オープンデータのための投資対効果検討書

2014年7月14日 in News


オミダイア・ネットワークの政策担当役員であるMartin Tisne とエコノミストでありLateral Economics のCEO でもあるNicholas Gruen は先週キャンベラで「ビジネスのためのオープン」というレポートを発表しました。これは、G20の経済成長目標達成を支援する、オープンデータの可能性を計量し例示する、初めての研究です。Martin は、オープンデータのための経済事例を以下の通り作成しています。

Manhattan

G20とオープンデータ:ビジネスのためのオープン

オープンデータは今年のG20の数多くの優先事項に及び、G20の2% 成長目標の半数以上を達成することができました。

オープンデータのための投資対効果検討書

オープンデータの議題を通じて経済を分析することで、経済成長への著しい貢献と達成可能な生産性が確認されました。政府、民間部門、個人およびコミュニティはすべて、投資に通知し、新産業の創出を駆動し、そして意思決定と研究に通知するイノベーションと情報から利益を得られると主張しています。価値のある情報が生成・再利用されるようなやり方で段階的な変化を印すために、G20は情報をオープンデータとして公表すべきです。

2014年5月に、オミダイア・ネットワークは、Lateral Economics にG20の2% の成長目標を支援し、オープンデータの議題が経済成長と生産性に対していかに重要な貢献をすることができるかを例証するための、オープンデータの可能性に関する経済分析を引き受けるよう任命しました。G20経済をすべて組み合わせると、アウトプットは次の5年間の累積で、13兆米ドル増加する可能性があります。オープンデータ・ポリシーの実装は、このように5年にわたってG20の2% の成長目標のうち約1.1% 分(全体のほぼ55%)G20の累積GDP を上昇させるでしょう。

推奨

重要なことには、オープンデータは多くの今年のG20優先事項に及んでいます:民間のインフラ投資促進、雇用創出と参加の向上、税制強化と汚職との戦い。このメモは、すべてのG20優先事項に及ぶオープンデータの筋道を示唆しています。より多くのデータがオープンになるほど、利用、再利用、転用、そして(他のデータとの組み合わせで)みんなの利益になるようなリミックスが可能になります。

私たちは、オープンデータ憲章に署名するよう、G20経済に要求します。

G20は、G20ワーキンググループおよびテーマによって公表されたデータが、合意されたオープンデータの基準に従うことを保証するべきです。これは、不正を暴き、汚職と戦い、イノベーション促進をさらに進めている、より透明性の高い、効率的で、効果的な政府に結びつくでしょう。

データは国家資源であり、またオープンデータは「ウィン-ウィンの」政策です。それはもっと既存の資源を作ることに関係しています。私たちは、データをオープンにするコストが経済的なリターン(これは大きなものになりえます)より小さいことを知っています。プライバシーへの関心を尊重する手法は考慮に入れなければなりません。これが実施されれば、公共及び部門部門での情報共有が増えるので、肯定的なリターンが増加するでしょう。

G20の機会

去年9月に、サンクトペテルブルグG20 リーダー宣言で作成されたコミットメントを推し進め、成長への刺激を確実に進捗させるために、G20 加盟国のリーダーは、今年11月にオーストラリアでの会合を予定してます。G20 に関係するアクションは投資の増加、雇用と参加の拡大、貿易の増強、及び競争の促進といったものを含む予定です。

結果として生じる「ブリズベーン・アクション・プラン」は、次の5年にわたって現在プロジェクト化されたレベルの少なくとも2%以上、G20 のアウトプットのレベルを底上げする目的でのこれらのコミットメントをすべてカプセル化するでしょう。G20政府による共同および集団アクションの主要な機会があります。

政府および公的な資金による研究データの両方について、政府は、既存の公共部門データの公表を強化すべきです。しかし、単にガバメントデータをもっと公表するよりも、オープンデータを促進することでより多くのことが行えます。適切な状況では、政府は、民間部門データ(例えば企業の財務報告)の公示を命ずることができます。

推奨するアクション

  • G20政府は、よりよく私たちの市民のニーズを満たし、イノベーションと繁栄が広がることを可能にする、より強固に、より相互に連結した社会の構築を促進する、オープンデータ憲章の原則を採用するべきです。
  • 下記に例示しているように、採取産業からの収入や会社の実質所有者に関連するオープンデータの公表、といったG20の個別テーマ下の特定のオープンデータ目標を採用すべきです。
  • G20政府はG20を横切るライセンス方法の枠組みを調和させることを考慮すべきです。
  • G20政府はオープンデータ公開の量と質を測定する基準を(例えばOpen Data Institute のオープンデータ認定を一般的な標準の採用を駆動させるための底上げの仕組みとして)採用すべきです。

G20での実例

財政金融政策

政府は、オープンでなかったりマクロ経済の管理者がアクセスできない豊富なリアルタイム・データを所有しています。G20政府は次のことをするべきです:

  • 経済予測の背後にあり、代替的政策設定の評価を支援するモデルをオープンにしてください。
  • 政府が比較して買い物ができるようにするために、政府とサプライヤー間の支出および契約に関するデータを公表してください。

汚職防止

オープンデータは、汚職が検知される可能性を高めることで、汚職の減少に直接寄与するかもしれません。G20 政府は次のことをするべきです:

  • 採取産業からの収入と同様に会社の実質所有者と関係するオープンデータを公表してください。
  • 国境をまたぐ商業実体の実質所有者の追跡や取引の比較と調停を含め、国際通貨フローの追跡ができる、調和した技術標準を共同研究してください。

貿易

複数の統治権から貿易データを得て利用するのは困難です。アクセス料金、特定のライセンスそして非機械可読のフォーマットはすべて、大きな取引コストを含んでいます。G20政府は次のことをするべきです:

  • 貿易データに関係するオープンデータ・ポリシーを調和させてください。
  • 標準的な貿易のスキーマとフォーマットを使用してください。

雇用

雇用条件に関するより高品質の情報は、より大きな職務の満足度と改善された生産性を生みだし、組織への従業員のよりよいマッチングを促進するでしょう。G20政府は次のことをするべきです:

  • 中央に集められた求人登録をオープンにして、人々が仕事を見つけるための新しいメカニズムを提供してください。
  • 特別な領域のスキルの需要に関するオープンな統計情報を提供して、その支援する訓練と教育がその提供物を磨き上げるのを手助けしてください。

エネルギー

オープンデータは、エネルギー供給のコストを下げて、かつエネルギー効率を改善するのを支援するでしょう。G20政府は以下のことをするべきです:

  • 消費者およびサプライヤーからのオープンデータを公表するインセンティブを提供して、エネルギー会社がエネルギー計画の最適化により原価を削減できるようにしてください。
  • 建築のためにエネルギー効率証明を公表してください。
  • 政府の建物のリアルタイム・エネルギー消費量を公開してください。

インフラストラクチャー

現在のインフラストラクチャー資産情報は分断化され非能率的です。現在の資産データを公開することは、ギャップの理解と新しい洞察を提供するための重要な第一歩でしょう。G20政府は次のことをするべきです:

  • 政府のインフラストラクチャー資産と計画に関するオープンデータを公開して、インフラストラクチャーのギャップをよりよく理解し、インフラ整備におけるより大きな効率改善と洞察を可能にし、コスト/利益を利用・分析してください。
  • G20参加国中の一貫して調和した方法で、オープン契約パートナーシップを通じた契約を含む、オープン・インフラストラクチャー・データを公表してください。

価値についてのこれまでの例

  • 米国では、そのデータセットをパブリックに公開するというほぼ30年前の海洋大気局の決定は、イノベーションの爆発(予報、モバイルアプリケーション、ウェブサイト、研究等を含め)と数十億ドルの気象産業をもたらしました。
  • EU におけるオープンガバメント・データは経済活動を400億ユーロ増加させるでしょう。間接的な利益(データ駆動のサービスを利用する人々)の合計は年間1400億ユーロに達するでしょう[1]。
  • マッキンゼー・リサーチは、オープンデータの結果としての付加価値の中で7つのセクターだけで年間3兆ドル以上を生み出すことができたことを示唆しています。
  • 2002年にデンマークでオープンデータとして公表したところ、コストが200万ユーロであったのに対して、2005年から2009年に6200万ユーロの利益をもたらしました。2010年のROI:20万ユーロのコストに対して1400万ユーロの利益[2]。
  • オープンデータは、カナダにおける税法中の慈善団体向け寄付扱い分の32億カナダドルの誤用を明らかにしました[3]。
  • たったひとつのクラスの処方薬に関するオープンデータの公開で、NHSは年間2億ポンド節約することができたでしょう[4]。

[1] https://www.ereg-association.eu/actualities/archive.php?action=show_article&news_id=167

[2] http://www.adresse-info.dk/Portals/2/Benefit/Value_Assessment_Danish_Address_Data_UK_2010-07-07b.pdf

[3] http://eaves.ca/2010/04/14/case-study-open-data-and-the-public-purse/

[4] http://theodi.org/news/prescription-savings-worth-millions-identified-odi-incubated-company

原文(2014/6/23 Open Knowledge Foundation Blog 記事より):
Original post The Business Case for Open Data / Martin Tisne, licensed under CC BY 3.0.

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Shu Higashi (東 修作)

Written by

Georepublic Japan に勤務。OKJP事務局長及びオープンストリートマップ・ファウンデーション・ジャパン 事務局を兼務。Code for Japan設立発起人。内閣府電子行政オープンデータ実務者会議利活用推進WG構成員。 OpenStreetMapという自由な世界地図を作る活動をきっかけにオープンデータの活動に関わりはじめました。主な関心領域はデータのライセンシング、コミュニティ活動、市民参画、国際連携など。 投稿記事の内容はあくまで個人としてのものであり、所属する組織を代表する見解ではありません。