『文殊の知恵』でラクラク予選突破、次は幕張だ!4市協議会アイデアコンテスト(前編)

2013年8月4日 in Events, Special


2013年4月1日、千葉・福岡・武雄・奈良の4市によってビッグーデータ・オープンデータ活用推進協議会(以降、4市協議会)が立ち上がりました。この4市協議会は、ビッグデータ・オープンデータを活用することにより、市民サービスの向上や市民主体のまちづくりの推進などを目的として設立されたものです。具体的な施策を立てるにあたって、4市協議会は市民から広くアイデアを募る「アイデアコンテスト」を6月1日から8月31日まで開催しています。

8月3日、このアイデアコンテストに提案するアイデアをよってたかってひねり出し、その場で提案書作ってエントリーしてしまおうという「文殊の知恵イベント」が開催されました。オープンデータの「聖地」とも呼ばれる国際大学GLOCOMホールに集まったのは40名を超える老若男女。OKFJ代表庄司昌彦はオープニングトークで「本気で最優秀賞を取りにいく」と高らかに宣言。OKFJが4市協議会の協力者になっている立場などおかまいなしです。

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松島隆一さん

これに対して4市協議会の今年度幹事を務める千葉市の松島隆一さんからは、便利で安心なまちづくりのために「参加者一人最低2件で、計80件」「OKFJはそれとは別に100件」と暖かい励ましのお言葉をいただき、イベントがスタート。

メインテーマは「防災」「教育」「環境」です。アイデア出しに使えそうなデータは千葉市福岡市武雄市奈良市が事前にまとめて提供してくれました。これらのデータを使ってもよし、足りなければ別に要求してもよし、いずれにしても、文殊菩薩は大忙しになりそうです。

アイデア出しに先立ち、頭の準備体操のために、若者3名によるフレッシュなプレゼンテーションが行われました。若者だからといってあなどってはいけません。全員がまさに現場で日々格闘している正真正銘のプロです。

トップバッターはインテージの伊藤直之さん、涼やかな和服で登場です。ビジネス・インテリジェンスやマーケティングの専門家で、OKFJのメンバーでもあります。特にパーソナルデータ活用の分野に強く、これまでにも多くのブログを書いてきました。従来、オープンデータのビジネス活用というと、新サービス創出とそれを支える支援環境(データポータルやAPI)が主でしたが、「オープンデータをマーケティングに生かす」という今回のプレゼンテーションは、マーケティングという観点からオープンデータの価値を再評価してみようというものです。

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伊藤直之さん

オープンデータによって創出されるマーケティング・リサーチ市場の規模は1,700億円にも上り、他の分野をおさえてトップという試算結果には驚きました。しかし、統計データをマーケティングに生かすことは従来から当たり前のように行われてきたわけですから、それがより広範囲に、より精緻に行うことができるようになれば、新しい市場が生まれることは不思議ではありません。消費者にとってもより良いサービスを低価格で手に入れることが可能になります。

例えばプレゼンテーションでは、オープンデータによって人口動態と消費者購買データを掛け合わせたコーホート分析をより精密に行うことができるようになり、世代効果や加齢効果、時代効果を先読みしたマーケティングが可能になることが紹介されました。また流山市がオープンデータを活用したマーケティングによって30代人口を急増させた例も紹介されました。

オープンデータというと、「何か新しいことを考えなきゃ」と構えてしまいがちですが、今やっていることをオープンデータとマーケティングの手法でより良くする方法も考えてみてはどうかという強烈なメッセージとなりました。

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後藤真理絵さん

2番手は某情報通信会社アナリストの後藤真理絵さん、インフォグラフィックスやデータ・ビジュアライゼーションのプロです。「データの意味を伝える可視化表現」というプレゼンテーションは、データを分かりやすく可視化する目的は思考やアクションを促すことであるというメッセージで始まりました。データの可視化はゴールではなくスタートであり、データを理解した上で、次に何を考え、どう行動するかということこそが重要だという内容を静かに、説得力ある話し方で伝えます。

後半はガラッと変わって極めて実践的な内容になり、インフォグラフィックスやデータ・ビジュアライゼーションを実践する上で有効なテクニックを豊富な事例をもとに解説していきます。キーメッセージとは、どんなアクションを促したいのか、そのビジョンを伝えるものでなければならないことや、キーメッセージの特性を伝えるためのデータ加工の方法などが解説され、データの可視化で使えるさまざまな見せ方のテクニックと、その組み合わせ方が事例と共に紹介されました。

オープンデータはデータを公開する運動ではなく、公開されたデータを活用して社会的な課題を解決する運動であるということを改めて思い出させてくれる内容でした。

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田島逸郎さん

最後は、いかにも「できそう」という雰囲気あふれるGeorepublic Japan田島逸郎さん。今や社会現象とも言えるほどの勢いで広がるWhere Does My Money Go?や、市民参加型行政イノベーションを推進するCode for Japanでも活躍するトップ・エンジニアです。さらに、オープンデータ関係のイベントではUstreamやTwitter中継などの裏方作業も嫌がらずに進んで引き受けてくれるナイスガイでもあります。

オープンデータを活用したアプリケーション開発」というプレゼンテーションでは、オープンデータとエンジニアをうまくマッチさせるにはどうしたら良いか、そのポイントをエンジニアの視点から順を追って説明していきます。特に後半は、エンジニアとは何か、エンジニアがオープンデータに関わるモチベーションはどこにあるのかなど、普段はあまり聞くことのできないエンジニアの本音がストレートに伝わってきました。

最後の「お互いを尊重すればうまくいきます」というメッセージは、こうした運動を支えるまさに原理ともいえるもので、そのメッセージがトップ・エンジニアから語られたことに大きな喜びと可能性を感じました。

さて今度は、3人の若き文殊のプレゼンテーションによって触発された参加者が、脳に汗をかきながらアイデアをひねり出す番です。その奮闘の様子については、後編でお伝えします。

 

参考:

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Tomihiko Azuma

Written by

Chief Fellow, Institute for International Socio-Economic Studies (株式会社国際社会経済研究所 主幹研究員)