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政府オープンデータは利用者参加型で進めましょう:OKFJから日本政府への提案

2014年4月24日 in Featured, News

一般社団法人オープン・ナレッジ・ファウンデーション・ジャパン(OKFJ)は、2014年4月10日に、昨今の日本政府のオープンデータ政策への取り組みに関して強い懸念を表明しました。

データカタログサイト試行版の問題については、情報通信技術(IT)政策担当の山本一太大臣によってTwitterでの言及記者会見メディア等の取材に対してデータカタログの経緯や今後の見通しの説明がありました。また、OKFJが主催しているユーザーコミュニティイベントにおいては、政府CIO補佐官にも現状の説明を行っていただきました。

内閣官房IT総合戦略室には、データカタログサイトの停止画面からデータカタログ部分の機能を提供するミラーサイトへのリンクや日本語・英語による利用規約の掲載、データカタログサイト試行版の継続運用についての入札公告など、再開に向けて尽力していただきました。

今回は前回の意見表明の続編として、今後の日本のオープンデータ政策に向けた2つの提案をさせていただきます。

1)データカタログサイト本格版では、利用者の意見が入る様々な仕組みを

オープンデータ・オープンガバメントとは、政府がデータを提供して終わるわけではなく、利用者がデータを様々な形で活用し、新たな富や知識を生み出したり課題を解決したりすることで進んでいくものです。それはつまり、官民が連携し、ともに対話し、ともに作り上げていくものであると考えます。

しかし、このたびの政府のオープンデータカタログサイト試行版(http://data.go.jp/)の停止では、事前にその懸念が官民の関係者の間で共有されていたにもかかわらず、停止する際にその情報の共有が十分に行われず、利用者には停止の原因や再開の見通しもわからずに、非常に困惑いたしました。

その後、民間有志の力により、代替サイトのDatago.jpが数日で立ち上がりましたが、その間のData.go.jpからDatago.jpへのデータ提供やリンクのご相談などでも、官民の連携もスムーズではありませんでした。

そこで、データカタログサイト本格版の運用では、利用者の意見を積極的に取り入れ、また官民で協力して良いものを作り上げていくための仕組みを設けるよう、提案します。

それは単に、サイト上に問合せ窓口を設けておくというだけではなく、ユーザーコミュニティとのオープンな対話や、改善のためのアイディアソン・ハッカソン、アンケート調査、定常的なアイディアボックス等の運営、パブリックコメントなどです。

OKFJはそうした活動が行われることに対して、ぜひご協力していきたいと考えています。

これらの取組みは、本格版の開始を待たずに順次取り入れられるものも多くあります。今回の経験を活かして、民間とのコミュニケーション強化を図っていただければ幸いです。

2)政府サイト標準利用規約を2014年版で運用し、利用者の意見を踏まえて2015年に本格的見直しを

現在検討されている政府全体のウェブサイト利用規約「政府標準利用規約(第1.0版)」(仮称)(案)は、政府サイトに掲載されている著作物を特別な手続きなしに自由に利用できるような原則に転換するという意味では、大きな進歩といえます。

これにより、国のデータだけを組み合わせる場合や、単一のデータだけを利用する場合など、従来よりも簡便になる場合があります。この、政府のウェブサイト全体を対象に、利用条件を大幅に緩和しようという取り組みは大いに評価されるべきものです。また、利用規約は全体として簡潔・手短で読みやすい(クリエイティブ・コモンズ・ライセンスよりも遥かにわかりやすい)ものになっていることも、データを利用する人にとってはとてもありがたいことです。

一方で、現在の規約(案)には以下の課題があることを、すでに提言してきました。

a) これまでは制約なく利用できたデータに利用の制約をかけてしまう場合がある
b) 内容が曖昧で、利用者を萎縮させてしまう場合がある
c) データの組み合わせ利用に親切な設計になっていない
d) 国際的な整合性が取れていない部分がある

そのため、データの活用が進まなかったり、利用に手間がかかるといった問題が生じるのではないかと考えています。

電子行政オープンデータ実務者会議の資料によれば、2014年と15年はこの利用規約を使い、2015年度に再検討を行う計画があるとされていますが、私たちはこのプロセスについて次のような提案をします。

  • 2014年度はこの規約をすべての府省のホームページの利用規約に一日も早く導入し、現状よりも進んだ利用環境を作ること
  • 2015年度に行われる予定の再検討は、できる限り早い時期から開始すること
  • 2014年度はユーザーコミュニティとのオープンな対話や、改善のためのアイディアソン・ハッカソン、アンケート調査、定常的なアイディアボックス等の運営、パブリックコメントなどによってこの新しい利用規約の効果や課題を検討し、2015年の議論に活かすこと

こちらについても、OKFJは、機会があれば、国際コミュニティと連携しながら、ぜひ政府にご協力していきたいと考えています。

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政府オープンデータをもっと利用者フレンドリーに:OKFJの懸念と日本政府へのお願い

2014年4月10日 in Featured, News

一般社団法人オープン・ナレッジ・ファウンデーション・ジャパン(OKFJ)は、昨今の日本政府のオープンデータ政策への取り組みに関して強い懸念を表明します。

1)オープンデータカタログサイト試行版の停止

政府のオープンデータカタログサイト試行版(http://data.go.jp/)は、残念ながら3月31日で停止してしまいました。昨年度の調査事業が終了した一方で、新年度のサービス調達がスムーズに行えなかったためとされており、再開は5月初旬を目指すとされています。

公開停止の経緯もまた、残念なものでした。公開停止のお知らせは、3月末の数日間だけサイトに掲載されていたようですが、停止後のサイトでは停止の理由や再開の見通しが説明されていません。多い時には1週間で20万ページビューものアクセスがあり、提供データを利用したアプリ等の開発も行われているため、関係者からは、年度が終わっても公開が止まることがないように希望する声が公式・非公式の場でたびたび指摘されていました。

オープンデータカタログサイトは、試行版とはいえ日本のオープンデータの大きな一歩でした。2013年12月20日にようやくオープンしてから3ヶ月程度ですから、オープンデータの利用者層の裾野を拡げるのに十分な期間とも思えません。

公開停止は、いくつかの無視できない問題を引き起こすと考えられます。

データを活用して事業を行おうとする企業等にとっては、サービスやソフトウェアを開発している途中で、3月までの予定とは少し異なるデータがないかを改めて検索したいと思っても、現在は検索できません。

また、1万点を超えるデータセットが、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下に提供され、自由な利用が可能になっていましたが、今はそのライセンスも提供されなくなったため、新たに政府データを入手しても、総務省の情報通信白書や経産省のOpen Data METIに掲載されているデータ等の一部を除けば「All Rights Reserved」の状態に戻っており、個別に利用許諾が必要になってしまっています。

継続的に提供されるオープンデータを活用したいと考えていたサービスやソフトウェアは、今回の件で再考を迫られるでしょうし、既にそのような活用をしていたサービスやソフトウェアは、対応に苦慮するでしょう。

オープンデータは2014年度、15年度が取り組み強化期間ですが、そのスタートがこのようなものであることには危機感すら抱きます。そして、これがオープンデータの潜在的利用者の信用を失い、期待感を削ぐような効果を持ってしまうことも、避けられないでしょう。

OKFJも、これまで、このデータカタログサイトのローンチを心待ちにし、ローンチ後は国内外様々な場で紹介し、日本のオープンデータの発展のために応援して来ましたが、残念ながら足元を掬われてしまいました。オープンデータは政府が提供するだけでは政策目標はほとんど達成できません。利用者に利用されなければ効果が出ません。それにも関わらず、利用者を軽視するかのような展開になってしまったことは、大変残念です。

ですが、われわれは、手軽にデータを検索でき、使いやすいライセンスでデータを提供するデータカタログのような仕組みは、オープンデータの幅広い利用に不可欠だと考えます。今回の出来事はとても残念ですが、今後とも日本政府を応援し、日本のオープンデータの成功に向けて貢献していきたいと考えています。そこで、政府データカタログサイトData.go.jp の(完全ではありませんが)代替となるサイトDatago.jp を立ち上げました。このサイトは特定非営利活動法人リンクト・オープン・データ・イニシアティブ一般社団法人コード・フォー・ジャパンとともに始めたData for Japanという活動の一環として運営しています。

日本政府も、挽回のために相応の取り組みをして頂けることを強く願います。

2)政府サイトの利用規約(案)

4月1日にはもうひとつ、日本のオープンデータに関して同じくらい残念な展開がありました。オープン・ナレッジ・ファウンデーション・ジャパンとしては、この問題についても懸念を表明し、ここに広く関係者の注意を呼びかけます。

現在、政府では政府全体でウェブサイトの利用規約を書き換え、サイト上で提供されているほとんどの情報を自由に利用できるようにしようという取り組みが行われています。しかしその内容が利用者の利便性に十分配慮していないものになりそうであるということを指摘したいと思います。

「政府標準利用規約(第1.0版)」(仮称)(案)として電子行政オープンデータ実務者会議に提出された案は、複数の点で残念な内容を含んでいました。

a) これまでは制約なく利用できたデータにも、今後は利用の制約をかけてしまう

オープンデータは本来、データをより利用し易くするための取り組みであるはずです。数値データやそれを単純なグラフにした図の中には、データ構造や、グラフの描き方などの創作性が乏しく、いわゆる「著作権フリー」のデータとして使ってよいものも多くありました。

著作権がない場合、データは自由に使うことができますが、現在の利用規約案ではそのようなデータにも利用にも制約が課されることになってしまいます。これは、オープンデータ政策に逆行するものです。

例えば、政府サイトから桜の開花状況や、異常気象の情報を見つけて共有したい場合、あるいはパブリックコメントを実施して広く意見を募っているのを知って、共有したい場合、ソーシャルメディアで仕事の関係者や同僚に送りたいことがあるでしょう。その場合にも、利用規約に従って、クレジット表記をしなければならなくなります。

b) 内容が曖昧で利用者を萎縮させかねない制約条件を含んでいる

利用規約案には、「公序良俗に反する利用」や「国家・国民の安全に脅威を与える利用」を禁止するという規定があります。違法な利用以外にこのような利用を禁止する、ということになっているので、合法だけれども公序良俗に反したり安全に脅威を与える利用が禁止されることになります。これはどのような範囲の禁止になるでしょうか?

このように範囲が曖昧な規定は、利用者から見ると何をしてはいけないかがはっきりしないため、利用の萎縮をもたらしかねません。例えば、オープンデータ実務者会議でも指摘があった通り、夜道の明るさを知らせるアプリは、安全な道を探す人が暗いエリアを避けることにも使えますが、犯罪者が暗いエリアを探すことにも使えます。これは国民の安全に脅威を与える利用でしょうか?あるいは、公序良俗に反するでしょうか?

政府の提供する地図データを使って、東アジア地域の戦争をシミュレートできるようなゲームを作ったらどうでしょうか?災害時に正確な情報を提供すると、かえってパニックが起きる可能性があるという指摘がありますが、そのような正確な情報を政府サイトから収集・提供することも「国民の安全に脅威を与える」から禁止されるのでしょうか?

利用規約案の解説資料を参照すると、公序良俗は次のように説明されています。

「犯罪にかかわるもの、人倫(婚姻秩序・性道徳)に反するもの、賭博にかかわるもの、人の自由を極度に制限するもの、暴利行為又は不公正な取引行為などがあり、典型例としては、法に抵触する行為を助長する利用、卑猥又は脅迫的な利用などが挙げられる。」

既存の法律で違法な行為の外に、公序良俗に反する行為があると想定しているため、犯罪の教唆や幇助にもあたらなくても、犯罪に関係がある場合にはデータの利用が利用規約違反になるのでしょうか?私たちは基本的に、データは、目的によって利用が制限されるべきものではないと考えます。

c) データの組み合わせ利用にフレンドリーな設計になっていない

データの利用条件は、独自のもので、国内の自治体や海外でも採用例が増えているクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを採用しておらず、また、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとの互換性も確保されていません。

そこで、地方自治体のデータと国のデータを組み合わせて利用したいと考える人は、2種類のライセンスの条件を満たす方法を考えなければならなくなります。

d) 国際的な問題を生み出す温床になっている

この利用規約は、国際的な問題を生み出す温床になるリスクがあります。たとえば、海外のデータ利用者は、日本のデータを利用して、日本に観光に訪れる人向けのアプリケーションを作りたいと思うかも知れませんが、公序良俗に反する利用の禁止規定を見て、日本では何が公序や良俗に反するか判断できず、そのようなプロジェクトにはリスクがあるため、弁護士に相談する時間と費用をかけるなど、開発コストを多くかけなければならないと考えるかも知れません。

他国のデータの利用条件と互換性が十分確保されていないため、複数の国のデータを組み合わせるようなサービスやアプリケーションも、作りにくくなるかも知れません。

また、日本の利用条件を海外に輸出した場合、国によっては、公序良俗(英語で Public Order and Morality などと訳されます)に反した利用を禁止するという規定が日本とは大きく異なる形で利用され、自由な言論や、政府の批判や、集会の自由が妨げられるようなことになるかも知れません。日本政府におけるデータの利用条件が統一されることは、データの利用を簡便にするので、一般的には望ましいことですが、この利用規約は多くの国で用いられては困るような利用規約になっているのではないでしょうか。

オープンデータにおける「オープン」の意味は、オープン・ナレッジ・ファウンデーションのプロジェクトのひとつ、Open Advisory Council の議論を通じて、これまでにオープン・ソース・ソフトウェアやウィキペディアなどを通じて培われた知見を参照しながら、議論されてきました。この利用規約はそのような国際的な議論の場でも、おそらく「オープンとは呼べない」ということになるでしょう。関係者の間では、このような日本の動きを指して、「日本がガラパゴス化」がここにも起きつつあると指摘する声もあがっています。

オープン・ナレッジ・ファウンデーション・ジャパンは、このように、今の利用規約案にはデータの利用を萎縮させたり、利用したい人に不便を強いるような側面があるため問題だと考えています。

もっとも、政府サイトに掲載されている著作物を断りなしに利用できるような原則への転換という側面を見ると、これは大きな進歩でもあります。また、データの組み合わせ利用に不便が残るとしても、国のデータだけを組み合わせる場合や、単一のデータだけを利用する場合など、従来よりも簡便になるところもあるでしょう。また、政府のウェブサイト全体を対象に、利用条件を大幅に緩和しようという取り組み自体は大いに評価されるべきものでしょう。また、利用規約は全体として簡潔・手短で読みやすい(クリエイティブ・コモンズ・ライセンスよりも遥かにわかりやすい)ものになっていることも、データを利用する人にとってはとても有難いことです。

そのような取り組みは賞賛・感謝しつつも、やはり上のような問題が大きく、OKFJが理想とするような、自由なデータ利用の実現に照らせば重大な懸念材料であることを指摘さざるを得ません。

会議資料によれば2014年と15年はこの利用条件を使い、2015年に再検討を行う計画がありまが、これはデータポータルの停止期間よりもはるかに長い期間です。その間に、海外の開発者が日本のデータ利用をあきらめ、著作権フリーのデータを自由に使っていた事業者が不便を被り、曖昧な規定にリスクを感じた開発者があきらめる、といった犠牲が出ることも、おそらく不可避でしょう。

そのような犠牲を少なく抑えるべく、速やかな見直しや不明瞭な規定のより明確な解説など、政府が適切な対応をすることを願います。

もうひとつのオープンデータライセンス:CC0

2013年12月30日 in News

2013/11/4付でクリエイティブ・コモンズ・ジャパンよりCC0日本語版のRFCが出されている。正式版公開も近いだろう。

パブリック・ドメインの考え方

米国には政府職員の成果物は全て国民のものとするパブリック・ドメインの考え方がある。文化と言っても良いだろう。直訳すると「公共の領域」であり、そこに置かれたものは誰でも制約なしに利用できる。ただし、他の法令により明示的に公開が禁じられている個人情報や国家機密などは除外される。

著作権とパブリック・ドメイン

著作権は好むと好まざるとに関わらず著作物に自動的に発生する権利であり、その権利を放棄したり、行使しないことについての法的な手続きが定められている訳ではない。
パブリック・ドメインはその概念の知名度に比して、これまで日本国内ではあまり法的な裏付けが論じられてこなかった。有名な課題として「パブリックドメインの宣言は日本で有効か?」というものがある。自分の著作物はとにかく広く使ってもらえれば嬉しいので誰でも好きに使ってください、という作者の意思を表明する手段としてパブリック・ドメインを宣言したとして、それは国内において法的に有効なのであろうか。著作権との整合性をどう取るかといった点はパブリック・ドメインを宣言した作者が明記するか、利用の都度作者に問い合わせなければ、グレーな部分を残したまま使うことになる。
作者がパブリック・ドメインと著作権との関係を適切に理解していないと齟齬があった場合にややこしいことになる。

3段構えの権利放棄

著作物には著作権以外にも肖像権やデータベース権など、法域により様々な権利が発生する場合があるが、CC0は想定される範囲において、可能な限り権利を放棄しようとするものである。
これらの権利は法域により解釈が異なる場合がある。例えば日本では著作者人格権は放棄できないものと一般的に解されている。こういった法域ごとの解釈の違いに対応するために、CC0は以下のように、いわば3段構えで権利を放棄することを確約する仕組みになっている。

  1. 作品に係る著作権など一切の権利を放棄する
  2. 放棄できない権利は無償、譲渡不可、再許諾不可、非独占、取消不能および無条件の形で利用許諾する
  3. 利用許諾が無効な場合は権利行使しないことを確約する

CC0の意義

今回のCC0日本語版はあくまで汎用版原文(CC0 1.0 Universal)の翻訳版であり、国内法との整合性が取られた「移植(ポーティング)」版ではない。しかしながら上述の通り各国の実情に応じた読み替えができるような汎用性が考慮されており、各国の法令に矛盾しない範囲で徹底的に放棄したい、あるいは行使しないことを確約したい人のための法的なツールとなるものだ。
また、CC0は著作物とデータベースの双方を対象としており、より包括的に適用できるライセンスである。

他のCCライセンスとの比較

他のCCライセンスが著作権を保持しながら一定の条件の下に利用を許諾する「ライセンス」であるのに対して、CC0は著作権そのものの権利放棄または不行使に関する「確約」である。(尚、ここではCC0もライセンスのひとつの位置づけで比較している)
また、上述の通り著作物とデータベースの双方を対象としており、他のCCライセンス(Ver.3以前)が著作物のみを対象としているのに対して、よりデータ(ベース)向きのライセンスであると言える。(このあたりの詳細は過去記事を参照)

今後

オープンデータに適用するライセンスとして現時点ではCC BYが使われることが多いが、利用者側からみた場合には著作物か事実情報かの判断が不要であり、何等の利用制限無しに使えるという点において、CC0が最も使いやすいライセンスである。提供者側から見て、できるだけ幅広くデータを使って欲しい場合にはCC0も選択肢のひとつとなるであろう。

参考情報

CC0日本語版のパブリックコメントの開催
CC0 1.0 Universal (CC0 1.0)
CC0について ― “いかなる権利も保有しない”
パブリックドメイン

オープンデータのライセンスを考える(16)カナダ政府のOGL-C

2012年12月9日 in Special

カナダ政府がそのオープンデータに適用するライセンスOpen Government Licence – Canada (OGL-C) の試案を公開し、コメントを募集中だ。ゆるやかな縛りのいわゆる「表示」ライセンスで、2013年春の正式リリースを目指しているという。

イギリスの Open Government License (OGL) とよく似た内容だが異なる部分もある。

オタワ大学の法学者Teresa Scassa のブログCanada’s New Draft Open Government Licence によれば、情報(Information)という用語の定義においてカナダには存在しない「データベース権」に言及している点、許諾の例外規定の中で「個人情報」ではなく「個人データ」という用語を使っている点、「情報提供者」と「ライセンサー」という2つの用語を混ぜている点などが課題だとしている。

個人情報や自国に存在しないデータベース権の扱いを考慮しなければならない日本の状況と似た部分があり、カナダの動向は参考になりそうだ。

私見だが、個人情報については既に個人情報保護法やそのガイドラインが存在する日本ではことさらに再定義する必要は無いと思う。公開できないものはマスクしたり、公開しなければ良いだけだ。あえて書くならライセンス条項としてではなく、参考情報程度の扱いで別途関連する法令を挙げておく程度で良いのではないだろうか。

オープンデータのライセンスを考える(15)国土地理院による利用規約(試作版)

2012年11月24日 in Special

出典:http://www.gsi.go.jp/kiban/riyoukiyaku.html

嬉しいニュースが飛び込んできた。国土地理院が基盤地図情報の新たな利用規約(ライセンス)を試作し、11/22(木)より意見募集を開始した。よく練られた内容であり、政府や公共機関によるオープンデータのライセンスとしてひな形となり得るものではないかと思う。こういったものをベースに、利用規約の表記をできる限り統一的なものにすることがオープンデータの幅広い利活用には不可欠である。
個人的な感想を交えながら中身を見て行きたい。
尚、■部分の条項が今回の試作版の対象であり、□部分は従来よくありがちな条項であるが、今回は対象外となっている。

1.利用規約への同意
■この測量成果を利用する時に、以下の記載事項の内容(ライセンス)を承諾し同意したとみなし、この規約の範囲内で自由な利用を認める

2.禁止事項
■法律、法令、条例又は公序良俗に反する行為もしくはそれらを助長する行為
■国家・国民の安全に脅威を与える行為又はそれを助長する行為
■国土地理院が不適切と判断した行為

政府としてはもっともな条項であり、内容としては納得できる。オープンネスの思想から見れば公序良俗とはどこまでを言うのか等、境界線上の事例は出てくるであろうが、それらは個別に協議し、相互理解を深めていくべきものであろう。

一方、ここに書いても書かなくても、個別の法令は有効であり、違法な行為が裁きを免れるものではない。この点において、違法な行為に対する禁止事項は改めて明記する必要は無い、とする考え方もできるのではないか。

3.利用条件
■測量に使用し又は測量に使用するために複製する場合は、測量法に規定された手続きに従い申請を行い承認を受けること
□そのまま複製は不許可
□公衆に提供又は公衆送信は不許可
■複製物及び利用者が翻案(加工)して作成した製品(二次的著作物)に出所の明示をすること
□利用者が翻案(加工)して作成した製品(二次的著作物)にも本ライセンスと同じ利用条件を付すこと。ただし、利用者は二次的著作物の著作者人格権の行使はしないものとする
□営利目的及び商業目的での利用は不許可

詳しくは、『測量成果の複製・使用』をご覧下さい。

条件が最低限の2つだけとなっており、コンピュータやWeb上での活用に配慮されている。ひとつ目は測量法に基づくものであり、「測量」の範囲がどこまでを指すのか、という点がひとつのポイントであろう。例えば地図を下絵に使ったり、地理データをコンピュータ処理して何らかの可視化表現をする、といった使い方は「測量」にはあたらないと思われ、いちいち利用申請する必要が無いので、非常に使いやすくなったと言えよう。誤解なきよう補足すると、「測量」に該当する場合でも即利用できない訳ではなく、利用申請して承認を受ける必要がある、ということである。
ふたつ目の条件はいわゆる「表示」条項に相当する。これはデータの場合には、トレーサビリティの観点からは不可欠なものであろう。
これら2つの条項以外の□部分が外してある意義は大きい。

4.免責事項
■この測量成果の利用により発生する直接または間接の損失・損害等に対して、提供者は一切の責任を負わない
■この測量成果に関して、提供者はいかなる保証も提供しない

自己責任を前提とした利用という形で、全く問題ないと思う。

5.その他
■本ライセンスの準拠法は日本国の法律とし、本規約により国土地理院と利用者との間で生じた一切の紛争は、水戸地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする
■国土地理院は、利用者に事前の通知をすることなく、本規約の変更を行うことがある。その場合、利用者に公表した時点で効力が生じるものとする

海外製のライセンスには所轄裁判所の指定が海外である場合が多いので、現実問題として国内を指定するのはもっともな話だ。

以上、ごくおおざっぱに言えば、イギリスやフランスのオープンガバメントライセンスと考え方は同じで、基本的には「表示」ライセンスである。その上で国内の各種法令と整合性を取ろうとしているものだ。

欲を言えば、非著作物のデータをどうとらえるか、次の段階として踏み込んで頂きたいものである。

アンケートの形で意見を募集しているので、関心がおありの方はぜひよりよいものにするために意見表明頂きたい。繰り返しになるが、地理データにとどまらず、政府・公共機関のオープンデータに対するライセンスとして、ひな形となり得るものだ。関係者の努力に敬意を表したい。

オープンデータのライセンスを考える(14)相互運用性

2012年11月17日 in Special

データ/データベースには通常、著作物よりもリミックスしやすいという性質がある。リミックスの仕方を大別すると同種のデータを追加する蓄積型と、特定の値をキーにして別のデータに紐付ける連携型がある。いずれの場合もデータ量が増えるほどに分析の精度が上がったり、新たな知見が得られる可能性が高まる。データにとって数はチカラなのだ。それゆえ相互運用性は重要なポイントであり、相互運用性に欠けるデータはそこから得られる成果を限定してしまう。

一方、オープンなライセンスには互換性の問題があるGPLがv2とv3では互換性が無いという話と同様のことがデータ/データベースでも起こりえるのだ。

自由やオープンへの思いは国、組織、人により異なる。それぞれが自分の思いや都合だけでライセンスを策定すると、他との互換性が失われ、データの価値を十分に引き出すことができないといったことにもなりかねない。オープンなデータのライセンスはまずはできるだけ既にあるものを適用することを検討し、どうしても新たに必要な場合はできる限り他との互換性を確保する工夫をするべきだ。

下記の表はオープンデータに関わるライセンス同士の互換性をおおまかに表したものであるが、非専門家の筆者がまとめたものであり、おそらく不正確な部分があると思われる。おおよその傾向として捉えるにとどめて頂きたい。

ちなみにODbLの継承条項は蓄積型のリミックスに適用されるが連携型のリミックスには適用されない、というデータベースの特性を踏まえたライセンスになっているが、下の表にはこういった詳細な区別は反映されていない。

 <デザイン上の問題で20行ほどの空白行があります>























ライセンス 1)2)3)4)5)6)7)8)9)
1)Public Domain⇔/⇔⇔/⇔-/⇔→/--/→→/→→/→→/-→/→
2)CC0⇔/⇔⇔/⇔-/-→/--/→→/→→/→→/-→/→
3)PDDL-/⇔-/⇔-/⇔-/--/→-/→-/→-/--/→
4)CC-BY←/-←/--/-⇔/--/-⇔/-⇔/-→/-→/-
5)ODC-By-/←-/←-/←-/--/⇔-/⇔-/⇔-/--/→
6)OGL←/←←/←-/←⇔/--/⇔⇔/⇔⇔/⇔→/-→/→
7)OL←/←←/←-/←⇔/--/⇔⇔/⇔⇔/⇔→/-→/→
8)CC-BY-SA←/-←/--/-←/--/-←/-←/-⇔/-⇔/-
9)ODbL+DbCL←/←←/←-/←←/--/←←/←←/←⇔/-⇔/⇔

【凡例】著作物/データ、→:片方向互換(矢印の方向に混ぜられる)、⇔:双方向互換(双方向に混ぜられる)、-:非互換または対象外
【注意】この表は十分な評価がなされたものではなく、傾向を見る目安として参照のこと。内容は保証できません。

オープンデータのライセンスを考える(13)各国の状況

2012年11月1日 in Special

各国の政府や自治体はオープンデータにどのようなライセンスを適用しているのであろうか。いくつかの例を見てみよう。

<パブリックドメイン>
・Public Domain
米国

<表示ライセンス>
・CC BY
オーストラリア
ニュージーランド

・OGL (Open Government Licence):独自ライセンス
英国

・Ol (Open Licence):独自ライセンス
フランス

<表示・継承ライセンス>
・ODbL
パリ
ナント(フランス)

上にある2つの独自ライセンスOGLとOlの内容は酷似しており、「情報(information)」という表現で著作物とデータの双方を対象とし、免責、例外規定、他の権利との整合性などが記述されている。また互換ライセンスとしてCC BYや ODC-Byが挙げられている点も同じである。ただしその互換性に疑義を呈する向きもある。

これらの例から分かるように国によりオープンデータのライセンスは様々であり、日本でどのような形が良いのかは難しい選択だ。素人の限界で、その落とし所は正直よくわからないのだが、例えば数の多い「表示」ライセンスをベースに、まずは現行法の枠内でできる限り他のライセンスと互換性、相互運用性を確保した対応を考えて欲しいと願う。政府・自治体のオープンデータにはこのライセンス、という「日本オープンガバメントライセンス」のようなものがあると提供者、利用者双方にとって非常に分かりやすいものとなるだろう。

参考:
オープンデータに関する欧州最新動向(NTTデータ)

英政府、公共データを自由に活用できる「Open Government Licence」発表(マイナビニュース)

オープンデータのライセンスを考える(12)PDDL

2012年10月31日 in Special

ODCの3つ目のライセンスであるPDDL (Open Data Commons Public Domain Dedication and License ) はデータ/データベースのパブリックドメイン・ライセンスである。(邦訳は未完)

PDDL もODC-By 同様、事実情報由来のデータのみに適用されるので著作物は別途に考えなければならない。これに対してクリエイティブ・コモンズのCC0 はデータとコンテンツの双方をカバーするとされているのでオープンデータをパブリックドメインに置きたい場合はCC0 を選んだ方がシンプルに宣言できるだろう。

CC0 の唯一の課題は正式な日本語化、すなわち国内法とのすり合わせがまだ終わっていない点だ。現時点ではパブリックドメインを宣言したとしても、それが日本の著作権法と整合しているのか、まだ一般的な認識は得られていないのではないか。

権利主張しないから自由に使って欲しい、と思った時に「パブリックドメイン」を高らかに宣言するとパブリックドメインとは何かが明確に定義及び法との整合性が明確化されていない以上、むしろその宣言の実効性が危うくなるという逆説的な状況がある。この点においてむしろ「パブリックドメイン」という言葉を使わず単に「誰でもご自由にお使いください」といった日本語での宣言の方が(現時点では)むしろ法的な明確さは増すのではないかと思うのだがどうだろうか。

オープンデータのライセンスを考える(11)ODC-By

2012年10月30日 in Special

次にODC-By(ODC Attribution License) を見てみよう。(英日対訳(試訳)
考え方は非常にシンプルで、ODbLから継承条項及び一体化したコンテンツ用のライセンスを外したものである。

即ちODbL と同様に「共有」「創作」「翻案」ができるが、従うべき条件は「(帰属)表示」のみであり「継承」と「キープ・オープン」は不要だ。ただし、コンテンツについては個々のコンテンツのライセンスに従うか、著作権者が自分であれば自分で決めることになる。このように包括的な取り扱いができない点は注意が必要である。

例えば、ODC-By と同時に著作物にはCC BYを適用するといったやり方についてのライセンス間の整合性が確認できれば、非常に使いやすいライセンスになるであろう。このあたり、専門家によるレビューを切望する次第である。

オープンデータのライセンスを考える(10)ODbLの主要概念

2012年10月29日 in Special

ODbLでキーとなる用語をもとに、その背景にあるデータベース権に関わる概念を見て行こう。

派生データベース(Derivative Database)

著作物でいえば二次的著作物に相当するもの。後述の「集合データベース」と対をなす概念であり、ODbLの継承が必要なデータベースを指す。まるごとコピーして改変した場合だけでなく、実質的な部分であれば一部の利用であっても該当する。

実質的(Substantial)

「実質的」な利用か否かの判断を一律に決めることは難しく、ケースバイケースでの判断とならざるを得ないだろう。OpenStreetMap(OSM)では暫定的に「実質的でない」ものの例として以下のようなものを挙げている。(詳細はOpen Data License/Substantial – Guideline 参照)

  • 100件未満の地物。
  • 100件以上の地物であっても、「抽出」が非系統的であり、明らかにあなた自身の質的な基準、例えば友人と共有するための個人的なマップのためにあなたが訪れたすべてのレストランの位置の抽出、あるいはあなたが書いている本の付録として選んだ歴史的な建物の位置の利用、といった場合に限り、我々は非「実質的」とみなします。あるエリア内の全飲食店や、全てのお城の系統的な抽出は系統的なものと考えられます。
  • 住民が1000人までのエリアに関連する地物。ヨーロッパの村落などのような小さくて人口密度の高いエリアや、例えばオーストラリアのブッシュの1区画のような広域で人口密度の低いエリアなどが考えられます。

集合データベース(Collective Database)

ODbLを継承する必要が無いケースを明らかにするための概念のひとつ。何をもって「集合データベース」と判断するか、その基準には議論の余地がある。OSMでは現在のところ「名前」や「位置」のようなシンプルな判断基準だけで他のデータベースとゆるやかに連携している場合は「集合データベース」と考えられる、とされている。ODbLでライセンスされたデータベースと他のデータベースを組み合わせたサービス提供等を考える場合には、「集合データベース」とみなされる使い方であれば、他のデータベースにODbLを適用せずに利用することができる。 (詳細はLegal FAQ の3d参照)

製作著作物(Produced Work)

オリジナルのデータベース、派生データベース、又は集合データベースの一部分としてのオリジナルデータベースについて、そのコンテンツの全体又は実質的部分を使用することによって発生した著作物(画像、視聴覚資料、テキスト、又は音声など)を意味する。ODbLの文脈で頭にProduced と付いているのは、データベースを元に製作された著作物の意味合いがある。例えば画像としての地図を指し、データベースではないのでODbLの継承条項は及ばない。由来となったデータベースの表記は必要だが、製作した人が新たにライセンスを設定することができる。(詳細はLeagal FAQ の3c あるいはProduced_Work – Guideline を参照)