主要データのオープン化 日本政府はG8で4位だが”不合格”。さらなる努力が必要。オープン・データ・センサス 2013 概要発表

2013年6月14日 in Featured


g8「オープンデータと透明性」は、来週17~18日にイギリス北アイルランドで開催される主要8カ国首脳会議(G8サミット)の3つの主要議題のうちの1つとなっています。透明性を推進する諸団体が本日公開した、世界規模の調査「オープン・データ・センサス」(Open Data Census)の概要によると、基本的な情報をオープンデータとして公開するという点で、G8諸国には依然として取り組むべき課題が多くあることを示しています。

オープン・データ・センサスは、世界各地のデータ専門家のネットワークの協力を得て、オープン・ナレッジ・ファウンデーション(Open Knowledge Foundataion)によって実施されています。このセンサスでは、重要な10分野におけるデータのオープン性を測定しており、政府の透明性や説明責任の向上のために必須のもの(選挙結果や政府支出のデータなど)や、市民に必要不可欠なサービスを提供するために重要なもの(地図や交通機関の時刻表など)が含まれています。オープン・データ・センサス 2013の結果の完全版は今年後半に公開される予定ですが、今回は先行して概要をお伝えしています。

結果概要では、イギリスとアメリカの両国(G8諸国の中では最高得点)が、重要なデータセットの公開で大きく進展していることが示されていますが、依然としてやるべきことは残されています。多くの位置情報ベースのアプリやサービスで必要とされる郵便番号のデータがオープンデータではないことは、ドイツを除くG8諸国で大きな課題のままとなっています。また、法人登記のデータに関しては、G8諸国で最高点をとった国はありません。ロシアはG8諸国の中で、今回のセンサスが対象とする情報を、どれひとつオープンデータとして公開していない唯一の国です。

日本はアメリカ、イギリス、フランスに続く4番目の得点を獲得し、G8諸国の中では中位でした。しかし、日本とロシアだけが一つも満点の項目がないことや、法人登記情報について8ヵ国中最低点であったことなど、課題が浮き彫りになりました。日本はこれらの基本的なデータにオープンなライセンスを適用することで、G8諸国のトップクラスに浮上できるということも示されています。G8諸国に関する全調査結果はここからオンラインで閲覧できます:http://census.okfn.org/g8/

ルーファス・ポロック(オープン・ナレッジ・ファウンデーション設立者)は次のように述べています。「G8諸国の多くが、オープンデータへの支持を示していることをうれしく思います。しかし、今回の結果は、そうした言葉に行動が追いついていないことを示しています。G8諸国がオープンデータへのコミットメントを履行し、真の透明性や説明責任の実現のために、世界のデータオープン化を主導していくことを期待します。」

アンドリュー・ストット(前英国政府透明化・デジタル化推進担当局長、現英国政府公共部門透明性確保審議会委員)は、次のように述べています。「このセンサスは、オープンナレッジファウンデーションの世界のコミュニティが、最も重要な公共データセットのオープン性について、現状を測定した素晴らしいものです。センサスによると、過去数年間で、良い進捗が現れています。しかし、センサスは、すべての国が、オープンデータというビジョンを実際に実現するには、まだ多くの未達成事項を抱えていることも示していますし、それぞれの国が更なる改善を進めるに当たって取り組むべき課題についても明確に示しています。」

クリス・タガート(オープンにライセンスされた世界最大の企業情報データベース、オープン・コーポレイツ(OpenCorporates)の運営者)は次のように述べています。「法人登記は、法人の誕生と存続についての基本的な公共情報です。今日、我々は、大企業が、競争や監視から逃れるために、相互に関係しあっている何千もの企業からなる不透明なネットワークを構成できる世界に住んでいます。犯罪、マネーロンダリング、腐敗した公務員や詐欺師は、定期的に、トンネル会社のネットワークを使って、資金を隠したり、移動させたりしています。この文脈において、法令で定められた情報が、単に自由にアクセスできるだけでなく、自由に利用できるライセンスのもとで、機械判読可能なデータとして利用可能になっていることが不可欠なのです。今回のオープン・データ・センサスの結果は、こうした声が世界最大の国々の多くにはまだ届いていないということを示すものです。」

以上

2013年6月14日
オープン・ナレッジ・ファウンデーション・ジャパン

連絡先

お問合せは、オープン・ナレッジ・ファウンデーション・ジャパン( info[at]okfn.jp )までお願いします。オープン・ナレッジ・ファウンデーション・ジャパンの組織概要等については、こちら( http://okfn.jp/home/aboutus/ )をご覧ください。

注釈

  • G8各国は2013年6月17日から18日、英国・北アイルランドのファーマナ州で首脳会議を行う。G8とは、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、ロシア、英国、米国である。オープンデータと透明性は、今年の3つの主要議題のうちの1つに位置づけられている。
    参照: https://www.gov.uk/government/topical-events/g8-2013
  • オープン・ナレッジ・ファウンデーションとは、世界のデータを公開し、有効に利用されるようにするための世界的な運動であり、新しい知識と洞察によって市民に力を与え、公正で持続可能な社会を実現することを目指している。公的な情報や公的資金による研究、公的な文化コンテンツなどを含む、自由に再利用可能なオープンデータやオープンコンテンツを推奨し、それらを利用したさまざまな活動を促進する役割を担っている。
    参照: http://okfn.org/
  • オープン・データ・センサスとは、世界中のデータに関する専門家のネットワークによって、各国のオープン度を調査する活動であり、オープン・ナレッジ・ファウンデーションが取りまとめている。2013年のオープン・データ・センサスの最終結果は、今年後半に公開される予定である。調査対象となるデータセットは、選挙結果、法人登記簿、全国地図、政府予算(部門ごと)、政府予算(取引レベルのデータ)、法律、全国統計(経済と人口動態情報)、郵便番号データベース、公共交通機関の時刻表、主要な汚染源に関する環境データである。調査に関する詳しい情報については、このブログを参照のこと。G8各国についてのオープン・データ・センサス・プレビュー版は、オンラインで参照可能である
    参照: http://census.okfn.org/g8/
  • オープン・デフィニション(Open Definition)とは、データやコンテンツに関する”オープン性”を定義する指針を定めたものであり、データやコンテンツを自由に利用・再利用・再配布することができ、さらに他のデータやコンテンツと相互運用可能であることを保証するためのものである。そのためにOpen Definitionでは、オープンなデータやコンテンツは適切な形式でアクセスすることができなければならず、且つ、適切なオープンライセンスが付与されたものでなければならないと定めている。
    参照: http://opendefinition.org/
  • 英国と米国は、オープンデータは両国および世界にとって優先的に取り組むべき課題であると述べている。米国のバラック・オバマ大統領と英国のデーヴィッド・キャメロン首相は共に、公式のデータを公開することに対して明確で強い決意を表明した。2013年5月にオバマ大統領は”Exective Order”を発令し、オープンかつ機械可読であることを政府情報の新しい基準とすると発表した。この決断は広く歓迎され、大きな一歩となった。過去数年間に渡って、英国は政府の最も詳細な支出データをいくつか公開してきた
  • オープン・ガバメント・パートナーシップ(Open Government Partnership)とは、政府のオープンさを向上させる多国間の活動を推進する運動であり、2011年に始まった。これまでに59ヶ国がこのパートナーシップに加盟している。G8の半分の国はオープン・ガバメント・パートナーシップに加盟しているが(カナダ、イタリア、英国、米国)、残りの半分は現在加盟していない(フランス、ドイツ、日本、ロシア)。ロシアは5月にOpen Government Partnershipから脱退した
    参照:http://www.opengovpartnership.org/

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Masahiko Shoji

Written by

庄司 昌彦(しょうじ まさひこ)一般社団法人オープン・ナレッジ・ファウンデーション・ジャパン代表理事。国際大学 グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)准教授・主任研究員。1976年、東京都生まれ。中央大学大学院総合政策研究科修士課程修了。おもな関心テーマは情報社会学、電子行政・オープンガバメント、地域情報化、社会イノベーションなど。2010-12年、内閣官房IT戦略本部「電子行政に関するタスクフォース」構成員として「電子行政オープンデータ戦略」につながる議論に参画。2016年3月より内閣官房IT総合戦略室オープンデータ伝道師。2015年より総務省地域情報化アドバイザー。その他、一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)理事なども務めている。著書(共著)に『地域SNS最前線 Web2.0時代のまちおこし実践ガイド』(2007年、アスキー)など多数。