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オープンデータ活用ビジネスの動向、SlideShareにアップしました

2013年1月30日 in Special

2013年1月22日に開催されたオープンデータ流通推進コンソーシアム 第3回利活用・普及委員会でプレゼンテーションした資料「オープンデータ活用ビジネスの動向」をSlideShareにアップしました。ご利用ください。

オープンデータビジネス9 MRIS、住む前に全てがわかる「不動産高度情報サービス」

2012年11月15日 in Special

アメリカでは不動産に関するさまざまな情報がMultiple Listing Service(MLS)と呼ばれるシステムに登録されており、MLSを通じて不動産の売手業者と買手業者が協力して不動産の仲介をしたり、MLSに登録されている情報をもとにして不動産の価値を評価したりすることができます。

Metropolitan Regional Information Systems(MRIS)は、アメリカで最大規模のMLSであり、メリーランド、ワシントンD.C.、北バージニア、西バージニアとペンシルベニアの一部を含む、ワシントン・ボルチモア広域都市圏をカバーしています。MRISには価格、写真、住宅ツアー、フロアプラン、地図など、日本でもお馴染みの情報だけでなく、公的機関から入手したデータを選択・加工・編集し、利用者が理解しやすいような形式で提供しています。MRISが提供している情報量は驚くほど多彩で、ここではその一端をご紹介します。

MRISはHomesDatabaseというWebサイトを通じて、一般消費者向けにもデータをわかりやすい形で提供しています。HomesDatabaseはMRISのCore Productsを利用したサイトであり、最も集客力のある不動産サイトの1つで、毎月平均50万人が訪れており、2万人もの新たな見込み客が生まれています

Miner Elementary School のDC-CASデータ
出典: http://www.greatschools.org/washington-dc/washington/4-Miner-Elementary-School/?tab=test-scores

HomesDatabaseでは、住宅、住人、経済、学校、環境、クオリティ・オブ・ライフ、地図などの分野ごとに詳細な情報を知ることができます。例えば学校に関しては、住所、電話番号、対象学年、生徒数、先生一人当たりの生徒数、生徒一人当たりの支出額、各学年の生徒数などに加えて、DC-CASの国語・数学・科学のテスト結果まで知ることができます

DC-CASとはコロンビア特別区で実施されているテストで、コロンビア特別区が定めた標準に対して生徒がどれだけ習熟しているのかを判断するために実施されています。

近隣の生活環境情報
出典:http://www.homesdatabase.com/homes-for-sale/DC/WASHINGTON/20002/1241-18TH-ST-NE-2-77875755

環境に関しては、高度、年間降水量、年間降雪量、1月の平均最低気温、7月の平均最高気温、年間の降雨日数、年間の晴天日数、快適指数などに加えて、大気の品質、流域の品質、一人当たりの医師の数、医療経費指標、スーパーファンドサイト指数、紫外線指数などまで知ることができます

医療経費指数とは、入院や通院、健康維持にかかる費用を相対的に比較するために指数で、国を100とした際の相対値で表しています。スーパーファンドサイト指数とは、産業廃棄物などが投棄されている汚染場所からどれくらいの影響を受けるのかを示す指数で、やはり1から100の値をとり、値が高いほど汚染されていないことを示しています。

MRISは公的機関を中心としたさまざまな機関からデータを得ています。

MRISの主なデータ源
出典:http://www.rdesk.com/communityinfo/NSR_Sources.htm

MRISは1993年の創業以来、順調にカバーエリアを拡大しており、現在は25の不動産協会、そのメンバーである5万もの不動産業者とビジネスをしています。MRISは主要なツールやデータ、サービスをCore Productsとして不動産業者などに有料で提供し、新規加入の際に295ドル、四半期ごとの利用料として165~258ドルの料金を得ており、その他に有料のPremium Productsも各種提供しています。以下に示すようにMRISを利用した不動産売買は非常に活発に行われています

  • 登録物件総数は54,266件(住宅37,353件、土地13,207件)(2012/11/15現在)
  • 1日当たりの平均売買高が9260万ドル(2011年)
  • 年間売買件数が10万4千件年間売買高が338億ドル(2011年)

MRISはアメリカでオバマ政権が誕生しオープンデータが本格化するかなり前から、さまざまな公的機関からデータを入手し、それを活用したビジネスを展開してきました。MRISの事例が示しているのは、こうしたオープンデータ運動が始まる以前から、公的機関はある程度の、またはかなりの種類・量のデータを実はすでに公開しており、そうした公的データを利用したビジネスを行うことは可能であったという事実です。

MRISが提供している情報は非常に多様で、とてもここですべてを紹介できるものではありません。是非、HomesDatabaseを使用してご自分の目で確かめてみてください。

オープンデータビジネス8 DataMarket、世界レベルのデータ市場

2012年11月14日 in Special

DataMarketは、世界の経済、社会、自然、産業などに関するデータマーケットを提供しているアイスランドの企業です。DataMarketは、95にも上るデータプロバイダーから何百万ものデータ、何千種類ものデータセットを収集し、データポータルを通じて公開しています。データプロバイダーとしては、公的機関もあれば民間企業も含まれています。代表的なデータプロバイダーとしては、国連世界銀行、欧州委員会のユーロスタット(Eurostat)、エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(※1)などが含まれています。

DataMarketでは、日本を含む世界42カ国の統計データを簡単に参照することができるようになっており、その大部分を占めている基本的なデータについては無料で見ることができます。

出典:http://datamarket.com/

例えば、日本の調整失業率(Harmonised unemployment rates)のデータも提供されています。左図から、この日本の調整失業率のデータは国際労働機関(International Labor Oraganization, ILO)による調査結果であり、そのデータ源はユーロスタットであることがわかります。またこのデータはユーロスタットとDataMarketをオリジナルのデータ源として明記することを条件に、コピーや再配布が許可されていることも示されています。

DataMarketは主要産業に関するデータについても充実しており、自動車教育エネルギー金融食品・農業ヘルスケアIT小売りなどの産業別に関連するデータをまとめて調べることもできます。例えば、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、イギリスの乗用車台数、世界の原油生産量など、自動車産業に関するさまざまなデータをまとめて見ることができるようになっています。

データ提供者用サービスメニュー
出典:http://datamarket.com/plans-and-pricing/

DataMarketは、市場調査、金融市場データ、アナリストによる予測などのデータは、プレミアムデータセットとして有料で販売しています。またデータにアクセスするAPIも提供しており、使用頻度によって無料から799ドルまでメニューが用意されています。

さらに市場調査会社や金融機関、各種分析を行なう企業などは、DataMarketのポータル上にデータを簡単に公開し販売することもできます。DataMarketはデータ提供者のデータ販売を支援するために、さまざまなサービスを提供しており、Proメニューでは月額59ドル、Corporateメニューでは月額299ドルの支援サービス料をデータ提供企業から得ています。DataMarketはデータの販売が成功した際に、データ提供者とデータ利用者とを仲介手数料としてデータ販売価額の25パーセントを得ています(ProおよびCorporateメニューの場合)。DataMarketは、公的機関や民間企業から有償・無償のデータを幅広く集め、検索しやすい形に分類し、データ利用者とデータ提供者を仲介する世界レベルのデータ市場を運営しています。

(※1)雑誌The Economistの企業間事業部門、世界約200カ国の政治・経済に関する詳細な分析、予測やデータを提供している

オープンデータビジネス7 Geofabrik、OpenStreetMap活用支援サービス

2012年11月12日 in Special

オープンデータをビジュアライゼーションする際には、直感性など視覚的効果を高めるために地図が利用されるケースが多く、最も頻繁に利用される地図の1つがOpenStreetMapです。OpenStreetMapとは、道路地図などの地理情報データを誰でも利用できるよう、フリーの地理情報データを作成することを目的としたプロジェクトであり、誰でも自由に参加して、誰でも自由に編集でき、誰でも自由に利用する事が出来る地図などを開発している世界的なプロジェクトです。日本ではOpenStreetMap Japanが日本のOpenStreetMapの開発にあたっています

Geofablikは、OpenStreetMapの開発に貢献したFrederik RammとJochen Topfが中心になってドイツで設立された企業であり、OpenStreetMapの商用利用を促進するための各種サービスを提供しています。Geofablicは以下のサービスを有料で提供することによって収益を得ています。

  • OpenStreetMapのShapefile変換サービス
  • Web Map Service(WMS) Serverサービス
  • Tile Serverサービス
  • コンサルティング、トレーニング、カスタムソフトウェア開発、サービスのホスティング

出典: http://www.geofabrik.de/img/shapefiles_dresden.png

 Shapefileとは地理情報システム (GIS)で標準的に用いられるファイル形式の1つであり、GeofablikはOpenStretMapのデータをShapefileに変換して提供しています。左図はドイツのドレスデン市における土地利用区分と建物を表すShapefileの例です。

OpenStreetMapからShapefileへの変換については市レベルの200ユーロから、世界全体の1,000ユーロまでメニューが用意されており、ルート検索可能な(Routable)Shapefileを入手することもできます。

Shapefileサービスのメニュー
出典:http://www.geofabrik.de/data/shapefiles.html

Web Map Service(WMS)とは、地図画像を配信するサービスのプロトコル(仕様)の1つであり、Open Geospatial Consortium (OGC)によって策定されたものです。Geofablikは全世界の地図を対象にして、このWMSに準拠した地図画像配信サービスを月額35ユーロから提供しています。

Tileとは地図の一区画の画像データであり、地図を表示するアプリケーションはTile Serverと呼ばれるサーバーから必要なTileをダウンロードして表示しています。このTile数は地図のズームイン、ズームアウトなどの機能によって膨大な数に上ることがあるため、OpenStreetMapでは無制限なTileのダウンロードは許していません。そこでGeofablikは独自のTile Serverを立ち上げ、それをWebアプリケーション開発者やスマートフォンアプリケーション開発者に有料で提供しています。

オープンデータビジネス6 Placr、オープンデータアクセス用API開発

2012年11月10日 in Special

Placrは、世界最大規模のメディア・コングロマリットであるPeason PLCに対して、 Eyewitness Travel GuidesのコンテンツにアクセスするためのAPIを開発したことで有名な企業です。PlacrはPeasonのAPI開発などを通じて培ったスキルや経験を生かし、公共交通機関のデータにアクセスするAPIを開発し販売しています。

PlacrのTransport APIは、公共交通機関に関する情報にアクセスするためのAPIをDaaS(Data as a Service)型で提供しているものです。Transport APIには、時刻表、運行ルート、現在の運行状況、実績履歴などが含まれています。

PlacrのTransport APIの一例
出典:https://developer.transportapi.com/documentation/london-underground-information

上記はPlacrのTransport APIの一例であり、利用者が現在いる位置から最も近い地下鉄の場所を求めるためのAPIです。Placrは、こうしたTranport APIを開発し、DaaS型で利用者に提供することによって、公共交通機関に関するオープンデータへのアクセスをより容易にしています。

UK Travel Options
出典:http://itunes.apple.com/au/app/uk-traveloptions/id411880287?mt=8

PlacrのTransport APIを活用したアプリケーションとしては、例えばロンドンの地下鉄とドックランズ・ライト・レイルウェイ(DLR)の運行情報をリアルタイムに提供するUK Travel Optionsや、利用者がどのバスに乗れば良いのか、またそのバスは何時バス停に到着するのかを教えてくれるBusmapperなどがあります。

左図のUK Travel Optionsの例では、現在地に最も近い地下鉄の駅を探す際に、PlacrのTranport APIが利用されています。

 

オープンデータビジネス5 CKAN, オープンソースのデータポータル

2012年11月8日 in Special

CKAN(Comprehensive Knowledge Archive Network)は、Open Knowledge Foundationが開発したオープンソースのデータポータルです。CKANは、データの公開、共有、検索などの機能を備えており、データストレージ、データ処理、ビューワー、ビジュアライゼーションなどを統合して提供しています。

CKANはイギリスをはじめ、オーストリアブラジルオランダノルウェーの各政府オフィシャルサイトで採用されており、世界中で40を超えるデータポータルがCKANを採用しています。

CKANが提供している主な機能は以下の通りです。

CKANは、顧客先へのCKANの配置とセットアップ、CKANデータポータルの有償貸し、技術サポートなどのサービスを有償で提供しています。データポータル分野においてはCKANの他に、SocrataOpenDataSoftJunarなどがありますが、機能、ビジネスモデル共にCKANと共通する部分が多くあります。

出典:http://ckan.org/datasuite/services/

日本の公的データ活用事例1 Takestock、書店と図書館の一括検索

2012年11月7日 in Special

日本では公的データの活用事例が少ないと言われています。確かにニュースなどで取上げられるようないわゆる「正統派」アプリはそれほど聞いたことがありません。しかしよく探してみると、既存のアプリに公的データを加味して新しい価値を生み出しているものがあるようです。そこで、日本の公的データ活用事例という題で連載を始めることにしました。どこまで続くのか見通しは定かではありませんが、こうした新しい動きを探し出し、広めていくこともOKFJの役目の一つだと思います。

日本において公的データの活用事例としてよく登場するのがカーリルです。カーリルでは、全国の6千以上の図書館における蔵書の貸出状況を検索できます。さらにカーリルは、学校図書館や企業図書館とも連携した「カーリルスポット」の提供を10月から始めました。今回紹介するのは、このカーリルではなく、カーリルを利用した新しいサービスTakestockです。

出典: https://takestock.jp/

Takestockでは、全国にある1,400箇所の書店の在庫と、6千箇所を超える図書館の蔵書とを、一気に検索することができます。例えば、書籍「MAKERS―21世紀の産業革命が始まる」を新宿駅周辺で検索すると、その結果が地図上に表示されます。本を開いたようなアイコンが書店で、グレーのピンマークで示されているのが図書館です。

書店の在庫情報はTakestockが自前で顧客開拓し、図書館の蔵書情報はカーリルAPIを利用してカーリルからデータを取得しています。iOSアプリも11月にリリースされました。

Takestockがこれからどのように収益を上げていくのかなど、ビジネス面での課題はあるとは思います。しかし、カーリルAPIが公開されていること、さらに遡れば図書館蔵書データが公開されていることが、こうした新しいサービスの誕生を促していることは間違いありません。

これからはTakestockのように、「何気なく」公的データを活用している新しいサービスにも注目したいと思います。

オープンデータビジネス4 Spikes Cavell, 公的機関の支出データ公開支援

2012年11月6日 in Special

出典: http://www.spikescavell.net/products/datatransformation/inbrief.aspx

Spikes Cavellは、公的機関などに対して、支出抑制や効率化、法令順守などのコンサルティングやツールの提供を行なっている企業です。Spikes Cavellは”Data Transformation”プロダクトとして、公的機関が支出などに関するデータをポータルなどで公開する際に利用できるサービスを提供しています。

Spikes Cavellが提供しているサービスは次の通りです。

  1. 特定
    支払勘定、注文書、購入カード、契約管理システムから、支払や契約に関するロウデータを特定
  2. 収集
    目的に最適な範囲で、且つ、最低の労力で、支払勘定や注文者、購入カードなどから財務ロウデータを正確に抽出
  3. 洗浄
    後工程のためにデータを標準化し、重複を排除し、エラーを特定してそれを修復
  4. 分類
    ベンダーカードや購入カード、あるいは注文データなどを、素早く、正確に、コスト効率よく分類
  5. 補強
    主要なベンダーの記録に対して、Spikes Cavellが保有するデータセットやライセンスを受けたサードパーティのデータセットから属性を追加
  6. 編集
    特定個人(フォスターケアや地方政府要人など)や、国家安全保障、個人の秘密、あるいは外交関係などに支障がきたさないように、支払いを特定して編集
  7. 集約
    公的部門ごとに支出と関連するデータを全て集め、1つの統合され一貫性のあるデータベースを構築

日本でも政府によって公的データのオープン化が義務つけられ、オープンデータのための適切なライセンスが開発されれば、Spikes Cavellのようなサービスは直ちに必要とされることでしょう。

オープンデータビジネス3 データを売買するデータマーケット

2012年11月5日 in Special

オープンデータの市場では、オープンデータそのものを製品・サービスとして扱うデータマーケット企業がいくつか現れています。データマーケットとは、公的機関がデータポータル等で公開しているデータや、民間企業、さらには非営利組織など他の団体からデータを集め、特定分野のデータに関するワンストップマーケットを構築し、利用者から使用料を得てデータを提供するサービスを行う企業のことです。代表的なデータマーケットとしては、アイスランドのDataMarket、フランスのqunbData Publicaなどがあります。

データ提供者は、データ提供に対して対価を得ることもできますし、無償で提供することもできます。データマーケット企業は、利用者からデータ使用料に手数料を加えた料金を徴収し、データ提供者に使用料を渡し、手数料を自身の収益とします。

データの買い手としては、市場調査会社や金融機関などを主な顧客としています。データマーケットの中には、顧客からのリクエストに応じてデータを探索したり、データ分析をしたりする企業もあります。さらに、顧客との間でデータを受け渡す煩雑さを解消したり、プログラムからの利用を容易にしたりするために、データではなくAPIのマーケットを提供するアメリカのMashapeのような企業も現れています。

オープンデータビジネス2 主要なプレーヤー

2012年11月1日 in Special

現在のオープンデータビジネスの全体像を図に示すと以下のようになります。中央に位置するCKANSocrataなどがデータポータルサービスを提供しており、その左側には公的機関のオープンデータ化を支援するSpikes Cavellが、右側にはデータセットに対するAPI開発に特化したPlacrが位置付きます。さらに、図の右端にあるDataveyesGeofabrikは、オープンデータのビジュアライゼーションに特化した企業です。ここまでがオープンデータのアプリ構築市場における主要なプレーヤーです。

 

一方、新サービス市場ではThe Climate CorporationのTotal Weather Insuranceや、MRIS(Metropolitan Regional Information Systems)など非常に特徴のあるサービスが現れているものの、全体としてはオープンデータを可視化するためのマップベースのアプリなどが多数を占めており、真に画期的で本格的な新ビジネスと呼べるものはまだ少数にとどまっています。オープンデータ先進国であるイギリスやアメリカは、今まさにこうした新サービスの創造、新サービス市場の創出に政府を上げて取り組んでいます。