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イタリア社会保障保険公社、320種類のデータセットを一気に公開

2013年7月11日 in News

イタリア社会保障保険公社(Istituto Nazionale della Previdenza Sociale, INPS)がデータ公開をより積極的に進めはじめました。もともとINPSは、2012年からOpen Data INPSを通じてデータ公開をしてきましたが、今回は320種類を超えるデータセットを一気に公開しました。

Open Data INPSは誰でも データをExcel, CSV, XMLでダウンロードすることができ、APIも用意されています。ライセンスはItalian Open Data License (IODL)2.0で、出典を明記するだけで自由に使うことができます。IODL1.0の際にやや問題となったShare-Alikeの制約はありません。利用者がデータセットに対する満足度を5段階で評価し、フィードバックする機能もあります。

データポータルでは掛金率(Contribution Rate)のデータをはじめとする年金に関する様々なデータが公開されていますが、その中でも特に人気があるのは早期退職条件のデータです。早く退職して人生をエンジョイしたい人が多いからでしょうか。「ベビー年金生活者」の削減に努力してきたINPSは、この人気ぶりにやや複雑な思いを抱いているかもしれません。

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Requirements for access to early retirement
(注: 原文はイタリア語、本画面は英語に翻訳したものです)

INPSは今回のデータ公開をもって、イタリアが先のG8ロック・アーン・サミットで合意した高付加価値データ公開において、「社会的流動性と福祉」分野のデータ公開に大いに貢献することになると述べています。政府から莫大な公的支援を受けているINPSですから、政府の国際公約実現に貢献できていることをアピールしたいという気持ちもよくわかります。

 

参考

ウリヤノフスク州政府、世銀のオープンデータ準備度アセスメントを経てデータを公開、自治体の一つのモデルとなるか?

2013年7月11日 in Special

2013年7月8日、ロシア連邦のウリヤノフスク州政府はオープンデータポータルを立ち上げたと発表しました。公開されているデータセットは25種類と決して多くはありません。しかしその内容は、住宅、公共施設、ヘルス・ケア、社会福祉、ウリヤノフスク市当局に関するデータ、街路や道路のネットワークなどであり、非常に質の高いデータを厳選して公開しています。

ウリヤノフスク州政府がこれらのデータを優先的に公開したのには訳があります。州政府はオープンデータポータル開発前に、世銀からオープンデータ準備度に関するアセスメントを受けており、その結果に基づいてオープンデータポータルを構築しました

2012年10月、ウリヤノフスク州政府は世銀とオープンデータ推進に関する覚書を交わしました。この覚書にもとづき2013年2月、アンドリュー・ストットに率いられた専門家チームは、世銀が開発したOpen Data Readiness Assessment Toolを用いて、ウリヤノフスク州のオープンデータ準備度の評価を行いました世銀がOpen Data Readiness Assessment Toolのドラフトを公開したのは2013年1月です。これを考えれば、ウリヤノフスク州政府のオープンデータに関する意思決定や行動がいかに素早いものであるのかがわかります。

アンドリュー・ストットはイギリス政府のデータポータルdata.gov.ukの開発に多大な貢献をした人物で、イギリス政府だけでなく世界的にオープンデータをリードしてきた超一流のコンサルタントです。Open Knowledge Foundation(UK)のアドバイザリー・ボードにも加わっています。

世銀が実施したウリヤノフスク州政府に対するアセスメントのサマリーは以下の通りです。

Ratingの意味は次の通り

  • G(緑):準備が整っていることを示す明らかな証拠がある
  • Y(黄):準備が整っていることを示す証拠はあるが、やや不明確
  • R(赤):準備が整っていることを示す証拠が存在しない
  • O(灰):準備度を評価するための情報が十分でなく評価できない

ウリヤノフスク州政府は資金調達を除いたすべての項目で、GまたはYと評価されています。州政府はオープンデータを進める上でのリーダーシップや政治的/法的な枠組み、組織構造と責任ある体制、技術やスキルなどのインフラはほぼ整っており、企業や市民からのデータに対するニーズも高く、データを中心としたコミュニティについても形成されつつあると評価されています。さらに評価項目の中には、市民参画を促すために重要なデータセットが明記されており、こうしたデータを政府が公開できる準備がほぼ整っていることも確認されました。

Open Data Readiness Assessment Toolはあくまで「証拠」に基づいて評価している点にも注意が必要です。政府関係者や首長の意気込みやアイデアなどではなく、実際に起きていることや実際に存在していることを第三者が観察できるかどうかによって準備度を評価します。

特にデータセットに関しては詳細なアセスメントが行われます。10数種類のデータカテゴリそれぞれについて、データセット公開が政策面、技術面、制度面から実現可能性があるかどうかがチェックされ、公開した際の便益とリスクを明らかにし、さらに即効性のある対策と重要で中期的な対策とがアドバイスされます。

以下は世銀のウリヤノフスク州政府に関するアセスメントレポートにおけるKEY DATASET FINDINGS AND RECOMMENDATIONSにおいて、”School profiles and ratings”というカテゴリーのデータセットに関するアセスメント結果をまとめたものです。

ODRA-School-Ratings

ODRA Ulyanovsk Final eng 2013-04-15 clean.doc
“School profiles and ratings”を翻訳

今回、ウリヤノフスク州政府はこうした世銀による徹底的なアセスメントの結果をもとにして、25のデータセットを選び、オープンデータポータルを通じて公開しました。

オープンデータ政策の進め方には様々な方法があります。市民の関心を高めるためのイベントを開催したり、まずできるところからデータを公開していくという方法もあります。それぞれの方法にはメリット、デメリットがあり、どの方法が一番良いのかを判断することはできません。

もし、データをせっかく公開したのに市民に使ってもらえない、あるいは、データポータルを準備したのに政府内の各部門がデータを提供してくれないなどの問題をできるだけ避けたいのであれば、ウリヤノフスク州政府のようにアセスメントを基礎にしたデータ公開を検討してみるのも良いのではないでしょうか

参考

リミックス・アートが彩るコペンハーゲン・メトロのフェンス

2013年7月9日 in Special

拡張を続けるコペンハーゲン・メトロは、新しく線路が通る地域の住民にとって不満の種でした。フラストレーションがたまる住民感情を少しでも和らげるために、コペンハーゲン・メトロは地域コミュニティと協力して、フェンスを綺麗に飾ることを思いつきました。

この活動に協力したのがコペンハーゲン国立美術館(Statens Museum for Kunst, SMK)です。SMKはフェンスを飾る材料として、所蔵美術品のデジタル化されたイメージデータを提供したのです。

SMKで毎週ボランティアとして創作プログラムに参加してきた若きアート・パイロットの集団、”Young People’s Laboratories for Art” (ULK)が中心となり、地下鉄沿線に住むさまざまな人々と協働でフェンスをアートで飾る活動が行われました。

デジタル・ネイティブのアート・パイロットたちは、ロウデータとして提供されたイメージをPhotoshopで編集したり、重ね合わせたりして、独自の作品に仕上げました。また、もっと若い子どもたちは、親の手助けを受けながら、さまざまな芸術作品を切り貼りし、独特なコラージュに仕上げました。

若者たちにとっては、たとえどんなに有名な芸術作品であっても、そのデジタルデータを自由に加工、編集し、自分のアイデアやイメージを表現するための材料として使うのはごく当たり前のことで、まったく抵抗はありませんでした。

しかしこうした若者たちの行為は、年齢の高い世代の住人にとってはオリジナルの芸術作品に対する暴力のようにも感じられたそうです。こうした芸術作品の再利用について、世代を超えて活発な議論が行われたことも、このプロジェクトの大きな成果の1つとなりました。

SMKはこれまで、芸術作品のデジタルデータをパブリック・ドメインで公開し、自由に再利用できるようにしてきましたが、そうした芸術作品の再利用を促す行為がある人々にとっては好ましくないことがわかった点も大きな収穫となったとSMKは述べています。

芸術作品に対する思い入れは人それぞれ違いがあり、その違いを無視した一方的な施策は地域社会にとって決して良いことではありません。一方、芸術作品の再利用は、特に教育分野で非常に期待が高まっています。芸術作品は人の感情が大きな部分を占めるという点で、気象や輸送などのデータとは異なります。芸術作品の公開、再利用については、統計などのデータとは異なるアプローチが必要になるのではないでしょうか。

出典: Case Study: Remixing Openly Licensed Content in the Public Space

イラクの石油関連施設マップ、パイプラインや精製所など石油インフラが全て明らかに

2013年7月8日 in News

世界中でローカルメディア支援に取り組む非営利団体Internewsが、イラクの石油関連施設を網羅した地図を作成し公開しました。地図には、石油パイプライン、石油精製所、タンカー・ターミナル、ガス田、油井、油田が表示され、各アイコンをクリックすると詳細情報を見ることができます。Internewsによれば、この地図はInternewsがCovering Energyプロジェクトの一環として開発したもので、こうした石油インフラに関するデータが一か所にまとめて公開されたのはこれが初めてとのことです。

 

 

Covering Energyとは、ジャーナリストやコミュニティサービスを行う組織のスタッフを対象として、石油産業の基本原理を教育したり、石油採掘業界を取り巻く複雑な技術的課題についての理解を深めてもらう活動を行うプロジェクトです。なお、Covering Energyプロジェクトは合衆国国務省民主主義・人権・労働局(US State Department Bureau of Democracy, Human Rights and Labor)から資金提供を受けています。

 

出典: New Interactive Map Reveals Iraq’s Oil Infrastructure

 

中国ファーウェイ、インペリアル・カレッジ・ロンドンとビッグデータ研究開発センター設立で合意、オープンデータも研究対象に

2013年7月8日 in News

中国のハイテクICTメーカー、ファーウェイ(華為技術有限公司, Huawei Technologies Co. Ltd.)と、英国の公立大学インペリアル・カレッジ・ロンドンは、ビッグデータ技術の研究開発を行うセンターを設立することで合意し、了解覚書(Memorandum of Understanding)を交わしました

インペリアル・カレッジの副学長デイビッド・ガン氏は、新しい研究開発センターでは、新しいデータタイプや遺伝子・物理学・エンジニアリング・気候科学・エネルギーなどの大規模な科学データ、さらにオープンデータも対象として研究し、それらを分析するためのツールについても研究開発するとしています。

研究所はインペリアル・カレッジの新キャンパス、インペリアル・ウェストに置かれ、ファーウェイとインペリアル・カレッジ双方から数百人の研究者がまさに机を並べて極めて困難な予測モデルの研究や、データを一般市民が理解しやすいようにビジュアル化する方法などを開発します。

ガン氏は、インペリアル・カレッジはこれまでもIntel、Cisco、NEC、IBM、BT、Vodafoneなどと協働してきた経験があり、今回のファーウェイとの協働は珍しいものではないと述べています。

 

出典: Imperial College and Huawei pledge to develop big data technologies

データポータルの1つのお手本、data.police.uk

2013年7月4日 in News, 未分類

イギリスでオープンデータを推進している組織、Open Data Institute(ODI)が推奨するベストプラクティスと基本原則に従った、お手本のようなデータポータルdata.police.ukが立ち上がりました。その名が示す通り、このデータポータルはイギリスの犯罪や警察に関するデータを公開しています。

以下では特徴的な機能をいくつかご紹介します。いずれの機能も単に「データを公開する」というだけにとどまるのではなく、「データを使ってもらう」という利用者視点からデザインされているのがよくわかります。シンプルですが、使いやすい、優れたデータポータルの一例です。

 

カスタマイズ

データを日付で絞ったり、管轄の警察を選んでダウンロードすることができます。

 

大量ダウンロード

2013年5月の全データ740MBを一度にダウンロードすることができます。

 

更新履歴

更新履歴を2013年1月までさかのぼってみることができます。

 

APIに関する優れたドキュメント

データの出所、品質保証、匿名化、問い合わせする際の連絡方法などに関する情報が提供されています

 

参考: Crime and Policing Open Data Portal in UK

個人データの匿名化に悩んでいたら、まずUKANに聞いてみよう!

2013年7月3日 in Special

個人データを扱う人にとって朗報です。最大の悩みの1つ匿名化について、アドバイスしてくれる専門家ネットワークが立ち上がりました。

その名をUKANUK Anonymisation Networkといいます。個人データを使ったサービスを提供しようとしている企業や組織に対して、個人に関する詳細データを意図せず漏えいしてしまうリスクを最小限にするための方法をアドバイスしてくれます。

UKANは、イギリス情報コミッショ. ナー事務局(Information Commissioner’s Office, ICO)から資金提供を受け、 マンチェスター大学サウサンプトン大学Open Data Institute (ODI)、国家統計局( Office for National Statistics, ONS)が連携して運営しています。

UKANのメンバーに登録すると、個人データに関してメールで相談できるAdvisory Serviceを利用できます。匿名化で困ったときはadmin@ukanon.netにメールで問い合わせれば、マンチェスター大学の専門家がさまざまなアドバイスをしてくれます。

さらにUKANは、匿名化の専門家マーク・エリオット博士から1対1で1時間に渡ってさまざまな助言を受けることができるAnonymisation Clinic Serviceを、今後一年間に渡って連続して開催します。参加したい方は同じくadmin@ukanon.netにメールで申し込みます。

UKANのメンバー登録はいたって簡単です。名前、メールアドレス、勤務地を入れるだけで誰でもすぐメンバーになれます。私も早速メンバーになりました。イギリス最先端の匿名化技術やベストプラクティスについて知りたい方は、UKANを活用してみてはいかがでしょうか?

イギリスのOpen Government Licence がついに「オープンの定義」に適合しました

2013年7月3日 in News, Special

(訳注:この記事は本家OKFn.org記事の日本語訳です)

金曜日(訳注:6/28)に、イギリス国立公文書館はOpen Government Licence新しいバージョンをローンチしました。これはイギリス政府がその公共部門情報の獅子の分け前(訳注:イソップ寓話)を公開する際に使われる、いまやデフォルトのライセンスです。

この宣言はメディアではあまり取り上げられていないのですが、ライセンスの文章にひとつの小さな追加があり、我々はこれを見ることができて非常に喜んでいます。すなわち:

OGLv2.0 はオープンの定義に適合しています。

このライセンスの新しいバージョンはオープンの定義いまや公式に適合しています。

ご存知の通り、オープンの定義は「オープンデータ」や「オープンコンテンツ」における「オープン」の意味に対する原則を提示しています。これはオープンな資料は誰であれ目的を問わず利用および共有できるということ、そして – 重要なことに – オープンな資料は法的な問題無しに、自由に組み合わせることができるということを意味しています。この比較的短い文章の断片は、再利用とリミックスの青信号の役割を果たすことで、デジタルなコモンズの相互運用性の維持を手助けします。

Open Government Licenceの新しいリリースはオープンの定義の諮問機関を含むオープンデータ・コミュニティからの何ヶ月にも及ぶコンタルティングとフィードバックの最高到達点であり、いつくかの重要な変更点として結実しました。

イギリス政府の新しいデフォルトのライセンスがいまやこの定義に適合しているという事実は、公共部門データに対する新しいデフォルトをオープンにするという公式な宣言を正式に達成しました。

国立公文書館の情報政策マネージャであるJo Ellis はこのリリースに次のようにコメントしています:

Open Government Licence v2.0によって、オープンガバメントのライセンシングの進化における次のステップを見出しました。引き続き内容を洗練していくことで、新しいOGLのシンボルのローンチと同様、利用者にとってより分かりやすいものになるでしょう。OGLv2.0が今やオープンの定義に公式に適合したことを我々も喜んでいます。

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原文(2013/7/1 Open Knowledge Foundation Blog)

UK Open Government Licence is now compliant with the Open Definition / Jonathan Gray / CC BY 3.0

Neighborhood Score、あなたの街の「住みやすさ」は何点?

2013年7月2日 in Special

スタートアップのAppalliciousNeighborhood Scoreというアプリケーションを開発しました。このアプリはサンフランシスコ市内の住みやすさをブロックごとに100点満点で評価します。連邦政府や州政府を始めとする地方公共団体、さらに民間企業が提供する20ほどのデータセットを使い、コミュニティ、経済、教育、環境、住居、公共部門、交通手段などの要因毎に採点します。

このiPhoneアプリは日本でも使えます。アプリを起動して最初の画面でNeighborhoodを選択すると、緑、黄色、赤などで色分けされたサンフランシスコのヒートマップが現れます。皆さんが予想している通り、緑は総合評価が高い場所を表し、赤は低い場所を表しています。地図を適当にリサイズして、自分が知りたいブロックを指で2秒以上押し続けると、そのブロックのスコアがポップアップで表示されます。

さらに細かいことを知りたければ、ポップアップにリストされている項目の右側の矢印をクリックすると、より詳細な評価を見ることができます。例えば、環境(Environment)では、木の密度、大気の質、大気汚染によるがんのリスク、交通騒音などの各項目についての評価を見ることができます。

Neighborhood Scoreは簡単に複製することができ、数週間で全米のどの都市でも利用できるようにできます。最近行われた全米市長会でサンフランシスコのリー市長がNeighborhood Scoreをプレゼンしたところ、多くの市長はこのアプリの採用に慎重な態度を見せたそうです。気持ちはわからなくはないですが、現実を踏まえた上で改善していく方が生産的ですし、いずれ誰かがNeighborhood Scoreを別の街に移植してしまうことを考えると、市長自らが採用を表明した方が良い結果を生むのではないでしょうか。

参考

Open Government Licence v2.0リリース、Non-endorcementを明記、OGLシンボルを導入

2013年7月1日 in News

イギリス国立公文書館(National Archives)は6月28日、Open Government Licence(OGL) v2.0をリリースしました。ライセンスの本文はこちらから参照できます。

OGL v2.0はOGL v1.0の基本的な用語や条件を引き継いでおり、大きな変更はありません。変更点は、Non-endorcementの項目を新たに設けてより明確に示したことと、OGLシンボルを導入したことです。

なお、v1.0で公開あるいは利用しているデータは、そのまま変更なく使えます。

 

出典: Open Government Licence v2.0