抗生物質耐性がG8サイエンスミーティングのトップアジェンダに、オープンデータで新薬開発を加速

2013年6月12日 in News


イギリスで開催されるG8のサイエンス・ミーティングでは、抗生物質に対する耐性問題がトップアジェンダとなる見込みです。イギリスのデビッド・ウィレッツ大学・科学担当大臣は、新しい抗生物質の開発と効果的な使用方法を見出すために、G8各国がどのような協力ができるのかを話し合いたい意向です。

公衆衛生における最も深刻な問題の1つは、ほとんどの抗生物質が効かない”Superbugs”と呼ばれる抗生物質耐性菌です。専門家は”Superbugs”によって日常的な感染でさえ治療不可能になる日が急速に迫っていると警告しています。実際に世界では毎年、多剤耐性結核が約44万件発生し、約15万人が死亡しています。

2011年にイギリスでは6件の多剤耐性結核が発生し、1995年以来最悪の状態となりました。一方で、過剰な抗生物質投与が薬剤耐性を増やす原因にもなっており、欧州疾病予防管理センター(European Centre for Disease Prevention and Control)は、病院で処方される抗生物質の約半分は必要ないと試算しています。

ウィレッツ大臣は、公衆衛生のような世界規模の問題を解決したり、研究成果を社会的・経済的に最大限活用するためには各国が協調して取り組む必要があり、今回のG8では抗生物質に対する耐性問題を是非議論したいと述べています。さらにウィレッツ大臣は、オープンデータと研究成果に対するオープンアクセスも国際的な重要課題であり、政府の透明性の根幹をなすだけでなく、新薬などの科学的な新発見を加速させ、経済成長をもたらすものであるとも指摘しています。

EUでは2008年1月から2012年6月にかけて、多数の医療機関が保有するデータを集めて解析し、抗生物質耐性と闘う方法をEU加盟国の14の医療機関が協働で発見するDebugITプロジェクトを実施し、大きな成果を上げました。イギリスの医療機関もDebugITに参加しました。ウィレッツ大臣はDebugITのG8版、あるいはワールドワイド版も視野に入れているかもしれません。

さらにイギリスでは先日、Guardianがオープンデータをもとに一般開業医が処方した抗生物質の量を計算し、地図にマッピングして公開しました。イギリスでは不要な抗生物質の投与を減らすために、こうしたオープンデータに基づく情報を活用できる状態に既にあります。

G8加盟国はカナダ、フランス、ドイツ、イタリア、ロシア、イギリス、アメリカ、日本です。日本とロシア以外は、いずれもオープンデータ先進国です。さらに、グラクソ・スミスクラインやロシュなど民間企業の治験データの公開も、新薬開発をスピードアップします。日本が国際的な活動から取り残されないために、官も民も一刻も早いオープンデータ化が望まれます

 

参考:

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Tomihiko Azuma

Written by

Chief Fellow, Institute for International Socio-Economic Studies (株式会社国際社会経済研究所 主幹研究員)