もうひとつのオープンデータライセンス:CC0

2013年12月30日 in News


2013/11/4付でクリエイティブ・コモンズ・ジャパンよりCC0日本語版のRFCが出されている。正式版公開も近いだろう。

パブリック・ドメインの考え方

米国には政府職員の成果物は全て国民のものとするパブリック・ドメインの考え方がある。文化と言っても良いだろう。直訳すると「公共の領域」であり、そこに置かれたものは誰でも制約なしに利用できる。ただし、他の法令により明示的に公開が禁じられている個人情報や国家機密などは除外される。

著作権とパブリック・ドメイン

著作権は好むと好まざるとに関わらず著作物に自動的に発生する権利であり、その権利を放棄したり、行使しないことについての法的な手続きが定められている訳ではない。
パブリック・ドメインはその概念の知名度に比して、これまで日本国内ではあまり法的な裏付けが論じられてこなかった。有名な課題として「パブリックドメインの宣言は日本で有効か?」というものがある。自分の著作物はとにかく広く使ってもらえれば嬉しいので誰でも好きに使ってください、という作者の意思を表明する手段としてパブリック・ドメインを宣言したとして、それは国内において法的に有効なのであろうか。著作権との整合性をどう取るかといった点はパブリック・ドメインを宣言した作者が明記するか、利用の都度作者に問い合わせなければ、グレーな部分を残したまま使うことになる。
作者がパブリック・ドメインと著作権との関係を適切に理解していないと齟齬があった場合にややこしいことになる。

3段構えの権利放棄

著作物には著作権以外にも肖像権やデータベース権など、法域により様々な権利が発生する場合があるが、CC0は想定される範囲において、可能な限り権利を放棄しようとするものである。
これらの権利は法域により解釈が異なる場合がある。例えば日本では著作者人格権は放棄できないものと一般的に解されている。こういった法域ごとの解釈の違いに対応するために、CC0は以下のように、いわば3段構えで権利を放棄することを確約する仕組みになっている。

  1. 作品に係る著作権など一切の権利を放棄する
  2. 放棄できない権利は無償、譲渡不可、再許諾不可、非独占、取消不能および無条件の形で利用許諾する
  3. 利用許諾が無効な場合は権利行使しないことを確約する

CC0の意義

今回のCC0日本語版はあくまで汎用版原文(CC0 1.0 Universal)の翻訳版であり、国内法との整合性が取られた「移植(ポーティング)」版ではない。しかしながら上述の通り各国の実情に応じた読み替えができるような汎用性が考慮されており、各国の法令に矛盾しない範囲で徹底的に放棄したい、あるいは行使しないことを確約したい人のための法的なツールとなるものだ。
また、CC0は著作物とデータベースの双方を対象としており、より包括的に適用できるライセンスである。

他のCCライセンスとの比較

他のCCライセンスが著作権を保持しながら一定の条件の下に利用を許諾する「ライセンス」であるのに対して、CC0は著作権そのものの権利放棄または不行使に関する「確約」である。(尚、ここではCC0もライセンスのひとつの位置づけで比較している)
また、上述の通り著作物とデータベースの双方を対象としており、他のCCライセンス(Ver.3以前)が著作物のみを対象としているのに対して、よりデータ(ベース)向きのライセンスであると言える。(このあたりの詳細は過去記事を参照)

今後

オープンデータに適用するライセンスとして現時点ではCC BYが使われることが多いが、利用者側からみた場合には著作物か事実情報かの判断が不要であり、何等の利用制限無しに使えるという点において、CC0が最も使いやすいライセンスである。提供者側から見て、できるだけ幅広くデータを使って欲しい場合にはCC0も選択肢のひとつとなるであろう。

参考情報

CC0日本語版のパブリックコメントの開催
CC0 1.0 Universal (CC0 1.0)
CC0について ― “いかなる権利も保有しない”
パブリックドメイン

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Shu Higashi (東 修作)

Written by

Georepublic Japan に勤務。OKJP事務局長及びオープンストリートマップ・ファウンデーション・ジャパン 事務局を兼務。Code for Japan設立発起人。内閣府電子行政オープンデータ実務者会議利活用推進WG構成員。 OpenStreetMapという自由な世界地図を作る活動をきっかけにオープンデータの活動に関わりはじめました。主な関心領域はデータのライセンシング、コミュニティ活動、市民参画、国際連携など。 投稿記事の内容はあくまで個人としてのものであり、所属する組織を代表する見解ではありません。