オープンデータのビジネス的価値ばかりが重要ではない

2014年4月1日 in Featured, News


(訳注:この記事は本家OKFn.org記事の日本語訳です)

これは、サンライト研究所の所長トム・リーによって書かれたサンライト財団ブログからのクロスポストです。オリジナルの投稿はこちらで参照してください。

最近ロンドンで開催されたオープン・ガバメント・パートナーシップの会合は、私たちのコミュニティの方向性を評価する好機を提供しました。最新のものはジョナサン・グレイによるものですが、そのタイトル – オープンガバメントはデジタル経済ではなく、説明責任と社会正義に関するものであるべきです – は多かれ少なかれその内容を物語っています:

[首相デヴィッド]キャメロンのスピーチは、政治的な説明責任および社会正義から経済成長およびデジタル革新に向けて、説明する力の保有からスタートアップの支援まで、近年のオープンガバメント講演においてより広い枢軸を代表しました。近年、米国と英国の上級職員は、革新的な新事業および成長のためのデジタル技術およびデジタル情報の可能性と同様に、ハイ・レベルの透明性会談でも「オープンガバメント、オープン社会、オープン経済」の三位一体説を示唆し始めました。

透明性首脳会議で期待されるパネルの種類に加えて、官民のパートナーシップ、市民革新における起業家、およびスマートシティなどに関するセッションがありました。ウェブの発明者ティム・バーナーズ=リー卿は閉会の挨拶で次のように述べました。「私にとって、一日の終わりの最も刺激的な部分は、常に経済的価値です。」

[…]

時々、政府にとって「デジタルを推進」する計画を強調したり、公的なデータの公開で新規事業を可能にするのはより快適なことです。一方、透明性の提唱者は、社会的、環境的正義に対して市民に説明し、戦う力を持たせるための「自分たちの」使命から注意を逸らされてはなりません。

私は、オープンガバメント・データ・コミュニティ内の明瞭な特徴についてのジョナサンの診断に賛成します。しかし、私はそれらが相対するものでなければならないとは思いません。私は以前に、大きなテントは私たち全てにとって有益であるという議論をしたことがあります –
説明責任のためのオープンデータと経済発展のためのオープンデータの間の線をぼかすことは、両方の選挙民のニーズを満たすことができます。結局、オープンな情報に関する偉大なことは、その供給が無限であるということです。

しかし、たとえ私たちがこれらの原理のどちらかを選ぶ必要がなくても、その相対的な重要度を評価するのは有意義なことです。また、そのようなレンズを通して、ジョナサンの指摘はよく理解されます:データをオープンにすることのビジネス原理は莫大な量の注目を集めています – メリットを得られるということ以上に恐らく、このビジネス原理がオープンデータの潜在的利益の相対的に小さなシェアを表わすことは間違いありません。

これを立証する最新の証拠は、ちょうど先週オープンデータの経済的価値に関する新しいマッキンゼーの報告書という形で到着しました。その結果の見出しとpowerpoint のスライドは、報告書をリードする3兆ドルの評価に注目するでしょう。私は、評判の高いコンサルティング会社からのこの膨大な数字が提唱者にとって有用なツールになるだろうということを最初に認めましょう。

しかし、報告書が言っていること、およびそれが意味するものを正確に深掘りすることには価値があります。私は、オープンデータが私たちそれぞれの国の経済にとって有意義であることに私たちがみな合意することができるのかどうか、疑っています。しかし、いくら、だけでなく、どうやって、ということを尋ねることが必要です。報告書より:

この価値の多くは、価格と製品情報の透明性が改善されることで、より大きな消費者余剰に結びつくでしょう。会社がその解析手法にオープンデータを組み入れることにより競争優位性を獲得するので、市場占有率の変動がさらに産業横断的に生じるかもしれません。

私の意見を強調しておきます。「改善された価格および製品情報の透明性」は、より強硬に特価品を求める消費者を意味します。それはより薄い利ざやと、生産者というより消費者への価値の増加を意味します。

報告書は続けます:

消費者は最大限の利得を獲得するかもしれません。消費者は、既にオープンデータから価格の透明性を通じて(例えば価格比較を提供するオンライン・ショッピング・サイトを利用することで)利益を得始めています。製品とサービスに関する他の情報は、オープンデータ(例えば、列車が時間通りに運行されているか、あるいはメーカーの労働と環境上の実践状況はどうか)を通じて利用可能となることができ、自分の好みにいちばんよく合う製品とサービスを選択するために消費者が使用できるでしょう。[パーソナライズされたデータセット]のオープン化は、振る舞いの変化に結びつくことができる情報をしばしば明らかにして、消費者自身がその消費行動に関するよりよい判断材料を得ることができます。オープンデータは、さらに財貨・サービス(公共サービスを含む)の質およびデータの質を改善するための判断材料を提供するために個人(消費者および市民としての)に新しいチャンネルを与えます。ともに、私たちが見積もった潜在的価値の50パーセント以上は消費者および顧客余剰にあります。

これは信じられないほどに重要な点です:オープンデータのほとんどの利点は投資家および会社ではなく消費者および市民に生ずるでしょう。

それはオープンデータのスタートアップが重要でないとか、潜在的に不利だ、ということではありません。しかし、オープンデータが与えることができるより幅広い便益と比較して、それらが直接生成する富は相対的に小さいでしょう:よりよいガバナンス、より多くの効率的な市場およびより賢い経営意思決定など。

私は以前、ビジネスはオープンデータの価値のうち、一部の小さな部分の獲得しか期待できない、という点については構造的な理由があるのだという議論をしました。改めて繰り返します:このことは、それらのビジネスの重要性、あるいは市民、政府および産業に提供するサービスの有効性を無効にするものでは、全くありません。

しかし、それは私たちの優先順位付けの手助けとなります。オープンデータの価値は、配当や給料の形で明らかになることは比較的少ないでしょう。多くの場合、その便益は量を計ることが難しくなるでしょう。

レストラン検査スコアの今や古典的な透明性支持の場合を考えてみてください。このスコアを記入することにより13-20パーセントの間で、食物由来の病気入院が減少するということが、研究から分かりました。それは、食事客、および私たちの医療制度への実際の便益です。しかし、それは(むしろ)経済活動の減少として現われるでしょう。プログラムを実装するコストは恐らく小さいものです。食事客は、恐らく(今よりわずかに安全な)食事に依然として同じ金額を払うでしょう。病院の診療請求は減るでしょう。これは退屈なecon 101(経済学入門)の材料です。しかし、ドルで測るのが難しいとしても、これらの便益が本当であると理解することは重要です。

さらに、この事例の政治経済学的な意味を理解することは重要です。保健衛生調査データを要求する自然な顧客層はいないかもしれません。レストランと病院には開示を要求する誘因がほとんどありません。食事客への便益は本当ですが、多数動員するには散漫すぎます。抗議の声をあげることが流行したとしても、改革に拍車をかけると予想することは実際的ではないかもしれません。

これこそ私たちのコミュニティ – 非営利団体、活動家、財団、政治的なオーガナイザー、政策専門家および市民ハッカー – が中に入る場所です。よりよいサービス、より多くの価値、より大きな説明責任:それは、オープンデータの約束のうちのほとんどが置かれている場所であり、その実現を保証するつもりならやらなければならない、最も重要な仕事が残されている場所です。

これは、利潤動機のマジックのおかげで2重に真実です。金銭が必要であれば、賢明なアントレプレナーはその鍵を開ける方法を見つけるでしょう。私は、彼らがそうすることを希望し、期待します。それは資本主義の美です。しかし、これは、他の利用に関連する、オープンデータの経済発展を強調し明示的に補助金を交付する政府やフィランソロピーの努力のための理論的根拠についての質問を呼び寄せます。

先に述べた通り、私たちがそれらの用途のどちらかを選ばなければならないとは思いません。私は、大きなテントが私たちすべてに利益をもたらすと心から信じます。しかし、私はジョナサンに賛成です:より良いビジネスを持つことは素晴らしい。しかし、より良い社会はもっと刺激的です。

原文(2013/11/8 Open Knowledge Foundation Blog 記事より):
Original post Open Data’s Business Value Isn’t That Important / Tom Lee, licensed under CC BY 3.0.

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