公的機関がデータを公開しない理由

2013年10月23日 in Special


Sunlight Foundationが公的機関がデータを公開しない理由について、現場の声を集めたブログを連載しました。記事はPart 1からPart 10まであり、米国のオープンデータ推進者が連邦政府や地方政府などの担当者からデータを公開しない理由について直接聞いた生の声を集めたものです。以下にその概要を示します。

 

無関心
  • 誰も気にしていない
  • コミュニティからの支援が得られない(市民ハッカーがいない)
混乱
  • 明確な事例がない
  • データを何のために使うのかわからない
  • どんなデータが必要とされるのかがわからない
  • データを公開する前に、どんな便益があるか明確にしてほしい
  • 今のシステムで十分だ
  • 人々を混乱させるだけだ
困難
  • とにかく複雑で難しい
  • 大量のバックログを抱えている
  • ついていけない、時間がない、変化が早すぎる
  • データの量が膨大である
  • 自分の時間の大部分が取られてしまう
費用
  • 予算がない
スタッフ問題
  • それは私の仕事ではない
  • 私の上司や政治家はデータ公開を望んでいない
  • やり方を知っている人がいない
合法性
  • データや記録を公開する法的な権限を持っていない
  • このデータを公開すれば、市民は私たちを訴える
  • 私たちはデータに対する権利を持っていない
  • 私たちがデータの所有者なのかどうなのかわからない
  • データは販売するべきである。もし売りたくなったらどうすればよいのか?すでに売っている
  • 機密データではないが、公開することでよいPRになるとは思えない
  • 私たちの弁護士は特別なライセンスを付与するべきだと言っている
  • このデータを集めるのに、膨大な時間・人・資源を投入した
  • なぜデータを必要としているのかを知りたいので、直接窓口に来てほしい
  • 誰かがパッケージングし直して売り払ってしまうのではないか
  • データをだれが利用して、何を行ったのかをコントロールしたい
  • 連邦政府や他の政府機関がすでにデータをもっているので、そちらから入手して欲しい
正確さ
  • データを一括して公開すると、だれかがそれを変更してしまう
  • データを公開したりすると、私たちがハックされる
  • データを公開すると、やり方によっては人々が誤解する危険がある
  • 市民が混乱する、データの品質がそもそも高くない
プライバシー
  • プライバシー保護の懸念があり、データを公開できない
もう既に公開している
  • 窓口やプロバイダーを通じてすでに公開している
  • 情報公開制度があるではないか
  • すでに十分にデータは公開している
  • APIを提供しているではないか
  • データポータルが必要なら、同じようなものはすでにある
その他
  • データが優秀な技術者集団や高等教育を受けたコミュニティに利用されると、デジタルデバイド問題がさらに深刻化する
  • 今、それは優先事項ではない
  • それについてはペンディング状態だ、似たようなプロジェクトもすでに始まっている
  • データを失くしてしまい、持っていない

出典: Reasons to Not Release Data, Part 1-Part 10, Sunlight Foundation

 

一番コメントの多かったのは合法性についてです。この問題をクリアすることがオープンデータを推進する上で、一つの突破口になる可能性が高いと思われます。しかし、データを公開しない理由は実に多岐に渡っています。問題ごとに、法律が必要なもの、ツールが利用できるもの、啓発が有効なもの、イベントが役立つものなど、対応策もさまざま考えられます。

オープンデータ推進に近道はありません。抽象的な議論を繰り返しても解決にはなりません。Sunlight Foundationが収集してくれた現場の懸念事項に対して、一つひとつ具体的な解決策を提示し、実施し、小さな実績を積み上げていく必要があるのではないでしょうか。そのためには、日本でオープンデータを推進している団体が協力し、分担し、現場の懸念をしらみ潰しに潰していくことが必要だと思います。

オープンデータ先進国の英国でも、公的機関の職員の実に78%が政府のオープンデータ計画やそれがもたらす便益について理解していません。現場レベルまで浸透させるのが、いかに大変かを示していると思います。日本は英国や米国が辿った試行錯誤を再び繰り返すのではなく、ベストプラクティスを賢く活用することで、賢く素早くキャッチアップできる可能性があります。日本ならではの独創性を発揮するのは、キャッチアップした後でも遅くはありません。

 

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Tomihiko Azuma

Written by

Chief Fellow, Institute for International Socio-Economic Studies (株式会社国際社会経済研究所 主幹研究員)