文脈に応じたオープンの定義:オープンの実践へ
2014年3月25日 in Featured, Special
(訳注:この記事は本家OKFn.org記事の日本語訳です)
私たちは、様々な組織が公表した多様なデータおよびコンテンツに、オープンの定義がどのように適用できるかということを見てきました。ここではオープン性の特定の原則、および様々な種類のオープンデータ用の定義とガイドラインに、この定義がどのように関係しているかについて述べたいと思います。
定義以上のものが必要な理由
オープンの定義がするのはたったひとつのことだけで、できるだけ簡潔明瞭にオープンとみなされるひとまとまりの情報にとっての条件を定義します。
定義は広く普遍的であり、オープン・ナレッジの運動における多様なグループとプロジェクトを通して共通の理解を提供するのは重要な統一志向のコンセプトです。
同時に、オープンの定義は特定の地域で公開されている情報のために掘り下げたガイダンスを行っているわけではないので、政府のデータから科学的調査や文化遺産機関のデジタル保有物に至るまで、オープンにしている特定の種別の情報に対する詳細な助言や原則がそれぞれに適した形で必要です。
例えば、オープンの定義はデータがタイムリーであるべきかどうかを明示していませんが、一方でこれは多くのデータ種別にとって優れたアイデアです。もっとも、1世紀前からの国勢調査データが「タイムリー」かどうかを尋ねても意味をなさないのですが!
ひとつの領域の情報をいかにオープンにするかというガイドラインは、別のところでは必ずしもそのまま再適用できるとは限りません。したがって、特定の種別のデータをターゲットにした、特にそれを公表しているかもしれない種別の組織のために書かれたオープン性のための原則とガイドラインが重要なのです。これらはオープンの定義と共にあり、あらゆる分野のデータにおいて人々がオープンな情報を享受し共有する手助けをします。ここでは、いくつかの例をご説明しましょう。
オープン・ガバメント・データのための原則
2007年には、オープンガバメント提唱者のグループがオープン・ガバメント・データ向けの1セットの原則を開発するためにミーティングを行い、これは「オープン・ガバメント・データの8原則」になりました。
2010年には、サンライト財団はこの最初のセットを彼らのガバメント情報をオープンにするための10原則で改訂し、世界中のオープンガバメント情報のための標準を定めました。これらの原則は、他の種類のデータ公開者にも当てはまるかもしれません。しかし、これらはとりわけオープンガバメントのためにデザインされており、実施要項と支援はこの領域にフォーカスしています。この原則は、オープンの定義の重要な側面の多くを共有していますが、ガバメント情報およびそれが公表、利用される方法について固有の付加的な要件とガイダンスを含んでいます。サンライト原則は次のような領域をカバーします:完全性、優位性、即時性、物理的・電磁的アクセスの容易さ、機械可読性、無差別性、一般的な標準の利用、ライセンス設定、永続性および利用コスト。
ティム・バーナーズ=リーのリンクトデータのための5つ星
2010年には、ウェブの発明者ティム・バーナーズ=リーが、リンクトデータのための5つ星を作成しました。これは、より多くの人々にリンクトデータ(情報を相互運用可能で、連結されたものにするために特定の技術的基準と技術のセットを使用している)としての公表を推奨することを目標としています。
最初の3つの星(法的なオープン性、機械可読性、および非プロプライエタリなフォーマット)は、オープンの定義でカバーされており、さらに追加されている2つの星はリンクトデータのコンポーネント(技術仕様であるRDF形式)を追加したものです。
データを相互に接続する方法には他にも多くのやり方がありますが、5つ星はオープンデータ・コミュニティの様々な部分、特にセマンティック・ウェブやデータのウェブのビジョンに興味を持っている人々において影響力がありました。
特定の種類の情報のための原則
オープン・ナレッジ財団では、ワーキンググループの多くは、他の人々との様々な種別のオープンデータおよびオープンな要素を備えた作業分野での原則づくりに関係しました。このような原則は、そのコミュニティの作業の枠組みとなり、オープン性とデータのための法的な、規制にかかわる、技術的な基準と同様にベストプラクティスを提示しました。そして各分野における多数の指導者と組織によって支持されました。
これらは次のものを含んでいます:
- 科学におけるオープンデータ用のPanton 原則、はオープン・サイエンス・ワーキンググループによって開発され、広く世界中の科学者、出版者、資金提供者および他の多くの人々によって認識され、支持され、引用され、翻訳されました。
- OpenGLAMコミュニティからの文化遺産機関の保有物
- オープン書誌情報データ・ワーキンググループによって開発されたオープン書誌情報データ用の原則。
- オープン経済学ワーキンググループからの経済学および社会科学のオープンデータ用の法則、オープン・ナレッジ財団とケンブリッジ大学の知的財産権法センター(CIPIL)の共同イニシアチブ
– 多数の世界をリードするエコノミストと同時に組織(世界銀行のデータ開発グループ)からも支持されました。
- オープン・デザインとハードウェア・グループ(2000年にドラフトが書かれた最初のオープン・デザイン定義、オープン・デザイン・マニフェスト、ウィキペディア上のオープン・デザインページおよびオープン・ハードウェア定義を含むいくつかの既存のプロジェクトの作業に基づいています)からのオープン・デザイン定義。
オープンの定義:世界的なオープン・ナレッジ運動に力を与える重要な原則
政府、公共部門組織、研究者、企業、大学、NGO、スタートアップ、慈善事業家、コミュニティ・グループ、個人、その他、あらゆる種類の個人と組織は情報をオープンにすることができます。その情報には、スプレッドシート、データベース、イメージ、テキスト、リンクトデータ、その他多くの形式があり得ます。そして交通、科学、製品、教育、持続可能性、地図、立法、図書館、経済学、文化、開発、ビジネス、設計、金融、その他など、思いつく限りのあらゆる分野からの情報があり得ます。
それぞれこれらの組織、情報の種類、そして情報の準備と公表に関係している人々は、自分たち独自の要件、挑戦、疑問といったものを持っています。各領域でオープンデータ活動を支援する原則とガイドライン(加えてトレーニング資料、技術基準など!)は不可欠です。このため関係者は情報をオープンにするにあたって特定の障害物、挑戦、好機を理解し、対応することができます。これらの作成と維持は、他のグループやコミュニティと同様、オープン・ナレッジ財団の多くのワーキンググループにとって主要な活動です。
同時に、様々な領域でオープン性にかかわる人々は(オープン・ガバメント、オープン・アクセス、オープン・サイエンス、オープン・デザイン、あるいはオープン・カルチャーのいずれであれ)興味と目標を共有し、そのコミュニティ固有の要件に適合させる一方で、いくつかの異なるデータ種別向けの原則とガイドラインは多くの共通要素をシェアすることができ、またそうしています。オープンの定義は、世界的なオープン・ナレッジ運動におけるこれらのグループの全てをつなぐ重要な原則を提供します。
近日公開予定のオープン性に関する記事
オープンデータの共有され同意された定義を持っていることがなぜそれほど重要なのか、そしてどのように「オープンデータの実践を行う」ことに取り掛かることができるか、オープンデータの定義とオープンの定義の探索に関する我々の別のポストを見逃さないでください。
原文(2013/10/16 Open Knowledge Foundation Blog 記事より):
Original post The Open Definition in context: putting open into practice / Laura James, licensed under CC BY 3.0.
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