敏如氏 政府CIO補佐官 兼 財務省CIO補佐官

川島宏一氏 佐賀県顧問 (株)公共イノベーション代表

高木祐介氏  (株)自動処理代表取締役、オープンビジネスソフトウェア協会副会長

松谷豊氏・恩田さくら氏 一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)電子情報利活用研究部

庄司昌彦 国際大学GLOCOM/オープン・ナレッジ・ファウンデーション・ジャパン代表 他

レポート

冒頭にOKFJ/国際大学GLOCOMの庄司が、「オープンデータの活用に関心が高まってきている中、『どんな情報にニーズがあるのか』あるいは『ニーズ調査をしたいのだが』といった相談を受けるようになってきた。政府が昨年度末に行った「オープンデータアイディアボックス」や経団連が行った調査、JIPDECが行った調査などにはそうした疑問に答える有益な情報が含まれており、これらの調査を紹介することで、もう一段深いニーズの検討ができるのではないかと思う」と会の趣旨を説明しました。

476953_499182616814547_370310320_o次に川島氏が政府のオープンデータ関連のこれまでの動きを概説し、「具体的な活用事例がどんどん出てきて欲しい。そのような動きが、その後の動きに拍車をかけていく。だから、今から想定されるデータを見ていただいて、狙いを定め、データ活用の準備を始めて欲しい。これからのオープンデータの動きは、事業仕分けの時のような国民的関心を起こせるかどうかが鍵になる。この意味で、政府側の最初の動きと合わせ、開発側、ニーズ側も大きなうねりを起こしていって欲しい」と強い期待を述べました。

そして、(株)自動処理の高木氏から政府の「オープンデータアイディアボックス」の投稿内容を整理したマインドマップの紹介、JIPDECの松谷氏・恩田氏から同協会が行った調査内容  (参考資料) の紹介、政府CIO補佐官の平本氏からこれまでの調査を俯瞰した分析やコード体系の一覧等の紹介が行われました。

その後は約50名の参加者が、これらの資料を踏まえ、「3つ以上のデータを活用した、ビジネス的・社会的インパクトが大きな具体的アイディア」を検討しました。進め方は次の通りでした。

  1. 各自で「3つ以上のデータを活用した具体的アイディア」をたくさん考える (20分)
  2. 5人程度のグループでアイディアを紹介しあい、そのグループで「最もビジネス的・社会的インパクトが大きなアイディア」を決める(20分)
  3. アイディアを(1)内容の解説と、(2)使用するデータ、に分けてTwitterに投稿する(10分程度)
  4. Twitterの投稿を読み上げ、内容を全体で共有

各グループのアイディアは次のとおりでした。

461311_499182073481268_48502705_o第1グループ

  • 政治資金収支報告書×公共投資情報×公共工事発注データ×得票率×雇用×受注企業=公共事業による影響と政治家の影響力と選挙結果の相関を把握
  •  地価×各自治体における気象および災害に関わるデータ×犯罪情報×交通事故多発時点情報×公共交通×道路情報×予防接種×通勤所要時間×保育園×避難地図×家計調査×都市計画
  • 住みたい街、住みやすい街を、教えてくれるwebサイト・サービスの構築

第2グループ

  • RSMDP Project = “Realtime Seafood Market Data Platform” 天候や、POSデータなどと組み合わせ消費量や小売価格を予測することで、漁師が最適な売り場(=漁港)に行くことができ、国民も最適なシーフードに辿りつける。日毎に変動する、漁港ごとの水揚げ量、価格をデータとして提供してもらうことが前提。
  • 使うデータ 【天候】【漁港ごとの日別水揚げ量/価格データ・出荷量】【POSデータ】【地方自治体によるイベントカレンダー】

第3グループ

  • 行政の効率の可視化、全国的な収支の可視化
  • 使用データは、町丁目単位の人口、行政単位の収支(経年)、GDPを元に、GDPを指標として全国平均に比べて非効率な運営がされている改善ポイントを探し、ビジネスチャンスを明らかにする。

第4グループ

  • あらゆる層の人たちが暮らしやすい街を見つけることができるスマートライフ構想
  • 使用データ:駅の数、混雑率、路線数、始発終電時間。医療機関の数、待ち時間。メッシュの年齢別人口分布、雇用分布。公共サービスのサービスコードとサービスレベル。

第5グループ

  • 災害時の要避難支援者リストと避難所、避難ルート、避難支援者のデータから避難計画を作成し、発災時にはスマホアプリ(online、offline)により避難支援を行う
  • 使用データ:地番現況図、住居表示地図、避難所リスト、道路ネットワークデータ、標高データといったオープンデータ+個別情報(要避難支援者、自治会等の支援者リスト)

第6グループ

  • Government Data Store. ①公共データを使った様々なデータサービスのお題とデータフォーマットをアップ、②政府、自治体、市民がデータをクラウド入力、③出来上がったデータサービスを企業に提供。たとえば、わが街チョイス、ジャパラン。
  • 使用データ:たとえば、学校テストデータ、緑化率、喫煙率、高齢化比率、、、、、etc.

第7グループ

  • ゴミを減らす方法(環境問題対策)
  • 使用データ:処理量、ゴミの量(種類別)、地域別処理能力、人口、カラスの棲息数、食品廃棄量、環境汚染度、搬入搬出量

第8グループ

  • 地域(自治体)と,移動を検討している主体(人や組織)をマッチングするサービス.例1: 補助金を狙っている企業が質問に答えていくと,マッチする地域と,その補助金の効果もあわせて可視化.
  • 使用データ:例1の場合,補助金・公募情報と,法人情報と,税金と,許認可情報など

第9グループ

  • アイデア:子どもがいる親向けのトイレ情報、コンセプト:公共データx民間データで価値を出す、プレーヤー:子ども向けサービスをやっている業者。
  • 使用データ:公共トイレの位置(公共データ)+建物の建築申請の図面からトイレデータを抽出(民間データ)+民間も含めたトイレ口コミデータ(特に子どもの使いやすさ:バリアフリー、おむつテーブル)+空き情報(リアルタイム)

第10グループ

  • 自殺と気象と経済の関係性
  • 使用データ:気象情報(アメダス、紫外線(UV等))、市区町村単位の自殺データ、経済指標

第11グループ

  • 空き地情報を利用したマイクロビジネス活性化アイディア。空き地情報を地価とセットで公開し、空き地所有者と空き地を借りたい人をマッチングするサービス。
  • 使用データ:不動産登記情報、路線価、周辺人口情報

当日のツイートは以下にまとめられています。
Togetter:「データ公開ニーズを深堀りする」国際大学GLOCOMオープンガバメント研究会 / Open Knowledge Foundation Japan共催 ~オープンデータトークシリーズ(1)

今後もこうした勉強会的イベントを月1回のペースで開催していく予定です。ご期待ください。

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Masahiko Shoji

Written by

庄司 昌彦(しょうじ まさひこ)一般社団法人オープン・ナレッジ・ファウンデーション・ジャパン代表理事。国際大学 グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)准教授・主任研究員。1976年、東京都生まれ。中央大学大学院総合政策研究科修士課程修了。おもな関心テーマは情報社会学、電子行政・オープンガバメント、地域情報化、社会イノベーションなど。2010-12年、内閣官房IT戦略本部「電子行政に関するタスクフォース」構成員として「電子行政オープンデータ戦略」につながる議論に参画。2016年3月より内閣官房IT総合戦略室オープンデータ伝道師。2015年より総務省地域情報化アドバイザー。その他、一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)理事なども務めている。著書(共著)に『地域SNS最前線 Web2.0時代のまちおこし実践ガイド』(2007年、アスキー)など多数。