製薬メーカーが臨床試験データを公開すべき4つの理由

2013年11月6日 in Special


欧州医薬品庁(EMA)が臨床試験データ公開の方針を打ち出したのに対して、製薬業界はグラクソ・スミスクライン、ロシュなどの賛成派と、サノフィ、アッヴィなどの反対派に分かれました。

デンマークの皮膚科領域専門のレオ ファーマは、2014年1月1日から臨床試験データを研究者やヘルスケアの専門家、患者に対して、匿名処置を施した上で広く公開すると発表し、賛成派に加わりました。一方、反対派も黙ってはいません。サノフィのCEOが会長を務める欧州製薬団体連合会(EFPIA)はEMAに対して臨床試験データ公開への反対意見を公式文書で提出し、アッヴィはEMAの決定が不当であると訴訟を起こしました

しかし、世界的な情報サービス企業であるトムソン・ロイターが2013年10月18日、臨床試験データを新薬開発のためのプラットフォームCortellisに追加すると発表したことだけからみても、臨床試験データを公開する価値は非常に高いものがあります。

このような状況の中、The New England Journal of Medicineは(NEJM)臨床試験データを公開すべき理由として以下の4つを上げ、臨床試験データ公開が製薬メーカにとっても有益であると強調しています。

 

  1. 実施済みの研究に関するすべてのデータにアクセスすることができれば、それに続く臨床試験の設計や分析を改善することが可能になる。
  2. 治療効果の多様性に関する過去の臨床試験から学ぶことによって、薬の開発を効率化できるだけでなく、市場での薬の価値を高めることができる。
  3. ある1つの病状に対して適用可能な治療方法は複数存在するこが多く、相対的な有効性に関する情報は患者、医師、スポンサーにとって重要である。
  4. データ秘匿に関する根本的な非効率性は、最初から失敗すると分かっている臨床試験やプロジェクトを繰り返してしまうことである。他の研究者による臨床試験によって既に効果がないと実証されている場合でも、それを知らない薬の開発者は与えられた目標に向かって研究を続けてしまう。

 

いずれの理由も、もっともなものです。臨床試験データが公開されることで、製薬業界は絶えず改善や改良が行われる極めて活性化された市場に変わります。営業利益が損なわれるという反対派の主張は、絶えず改善や改良を続けなければ生き残れない新市場への恐れの裏返しなのかもしれません。

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Tomihiko Azuma

Written by

Chief Fellow, Institute for International Socio-Economic Studies (株式会社国際社会経済研究所 主幹研究員)