You are browsing the archive for 23andMe.

米FDA、23andMeに対して家庭用DNA検査キットの販売中止を命令

2013年11月26日 in News

Bloombergが報じるところによると、米食品医薬品局(Food and Drug Administration, FDA)はDNA検査サービスを提供する23andMeに対して、唾液を採取する器具などの家庭用DNA検査キットの販売中止を命じた模様です。

FDAは23andMeの検査キットを医療器具とみなしており、医療器具に義務付けられているFDAの承認を23andMeが得ていないことが原因です。

FDAは23andMeのDNA分析の正確性についても懸念を抱いており、2009年から十数回の会議を重ね、何百通もの電子メールで議論してきましたが、合意に至ることはできませんでした。

 

参考:

23andMe、遺伝子分析サービスとデータ駆動型スパイラルアップモデル2

2012年12月20日 in Special

(1からの続き)

2012年9月17日、23andMeは顧客から集めた遺伝子情報を公開すると発表しました。23andMeは、顧客の許諾を得た上で名前やコンタクト情報などを除いた遺伝子情報をデータベースに蓄積し、サードパーティなどにAPIを通じた無料提供を開始しました。この遺伝子情報データベースの無料公開によって、23andMeは遺伝子情報という非常に価値の高いデータの提供者ともなったのです。ここに23andMeのデータ駆動型スパイラルアップモデルが登場します。

23andMeの仕組みは次の通りです。まず、自己の遺伝子に関心の高い顧客が23andMeの遺伝子分析サービスを利用します。23andMeは顧客から承諾を得た上で、遺伝子分析サービスによって分析した遺伝子情報をデータベースに蓄積します。次に23andMeは、遺伝子情報データベースをAPIを通じてサードパーティなどに無償で公開し、遺伝子情報を活用した新サービス開発を促します。こうしてサードパーティが開発したサービスの利用者の中から、新たな23andMeの顧客を生み出し、遺伝子情報データベースをさらに充実させていくことができるのです。

 

23andMeのデータ駆動型スパイラルアップとも呼べるモデルは、オープンデータビジネスにおける新しい可能性を示しています。従来のオープンデータビジネスは、公的機関が税金を使って収集したデータを民間企業が活用してサービス化することに主眼を置いてきました。しかし、23andMeにおいては、データ提供者はサービス購入者である一般市民であり、データ収集を価値のあるサービス提供の一環として顧客に負担をかけずに行っています。23andMeは市民から得たデータをAPIで公開し、他の企業が23andMeの遺伝子情報を自由に活用して新しい多様なサービス開発を促しています。

ここで重要な点は、市民に対して遺伝子情報を活用した様々な新サービスを提供することによって遺伝子に対する関心を高め、23andMeの顧客となる可能性を拡げるとともに、データ提供者としての市民を増やし、全体として正のフィードバックループが成立していることです。

23andMeは、遺伝子情報が増えれば増えるほど分析精度を向上させることができ、それはサービス購入者のニーズにまさに合致しています。企業は自らが蓄積し保有しているデータについて、オープン化することでその価値をさらに高めることができる可能性があります。

(1へ戻る)

23andMe、遺伝子分析サービスとデータ駆動型スパイラルアップモデル1

2012年12月20日 in Special

従来、オープンデータのビジネスモデルは、公的機関が保有するデータを利用して新しいサービスを開発したり、新しいサービスを構築するための支援環境を提供したりするものが主でした。この枠組みにおいては、オープンデータの提供者は公的機関であり、企業はそのデータの消費者、市民はデータを活用したサービスの利用者という位置付けになります。データの流れから見ると、「公的機関→企業→市民」という一方向であり、データが多様な主体を経由するチェーン構造をとることはあっても、ループ構造になることはほとんどありません。

しかし最近になって、公益性の高いデータを市民から収集し、それをデータベース化して公開する企業が現れてきました。しかも単にデータ公開するだけではなく、データを公開することによって新しい顧客の開拓につなげており、従来のデータの提供者としての公的機関、データの利用者としての企業という関係を超えたモデルが生まれてきています。ここではこの新しいモデルを便宜的にデータ駆動型スパイラルアップモデルと呼んでいます。

今回ご紹介するのは、アメリカで遺伝子分析サービスを提供している23andMeです。23andMe は、DNA分析における最新技術とWebツールを活用することによって、個人が自分自身の遺伝子情報をより詳細に知ることができるようにすることを目的として、2006年に創業しました。23andMeという名前は、人のゲノムを構成している23個の染色体の組に由来しています。

23andMeは、顧客の遺伝子情報を分析し、疾患リスクなど以下に示す245項目について判定するサービスを99ドルで提供しています(2012/12/20時点)。

  • 遺伝性疾患の可能性: 嚢胞性線維症、鎌状赤血球貧血、テイ・サックス病など、48種類
  • 疾患リスク: 2型糖尿病、加齢(性)黄斑変性症、パーキンソン病など、120種類
  • 薬に対する副作用:クロピドグレル有効性、ワルファリン感受性など、20種類
  • 遺伝的な形質:アルコールによる紅潮反応、慢性B型肝炎など、57種類

出典:https://www.23andme.com/howitworks/

23andMeを利用して遺伝子分析をするのは極めて簡単です。23andMeのWebサイトでサービスを購入すると、数日の内に遺伝子検査用のキットが届きます。利用者はこのキットに付いている容器に検査サンプルとなる唾液を入れ、23andMeに送り返すだけです。アメリカ国内だけでなく、海外からも利用することができます。

23andMeは届いた唾液からDNAを取り出し、イルミナ社のOmniExpress Plus Genotyping BeadChipという装置に、23andMe独自のバリアントを加えてカスタマイズしたものを用い、約31億にも上る塩基対の中から、23andMeが分析対象としている疾患やリスクに関係する約100万個の一塩基変異多型(SNP, single nucleotide polymorphisms)だけを解析します。4週間から6週間後、利用者は23andMe解析結果をWebやスマートフォンで見ることができます。

(2へ続く)