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英国犯罪データ:感ずることは信ずること

2015年7月15日 in Events, Featured

(訳注:この記事は Open Knowledge ブログ記事の日本語訳です)

最新の犯罪データは英国が『平和』を手に入れつつあることを顕著に示しています。先月、経済学と平和のための研究所は、英国平和インデックスを公表し、全EU加盟国の中で、過去10年間、英国の犯罪件数がもっとも低下したことを明らかにしました。一例を挙げると殺人事件の発生率は、この10年で半減しました。

Crime Scene by Alan Cleaver, Flickr, CC-BY

しかし、英国の一般大衆は、まだ犯罪レベルが上昇していると感じています。犯罪データを公開することで、どうやったらこれまでよりも犯罪に遭遇する可能性が下がっていることを私たちに納得させる役割を果たすことができるのでしょうか?

「感じ方の違い」

犯罪の可能性についての犯罪データと感じ方との間の不一致は、特に英国において顕著です。一般大衆の大多数が公式な統計を広く信頼するということは分かっていますが、犯罪に関連する数値は顕著に低くなっています。ある研究では、人口調査は英国の変化を正確に反映しているということに人々の85%が同意していますが、こと犯罪統計に関しては同意したのは63%にすぎませんでした。

警察データの信頼性

警察は2008年以来、独自のウェブ犯罪マッピングツールを利用したり、全国的な犯罪マッピング施設を経由して、英国の犯罪統計を公表しています(http://maps.police.uk/ および http://www.police.uk )。これは透明性の促進など、他の政策目的に沿った地域コミュニティへの取り組みを改善する目的であったといわれています。しかし、警察のほうが『数値操作』しているという主張によりデータの信頼性が徐々に損なわれ、英国統計局は2014年に警察の数値から優秀の模範ステータスを撤回し、信頼性が欠如しているという『累積的な証拠』を示しました。

犯罪数値のための英国のオープンデータサイトでは、ユーザーがCSV形式の街路レベルの犯罪とその結果のデータをダウンロードし、個々の警察とその周辺のチームについての詳細な犯罪データと情報を含むAPIを検索することができるようになっています。さらにはデータのサブセットに、より簡単にアクセスできるように、カスタムCSVダウンロードJSON APIヘルパーインタフェースも提供しています。

Crime map from data.police.co.uk

しかし、データの信頼性は疑問視されました。つい最近、12歳以下の子供に対する職務質問事案に関連するデータは『不正確』だということが証明されました 。このサイト自体、データの正確性を疑問視する多くの問題を詳説しています:警察の首尾一貫しないジオコーディング方針;「私たちが疑っている6つの警察が、ある種類の事件を二重に報告しているかもしれません」 ;警察の記録内部の『囲われたシステム』;そして地域の警察ごとの様々なITシステム。

要するに、私たちは『提供されたデータは完全に正確、あるいは首尾一貫している。』ということを確信できないのです。

メディアが果たす役割:血が流れればトップニュースになる

持続的かつ広範囲に及ぶ一般大衆の不信に呼応して、犯罪に関する歴代の英国政府の政策が強化されてきました:より厳しい量刑、刑務所にはより多くの人々、通りにはより多くの警察。英国の一般大衆が、なぜ以前よりも犯罪が増えていると考えているのかを尋ねられた時に、半数以上(57%)の人は、テレビ報道によるものであると述べ、ほぼ半数(48%)の人は、新聞記事[Ipsos MORI poll on Closing the Gaps]によるものだと述べました。あるタブロイド紙がつい最近声高に主張しています:「レイプは依然として記録的なレベルにあり、暴力犯罪は上昇している」そして「この10年、犯罪は最大級の上昇を示している」。格言にあるように「血が流れればトップニュースになる」のです。

犯罪データと警察への不信

一般大衆に犯罪数値を意味あるものにしようとしている人々はユニークな課題に直面しています。1993年にスティーブン・ローレンスが殺された時、そしてそれに続く公聴会で、組織的な人種差別が首都警察の中心にあることが分かったとき、一般大衆の警察への信頼は粉砕されました。それ以来、警察は人種差別的な署員を完全に排除したと主張しました。

Police by Luis Jou García, Flickr, CC BY-NC 2.0

しかし、多くは確信しているとは言えないままです。公式な統計によると、1999-2000年に警察に尋問される黒人は白人の5倍ほどでした。10年後に、それらは7倍ほどでした。1人の犯罪学者が次のようにコメントしました:「警察の尋問における証拠を見ると、もはや組織的な人種差別のローレンス公聴会での結論があてはまらないという主張が、空々しく聞こえる」。[マイケル・シャイナーによるガーディアンでのレポート]。

同様に、警察も一般大衆に不信感を持っています。2012年にマンチェスターで起きた、2人の若い女性警察官殺人によって、警察が武装するべきかどうかについての長期に及ぶ大論戦が勃発しました。このため、警察と一般大衆の間の分断は重大なものとなっています。

別のトラック?

2011年に、英国統計局によって犯罪データの見直しが始まりました。次のようなことが推奨されています:

  • 信頼性を高めるために犯罪統計の発表の仕方を改善すること
  • 整理統合の機会を識別するために、政府ウェブサイト上の地域犯罪および刑事裁判データの利用可能性をレビューすること
  • ベストプラクティスを共有し、メタデータを改善し、警察犯罪記録の品質に関する信頼性を回復すること。

英国警察がデータの公表を改善することの重要性を認識していることは明らかです。しかし、一般大衆と警察の間で損なわれてしまった信頼をデータをオープンにすることだけで修復することはできないように思えます。たとえブリトン人がかつてないほど安全であるという証拠が、透明で、容易に道案内ができるデータの中にあるとしても。私たちは例えば、警察の報告方法を吟味する、といったことで起源の連鎖をさかのぼる必要があります。

しかし、これも許しに関わるものであり、英国の一般大衆はいまだその用意ができていないのかもしれません。

原文(2015/7/1 Open Knowledge Foundation Blog 記事より):
Original post UK Crime Data: Feeling is Believing / Meg Foulkes, licensed under CC BY 3.0.