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オープンガバメント、オープンデータ、そしてオープンソースについての短編フィルム 「オープン」

2015年12月2日 in Special

この記事は、オープンデータをテーマにした、「オープンデータ Advent Calendar 2015」企画の2日目の原稿です。他の記事は一覧から見られるようになっており、日ごとに記事が増えていく予定です。ぜひ、ご覧ください。
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(訳注:この記事は Open Knowledge ブログ記事の日本語訳です)

これは「オープン」の作家兼ディレクターであるリチャード・ピエトロによるゲスト投稿です。

これを読んでいるあなたはたぶん、オープンガバメント、オープンデータ、そしてオープンソースといった用語に精通していることでしょう。そしてこういった運動を通じて、いかに市民参画が根本から変わりつつあるかということをおそらく理解しているでしょう。

しかし次のような課題があります:どうやったら他のみんなにリーチできるのでしょうか?このような用語を聞いたことがなく、市民参画にあまり興味を持っていない人たちに。

私は次のように考えています:市民参画はブランドとしてはあまり良いものではありません。より多くの人々の耳目を集めるためには、そのブランドをより良いものに変える必要があります。

市民参画を考える際にたいていの人は、おそらくどこかで怒鳴り合っているコミュニティの人々を想像しています。もしくは、地方自治体の開発計画懇談会での居眠り大会といったものを思い描くでしょう。日々の暮らしの中に、全く違うことを埋め込む時間のある人はいるのでしょうか?たいていの人は、自分の空き時間を息苦しいミーティングで座っていることよりも何かしら情熱を持てることへの投資に使いたいだろうと私は思います!(息苦しいミーティングがあなたの情熱ならそれもクールだね!)

市民参画は無味乾燥で退屈だとか、あるいは情報通で意識の高い政策大好き人間のことだと思われています。これらの2つのシナリオの間で、自分の声は決して届かないと感じます。なぜそんなことに関わる必要があるのでしょう?市民参画はうまくPRできていません。たいていの人にとって楽しいものとは思われていません。加えて、特にそれが権利、義務、特権、あるいは処罰(裁判官はコミュニティサービスを処罰として提供します)として話される時には、エリート臭も漂います。

そこで、私は違う視点を取り入れました:アートとしての市民参画。これは、アートが単に美術としてだけとらえてはならないということを提案するセス・ゴダンの本「かなめ」を通じて動機づけられました。むしろ、彼はアートが情熱の産物であると主張しています;アートとは何かを創り出すことで、それが市民参画の全てです – 情熱から来る何かをあなたのコミュニティで創り出すのです。

私は「オープン」がオープンガバメント、オープンデータそしてオープンソースを新しい人々にシンプルに紹介することを願っています。なぜなら新しい方法で行われているからです。私の意図は、それを楽しむことで市民参画というブランドを変えはじめることなのです。

例えば、私は自分をオープンガバメント大好き少年と呼んでいます。そのため「オープン」ではできるだけ多くのポップ・カルチャーや「大好き少年タイプ」の引用を割り込ませて使っています。実際のところ、私はこの短編フィルムをマトリックスの「パロディ作品」と呼んでいます。私達がしたことはモーフィアスがネオに「現実の世界」と「マトリックス」の違いを説明している場面を撮り、それを「オープンな世界」対「クローズドな世界」に改変したものです。私達はオフィス・スペース、ザ・シンプソンズ、モンティ・パイソン、そしてスタートレックへのあいさつも含めました。

ボーナスとして、私はこれらのおなじみのテーマと引用が「初心者」にとってオープンガバメント、オープンデータ、そしてオープンソースをより理解しやすくすることを望んでいます。

そういう訳で、これ以上Apu無しで(ザ・シンプソンズのファンなら分かるでしょう)オープンガバメント、オープンデータ、そしてオープンソースに関する世界初の短編フィルム「オープン」をお贈りします。

「オープン」を視聴

THE TEAM BEHIND OPEN

Writer and Director: Richard Pietro
Screenplay: Richard Pietro & Rick Weiss
Executive Producers: Keith Loo and Bruce Chau
Cinematographers: Gord Poon & Mike Donis
Technical Lead: Brian Wong
Composer and Sound Engineer: GARU
Actors: Mish Tam & Julian Friday

原文(2015/9/29 Open Knowledge Foundation Blog 記事より):
Original post Open: A Short Film about Open Government, Open Data and Open Source / Richard Pietro, licensed under CC BY 4.0.

市民参画に向けた試み

2013年6月1日 in News, Special

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 オープンガバメントの大きな目標のひとつである市民参画の実現に必要なものを考えてみます。

 市民が街の課題に関する議論に参加する場合に、そのベースのひとつはオープンデータであり、まずはその公開を進めることが重要ですが、公開された後、分析や議論はどうやって進めれば良いのでしょうか。町内会、商工会、政治団体、学校、NPOなど、既存のステークホルダーは、影響力の大小はさておき、それぞれ意見交換や集約した意見を自治体などに伝える手法やルートを持っている場合が多いでしょう。しかし地縁の薄い浮遊層が多い都市部ではそのような手法やルートを持たない人の方が多い場合があります。こういった人々にマッチする手法がITを使ったコミュニケーションです。

 こういったコミュニケーションはまだ試行錯誤の段階ですが、興味深い試みも出てきています。まず思いつくのがソーシャルメディアを使ったコミュニケーションでしょう。千葉市の熊谷市長は政策に関わる市民との意見交換をtwitterで日常的に行なっています。こういったコミュニケーションでは普通の講演会や対話集会では得られない幅広い層の意見をほぼリアルタイムで得ることができます。とはいえ、批判的な意見へも丁寧で真摯な対応が必要であり、ひとつ対応を間違えば容易に炎上するという危険なツールでもあります。使いこなすには高いリテラシーと明確なポリシーが必要でしょう。例えば印鑑証明の見直しに関するやり取りを見るとどうしても反対意見のやり取りの方が多くなる傾向はありますが、主張に合理性があれば一定の評価は得られているように見えます。

 次に政府の事例として、国土地理院は保有する地理データをできるだけ広く使ってもらうために「電子国土Web.NEXT」の試験公開を始め、様々な機能改良を行なっています。昨今の技術動向を取り入れ、かなり使いやすくなってきています。ここで注目すべきはその電子国土ポータルにある「お問い合わせ」フォーム下部の電子国土Web.NEXT技術掲示板です。リンクをクリックするとGithubのイシュートラッカーに飛ぶようになっています。イシュートラッカーはオープンソースソフトウェアなどで課題を管理するのによく用いられるツールですが、こういった問い合わせにも使うことができます。

 従来の問い合わせとの違いは、そのやりとりが広く一般公開されている点です。質問側は他のやりとりを参考にすることができ、どのようなやりとりが行われているか状況が把握しやすく、同じような問題にぶつかった人は質問をし直す必要がありません。回答側も改善要望という形で様々なアイディアをもらうことができます。ただし、注意点は上記のtwitterの例と同様で、真摯な対応が見られないと炎上したり、利用者が離れて行ったりします。しかし何でも対応するという訳には行かないということは他の投稿内容を見たり、少し考えたりすれば分かることであり、利用者側のマナーも試されます。
こういったやりとりはオープンソースのコミュニティや商用サービスではよく見られるものですが、政府・自治体が直接窓口になって広く公開の場での質問や要望にタイムリーに答える、という事例はこれまであまり多くはありませんでした。そういう意味では試験的な試みとはいえ画期的なものです。

 市民参画の推進にあたってはこのような直接対話をどのように進めるかがカギとなります。ITを活用した幅広い層への働きかけと、従来型の組織などを通じた意見集約を併用し、最終的には様々な立場のステークホルダー(利害関係者)が公開の場で直接対話に臨めるよう、オンラインとオフラインのコミュニケーションをうまく使い分けることが必要です。

 ポイントとなるのは「公開」の議論である点です。政府・自治体VS市民という対立構図だけでは解決できない課題が、市民同士でも立場により意見が異なることに気づき、お互い相手の言うことに耳を傾けることで視野が広がり、解決の糸口につながる可能性が広がるのです。

 今回取り上げたtwitterもGithubも長所があるとはいえ、情報の信頼性や使いやすさの面でまだ課題があります。こういった用途に、より適した制度やツールの登場が待ち望まれます。