米国で始まる新たな形のハッカソン

2014年9月7日 in News


ホワイトハウスは7月末に「環境対策の施行の遅れに伴う経済的損失」と題したレポートを公表した。このレポートでは、環境対策を無視することで、農業生産の落ち込みや洪水などを引き起こし、その経済損失は年間で1,500億ドル程度に上るとしている。

このレポートの公開から約1か月後の8月末、NASAは「気象データを活用したアプリケーション構築のコンテスト」の第2回目を開催するとアナウンスした。1回目のコンテストは既に7月1日~8月1日の間で開催されており、気象予測と人工衛星のデータの新しい活用方法に関する4つのアイデアが勝ち抜いている。この4人の勝者は、賞金である1万ドルを分かち合うこととなる。

 これらのコンテストは、OpenNEX(Open NASA Earth Exchange)の一環として開催されている。 (OpenNEXとは、各ユーザーが地球科学に関するビッグデータを分析することを目的として、モデル、分析コード、調査結果、情報や専門性を共有するための、データ、クラウドコンピューティング及びナレッジプラットフォームを指す)

NASAが8/22に公表したプレスリリースには、「このOpenNEXコンテストから生まれてきたアイデアを見ると、市民の科学者の手によりNASAが有するデータの価値がどれほど向上したかが良く分かる」また、「2回目のコンテストでは、これらのアイデアを実践的なアプリケーションとして実装することを目的とする」記載されており、アイデアソンとハッカソンに分けた取り組みであること、またアイデアソンは科学者を対象としていたことが分かる。

なお、1回目のコンテストで勝ち残った4つのアイデアは、

  • 気候変動に伴い、どのように植物耐寒性区分が変更するかを予測するアプリケーションの開発
  • コミュニティにおける気候変動の予測結果と、過去の気候データを比較するアプリケーションの開発
  • 気候変動などに関連した災害(山火事、洪水や干ばつなど)の予測と実績を地図上に表示するウェブアプリケーションの開発
  • ウェブ開発者による情報入手を簡単にするため、OpenNEXの気候モデルデータのレポジトリーをOpen Web Platformと互換性のあるフォーマットへ変換

となる。

2回目のコンテスト(これらのアイデアを実践的なアプリケーションとして実装することを目的とするコンテスト)は8月22日から10月21日まで開催しており、審査結果は12月中旬に公表され、その賞金は5万ドルとなる。

コンテスト参加者はOpenNEXデータを活用し、気候変動による影響を一般市民に対して分かりやすく説明するためのアプリケーションやアルゴリズムを開発することが求められる。そのためには、上記に挙げた4つのアイデア以外にも新しいアイデアを活用することも可能としている。NASAは例として、雪解け時期、渡り鳥の飛来時期や花粉の時期など、一般市民が身近に感じることのできる時期の変化の予測を挙げている。

このように、政府が重要と考える特定のテーマに絞ったアイデアソンとハッカソンに対し、賞金と十分な検討時間を提供することで、行政の目的を実現するための質の高いアプリケーションの開発を実現しようとしている。つまり、行政が市民目線で何かを訴えたい場合は、実際に市民の手で訴える内容を策定することが望ましいのだろう。このようなハッカソンなどを通じた官民協業の姿は今度も増えていくものと予想される。

出典:NASAブログ(http://www.nasa.gov/press/2014/august/nasa-picks-top-earth-data-challenge-ideas-opens-call-for-climate-apps/#.VAFjZfl_s-i)
The cost of delaying action to stem climate change(http://www.whitehouse.gov/climate-change)

Leave a reply

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

田村 暢大

Written by

http://tamura-nobuhiro.tumblr.com/でも電子行政などに関する記事を投稿しています。