オープンデータビジネスモデル(3) Zillow、透明で正確な不動産価格査定が高めるネットワーク効果

2013年9月19日 in Special


3番目に取り上げるオープンデータビジネス事例は、不動産情報サービス業Zillowです。Zillowは消費者や不動産業者などに対して、オープンデータを活用した独自のモデルで算出した不動産価格の査定情報を提供しています。

これまで不動産査定価格としては、比較市場分析による価格か、不動産鑑定士による鑑定評価が用いられてきました。Zillowは独自の査定情報を提供することで、不動産取引の透明性を高め、売り手および買い手ともに取引の満足度を上げることに成功しています。Zillowは全米で1億1000万件の不動産データを保有しており、そのうちの1億件に対して独自モデルに基づく価格を提供しています。

 

 

ZillowはZestimateという不動産価格査定モデルを活用して、独自に不動産価格を査定します。Zestimateでは、固定資産税の情報と実際に支払った額、税の特例措置、租税査定人の記録など地方公共団体などが提供するオープンデータを取得し、活用しています。これらの情報に加えて、物件の場所や面積・区画、ベッドルームやバスルームの数などのスペック、同物件のこれまでの売買価格や近隣の売買価格などの情報を組み合わせて、独自の不動産価格を算出しています。

Zestimateと実際の売買価格との差は地域によって異なります。これはZillowが入手できるデータの種類が地域ごとに異なっているためです。より多くのデータを入手できる地域では、Zestimateはより正確に売買価格を予測できます。全米の主要な地域では、約3割が5%の誤差、約半数が10%の誤差、約8割が20%の誤差の範囲に収まっています。Zillowの収益源は、不動産業者や住宅ローン会社、物件オーナーなどから得る広告掲載料です。

Zillowのビジネスモデルは、Business Model Generationにおけるマルチサイドプラットフォームに属します。マルチサイドプラットフォームとは、複数の異なる顧客グループをプラットフォーム上でつなぎ合わせることによって価値を生むタイプのモデルであり、生み出す価値の大きさは顧客グループの集客力、つまりネットワーク効果をどれだけ高められるかにかかっています。

 BMG-Zillow-3

 

Zillowは不動産価格の独自の査定情報を提供することによって、多数の不動産購買者と不動産提供者を1つのプラットフォームに集めることに成功しています。その背景には従来の比較市場分析や不動産鑑定士による鑑定価格に対する不満があります。特に従来の価格査定プロセスは透明性に欠けており、買い手にも、売り手にも価格に対する根強い不信感がありました。

Zillowの独自の査定価格を可能にしているのがZestimateという予測モデルです。ZillowはZestimateにおいて、公的機関が公開しているオープンデータと、一般市民が直感的に理解できるデータを利用することで、価格査定プロセスの透明性を高めることに成功しています。さらに実際の売買価格との誤差についても自ら公開するとともに、より多くのデータが公開されている地域では誤差がより小さくなることなども明らかにし、買い手からも売り手からも価格査定プロセスの透明性に対して支持を得ています

 

 

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Tomihiko Azuma

Written by

Chief Fellow, Institute for International Socio-Economic Studies (株式会社国際社会経済研究所 主幹研究員)