オープンデータビジネスモデル(1) Opower、エネルギー事業者の顧客対応業務をアンバンドル

2013年9月13日 in Special


最初に取り上げるオープンデータビジネス事例はOpowerです。アメリカのエネルギー情報サービス会社であるOpowerは、オープンデータを活用することによって、家庭ごとに最適化した省エネ対策をアドバイスしています。Opowerは、家庭におけるエネルギーの使用量、気象、機器の効率データなどをもとにして具体的な省エネ対策を分析します。

Opowerは住宅エネルギー消費調査(Residential Energy Consumption Survey)から、住民が利用している機器に対応する効率性能、冷暖房システムやエネルギー源などの消費データを取得しています。

 

 

住宅エネルギー消費調査とは、米エネルギー情報局が地域ごとにデータを公開しているもので、世帯を以下の属性をもとにセグメントに分けています。

  1. 住居タイプ(一戸建て、テラスハウス型、2-4世帯の小規模アパート、5世帯以上のアパート、トレーラーハウス)
  2. 築年数(1940年以前と10年刻みのグループ)、
  3. 世帯人数(1人、2人、3人、4人、5人以上)、
  4. 世帯収入(2万ドル刻みのグループと貧困ライン以下)、
  5. 気候区分(極寒・寒冷、多湿、乾燥・高温乾燥、高温多湿、海洋)

住宅エネルギー消費調査では、セグメントごとにエネルギー種別と消費量(電気、ガス、プロパン/LPG、木材、重油、灯油、太陽光)並びに各エネルギーの消費目的(暖房、エアコン、温水、調理、その他)などのデータが公開されています。さらにOpowerは、米国勢調査局による郡ごとのガスと電気の使用比率のデータなどを用いて、契約している家庭ごとのエネルギーの消費パターンを割り出して、各家庭に最適な省エネ対策レポートを発行しています。

 

 

省エネ対策レポートには、類似セグメントに属するエネルギー消費効率の良いモデル家庭に比べて、エネルギー効率がどれだけ良いか・悪いかが定量的に表示されています。さらに、エネルギー効率を改善するための具体的な方法、例えば「サーモスタットを2度上げなさい」「もっと効率の良い冷蔵庫を使用しなさい」「ダクトの穴を塞ぎなさい」などの対策と共に、その対策によっていくら節約できるのかも示されています。Opowerはこうした具体的な対策が記載されたレポートを、Opowerが契約しているエネルギー事業者の名前で消費者に郵送し、Webでも閲覧できるようにしています。

 

Opowerのビジネスモデルは、Business Model Generationにおけるアンバンドルビジネスモデルに属します。アンバンドルビジネスモデルとは、顧客、製品、インフラという異なる3つのビジネスタイプのどれかを外部に出すタイプのモデルです。

 

BMG-Opower-3

 

Opowerのビジネスモデルの特徴は、エネルギー事業者の顧客対応業務をアンバンドルしている点にあります。Opowerはエネルギー事業者と、顧客に対する省エネ対策レポート発行業務の請負契約を結び、収益を得ています。エネルギー事業者の顧客は、追加費用無しに省エネ対策レポートを受け取ることができ、エネルギー事業者は法律で義務付けられている省エネ対策情報の提供をOpowerに委託することで、コストを引き下げることが可能となります。

Opowerのコア・コンピタンスは独自開発したパターン分析アルゴリズムです。Opowerはこのアルゴリズムによって、家庭ごとのエネルギー消費パターンを分析し、同一セグメントの家庭との比較に基づいてエネルギー効率改善策の策定を行うことが可能となります。Opowerは住宅エネルギー消費調査などの公的機関が公開しているオープンデータを活用していますが、独自のパターン分析アルゴリズムによって大きな付加価値を生み出しています。

アメリカのほとんどの電力企業は州政府などからの要求で、電力使用削減目標を満たすことが義務付けられています。こうした規制を素早く低コストで達成するOpower の分析サービスは、大手電力企業を中心に急速に広まりました。Opowerは世界7ヶ国、85のエネルギー事業者とパートナー契約を結び、1600万人以上の顧客にサービスを提供しています。Opowerはこれまでに約2テラワット時のエネルギー削減と2億8千万ドルのエネルギー支出抑制を実現し、今年はさらに1億5千万ドルのエネルギー削減を見込んでいます。

 

 

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Tomihiko Azuma

Written by

Chief Fellow, Institute for International Socio-Economic Studies (株式会社国際社会経済研究所 主幹研究員)