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データドリブンエコノミー、『大連立』でICT技術者育成を加速するEU

2013年3月8日 in Special

2013年3月4日、欧州委員会は深刻化するICT技術者不足を打開するために、Grand Coalition for Digital Jobs(デジタル仕事のための大連立)というプロジェクトを立ち上げました。

このプロジェクトは欧州委員会委員長ジョゼ・マヌエル・バローゾの肝入りで開始され、2015年までに90万人も不足すると予想されているICT技術者を育成するために、経済界、政府、教育機関がまさに「大連立」で取り組みます

ヨーロッパでは高い失業率にもかかわらず、毎年10万人を超えるICT技術者の雇用を生み出しています。しかし、ICT技術を身につけた学生や企業人の数が足りず、需給ギャップ克服が大きな課題となっています。

Grand Coalition for Digital Jobsには、既に以下のような名だたる企業、教育機関が参加しています。

  • 企業: SAP, Telefonica, CISCO, HP, Microsoft, Oracle, the Corporate IT Forum
  • 教育機関: the European Schoolnet, the Council of European Professional Informatics Societies (CEPIS), the ECDL Foundation, the European e-Skills Association, Fast Track to IT

さらに、Google, Randstad, ENIなどが参加を決定し、Digital Europe, CIONET, EUROCIO, PIN-SMEなどがプロジェクト開始時点から協力しています。

大連立への参加する機関は、2013年末までに具体的にどのような取り組みを開始するのかを、5月31日までに誓約しなければなりません。欧州委員会のICT技術者育成に向けた取り組みには、まさに待ったなしの真剣さがひしひしと感じられます。

出典: Grand Coalition for Digital Jobs

データドリブンエコノミー、データバリューチェーン構築を急ぐEU

2013年3月7日 in Special

2012年7月1日、欧州委員会は情報社会総局(Directorate General for the Information Society)を再編し、新たに通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局(Directorate General for Communications Networks, Content and Technology)、通称”DG CONNECT”を発足しました。この再編に伴って新たに誕生したのがDirectorate G: Media & DataのUnit G3 – Data Value Chainです。

Data Value Chain Unitは、改編前のUnit E1 – Language Technologiesと、Unit E2 – Technologies for Information Managementと、Unit E4 – Access to InformationのPublic Sector Information関連活動とを統合したものです。

Data Value Chain Unitのミッションは、欧州のデータ資源を合理的に活用し、管理し、再利用することによって、商業的・社会的付加価値を高めることです。世界をリードするアプリケーションや中小企業による新ビジネス創造、公的機関・民間機関の効率向上などを達成するために、オープンデータフレンドリーな政策とビジネス環境を整えることを使命としています。

Data Value Chain Unitが重点的に取り組むのは以下の項目です。

  • 欧州にデータ産業を出現させ、データ集約型アプリケーション領域における効率を高めるための欧州データバリューチェーン戦略を策定すること
  • より優れた意思決定や効率向上を実現するために、ビジュアライゼーションや多言語データを含むデータやコンテンツの分析に関する研究や、データ集約型セクターにおけるデータ駆動型の知恵や知識の活用に関する研究を促進すること
  • オープンデータと言語資源に関する汎ヨーロッパ・ポータルの基礎作りを行うこと

Data Value Chain Unitは欧州委員会におけるオープンデータ戦略推進のまさに中心となり、汎ヨーロッパ・ポータルによってEU全域のオープンデータと多言語リソースを束ね、新しいデータ産業を生み出すためのプラットフォームを作ろうとしています。

参考: Data Value Chain(CORDIS)

データドリブンエコノミー、オープンプラットフォームに突き進むアメリカ-3

2013年3月6日 in Special

アメリカ政府は2月5日、斬新なアイディアと画期的な技術を組み合わせて政府を革新するプログラム、”The Presidential Innovation Fellows”の第2ラウンドとして9つのプロジェクトを実行すると発表しました

 

米政府は『革新の第2ラウンド』において、以下の3点を鮮明に打ち出しています。

  1. 政府の重要な役割とは民間に対しても政府内部に対してもプラットフォームを提供することである
  2. プラットフォームとはデータ、ツール、ネットワーク、アーキテクチャー、標準、資金提供方法なども含む
  3. アメリカをより強くするのは個人や小規模企業の創造性であり、それを伸ばすことが何よりも重要である

 

『革新の第2ラウンド』においてオープンデータに関しては特に以下の2点が強調されています。

  1. Open Data Initiativesにおいて民間企業が保有するデータの活用とデータアナリストの育成に取り組む
  2. MyData Initiativesにおいて個人データ再利用範囲の拡大と民間所有個人データへの個人のアクセス権確保に取り組む

公的機関が保有する非個人データから始まったオープンデータ運動ですが、アメリカ政府はすでに民間企業が保有する個人データにまでその対象を拡大しようとしています。

アメリカ政府のオープン戦略と”The Presidential Innovation Fellows”の第2ラウンドの内容を見ると、現状維持に安住することを許さない創発に対する政府の強い思いが感じられます。誰かが発見したものはできるだけ素早く全員で共有することによって、同じ領域に多重投資することを避け、より価値の高いサービスを生み出すことに注力できる環境を戦略的に整えています。

政府の役割をオープンプラトフォームと明確に位置付け、誰でも自由に利用できるプラットフォーム上で創造性を生かしたフェアな競争を促すというアメリカの戦略は、これまで以上に多くのイノベーションを生み出していくことでしょう。

データドリブンエコノミー、オープンプラットフォームに突き進むアメリカ-2

2013年3月5日 in Special

アメリカ政府がオープンソース活用から市民参加型開発へと進めることができたのは、2009年からのCode for Americaによって大きな成果を上げた自信がその背景にあります。Code for Americaとは、課題を抱える都市が一般市民から開発者を有期・有償で雇用し、行政担当者と都市の課題を協同で分析し、解決するためのWebサービスを開発するプロジェクトであり、このプロジェクトの成功がアメリカ政府のオープン戦略に拍車をかけました。

最初から市民の力を活用するオープン戦略に自信を深めたアメリカ政府は、コミュニティの課題を解決するための革新的なソリューション創出するイベント”National Day Of Civic Hacking”を、2013年6月1日~2日に全米各地で開催すると発表しました。

データについてもオープン化はシステム調達と似たような現象を引き起こします。データを囲い込み、データの非対称性だけを強みとしている組織は非常に苦しい状況に置かれます。シンクタンク、調査機関、大学、研究所などは、その存在価値が厳しく問われることになるでしょう。真に創造性を発揮して新しい価値を生み出せないところは淘汰されてしまう可能性があります。

データに関してもアメリカ政府はオープン戦略を強化しています。アメリカ政府はdata.govなどのオープンデータポータルの整備が進んだことから、オープンデータを活用したイノベーション創出に焦点をシフトしています。

例えば政府は2013年1月にオープンデータを活用したイノベーション事例を集めたサイトalpha.data.gov[を立ち上げました。alpha.data.govには、コマース、エネルギー、健康、教育、安全、ファイナンス、国際開発の各分野でオープンデータを活用した画期的な事例が集められ、ここをヒントにさらに多くのイノベーションが生まれてくることが期待されています。

このアメリカの例からわかるのは、経済と社会のイノベーションを巧みに組み合わせていることです。データドリブンエコノミーが成り立つのはデータドリブンソサエティがその基礎にあるからだと言えます。

データドリブンエコノミー、オープンプラットフォームに突き進むアメリカ-1

2013年3月4日 in Special

オープンデータによる社会イノベーションについては、データドリブンソサエティとして以前まとめました。今回は、オープンデータによるビジネスイノベーション、すなわちデータドリブンエコノミーについてまとめてみたいと思います。まず最初に取り上げるのはアメリカです。

アメリカ政府の公式サイトWhitehouse.govはオープンソースのDrupalを利用しています。データポータルdata.govOpen Government Platform(OGPL)としてオープンソース化されています。また、政府の電子請願システムWe the Peopleについては、誰でも簡単に電子請願システムがつくれるようにと”white label“版が新たにリリースされることになっています。

さらにアメリカ政府は、次期data.gov 2.0でOpen Knowledge FoundationのCKANを採用すると発表しました。従来のdata.govと地理空間データを提供しているgeo.data.govを統合し、CKANのデータカタログ機能を組み込んだdata.gov 2.0は、Open Government Platform(OGPL)としてオープンソース化されます。

アメリカ政府内と開発者コミュニティとの関係も極めて良好で、活発に交流しています。例えば政府はWe the Peopleの次期バージョンWe the People2.0を市民の力で開発することを決定し、世界的なオープンデータイベントInternational Open Data Dayに合わせて、We the People2.0を開発するためにハッカソンWhite House Open Data Day Hackathonを開催しました

政府が開発したものを後でオープンソース化するという段階から、最初から市民が参加できるオープンな環境で政府システムを開発しようという次の段階に来ていることを示しています。

こうした政府のシステム開発においては、従来型SIerの存在意義が問われており、プロプライエタリなシステムを構築し、長期に渡って顧客を囲い込むことは極めて難しくなっています。アメリカは徹底的なオープンプラットフォーム戦略によって、ビジネスのあり方を根底から変えようとしています。