海賊党派議員が財務データをハッキング、ドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州

2013年7月30日 in News


日本では税金の使い道を追跡するプロジェクトWhere Does My Money Go?が驚くほどの速さで広がり、すでに35もの地方自治体のデータが有志の手によって可視化され、多くの市民に利用されています。財務関係のデータはたとえ公開されたとしても、一般市民がその内容を読み解き、自分の生活との関係を把握するのは至難の業です。Where Does My Money Go?が広く支持されている理由の一つは、難解な財務データを直感的に理解できるようシンプルな方法でビジュアル化したことにあります。

一方で、財務データを市民により深く理解してもらうためには、その内容をできるだけ細かく、かつ、さまざまな観点から分析できるように表示しなければなりません。しかし、ここにジレンマがあります。どのレベルで、あるいは、どのような方法で財務データを公開すれば、市民はより深く理解することができるのか、この課題にドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州議会に属する海賊党派(Pirates Faction)議員20名が挑戦しました

Wikipediaによれば、ノルトライン=ヴェストファーレン州はドイツに16ある連邦州の1つで、人口は約1800万人でドイツ国内トップ、31の郡と23の独立市から成り、デュッセルドルフ、ケルン、ドルトムントといったドイツを代表する大都市が存在しています。日本で例えると、東京都に相当する巨大な自治体です。

海賊党派議員が開発したインタラクティブマップを起動すると、ノルトライン=ヴェストファーレン州における支出データがヒートマップで表示されます。まず利用者は右側に表示されているダイアログを使って、見たい財務データをあらかじめ分類されている項目Produktgruppe(Product Group)の中から選びます。このマップではデータを16の大分類とそれに属する86の小分類に分けて選択できるようにしています。次に財務データとして収入と支出のどちらが見たいのか、さらに収入や支出の中で、どの会計科目を見たいのかをKonto(Account)から選択します。

このインタラクティブマップでは、im Verhältnis zur?(in relation to?)を切り替えることによって、表示する金額を一人当たりの金額(Einwohnerzahl(Population))や㎢当たりの金額(Fläche(Area))、絶対額(absolut(absolutely))と自由に切り替えることができます。またGebietsgröße(Size of area)によって、ヒートマップの境界レベルを詳細な町レベル(Gemeinden(Communities))としたり、郡・独立市レベル(Landkreise(Counties))としたりできます。Abrechnungsjahr(Accounting year)において、2009年から2011まで会計年度を選ぶことが可能です。

例えば、全分類の支出総額を絶対額で表示した場合、人口の多いデュッセルドルフやケルンは金額が突出しており、ヒートマップでは濃い色で表示されます。しかし、一人当たりの支出額に表示を切り替えることによって、ケルンが他の都市や町に比べてそれほど突出しているわけではないことがわかります。財務データの分類や収入や支出の別を自由に選び、さらに金額をさまざまな基準で表示して見比べることによって、市民の財務データに関する理解は確実に深まります。

さらに、ヒートマップ上で町や郡・独立市をマウスでクリックすると、人口、面積、金額などのデータがポップアップします。ポップアップの最下部にあるボタンをクリックすると、その町や郡・独立市のバランスシートを見ることができるようになっています。

このインタラクティブマップで利用しているデータは以下の通りです。

ドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州議会の海賊党派議員たちは、公的機関、非営利組織、民間企業など、さまざまな組織からデータを入手し、それらを組み合わせることによって、市民に対して財務データをより詳細に、かつ、わかりやすく伝えることに成功していると言えるのではないでしょうか。

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Tomihiko Azuma

Written by

Chief Fellow, Institute for International Socio-Economic Studies (株式会社国際社会経済研究所 主幹研究員)