You are browsing the archive for EU.

欧州委員会、公的機関が特定のICTベンダーにロックインしないためのガイドを作成中、年間11億ユーロの削減を見込む

2013年6月27日 in News

欧州委員会(European Commission, EC)は、公的機関が特定のICTベンダーに依存しないようにするための方針 “Against Lock-In”を発表しました。この方針に従うことによって、EUの公的機関は年間11億ユーロの経費を削減できると見込んでいます。

現在、スタッフ向けワーキングドキュメント(※)が作成され、その中では以下のことを実現するための方法が記載されている模様です。

  • 特定のベンダーに不当に長期に渡ってロックインするリスクを最小限にする
  • ICTの標準を最大限活用する

ECは今後、公的機関の調達責任者、CIO、IT部門、およびICTベンダーを集めて定期的にミーティングを開催し、ロックインを回避するために標準をいかに活用できるかについて、ベストプラクティスを参考に議論する予定です。

 

(※)残念ながらワーキングドキュメントは外部に公開されていないようです。

出典: Guide for the procurement of standards-based ICT

新EUデータ保護法、だれが強化し、だれが緩和したのか、LobbyPlagですぐにわかります

2013年6月10日 in News

EUでは欧州議会において新しいデータ保護法が審議されています。このEU法は加盟国へ直接適用され、EU域内でのデータ保護のルールを一元化するための新しい法律です。新しいEU法がどのように制定されるのかはEU各国にとって非常に大きな影響があるため、欧州議会では膨大な数の修正条項が提出されています。

誰がどんな修正条項を出したのか、それはデータ保護法を強化する方向なのか、緩和する方向なのかについて、誰でも簡単に調べることができるようLobbyPlagは開発されました。LobbyPlagは、フェイスブックがどんな個人情報を集めているのかを調べ上げたことで有名なeurope-v-facebookと、データジャーナリズムを推進するOpen Data Cityとが共同で開発したツールです。実に3,100にも上る修正条項を分析し、国ごと、政党ごと、さらに個人ごとに、強化派(緑)か緩和派(赤)かをビジュアライズしています。

例えば、国ごとのマップを見れば、イギリスやイタリアが緩和派、フランスやドイツが強化派であることがわかります。強化派、緩和派の個人別トップ10ランキングも表示されており、気になる議員を名前で検索することもできます。ここまで透明性を高めれば、議員もきちんと筋の通った行動をとらざるを得なくなるでしょう。

出典: LobbyPlag benchmarks MEPs’ support for data privacy

 

eGovernmentに対して厳しい評価、欧州委員会がベンチマーク結果を公開

2013年5月31日 in Special

欧州委員会(EC)は2013年5月28日、”Public Services Online ‘Digital by Default or by Detour?’ “という、なかなか興味深いレポートを公開しました。このレポートはEU27ヶ国の2万8千人の市民に対して、eGovernmentの各種オンラインサービスの利用状況や満足度を調査した結果をまとめたもので、ベンチマークを行うのは今回で10回目になります。ECの通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局(DG CONNECT)がフランスの大手ITコンサルティング企業Capgeminiなどに委託して調査しました。

レポートは74ページとかなりのボリュームがありますが、とてもわかりやすいインフォグラフィックが掲載されていますので、それだけを見ればおおまかな傾向がわかります。

まず利用者の状況ですが、eGovernmentのオンラインサービスを使った人の1割強がドロップアウトし、半数強は今後もオンラインサービスは使わないという厳しい状況であることがわかりました。

  • 利用したことがあり、今後も利用したい: 33%
  • 利用したことがあるが、もうこれからは利用しない: 13%
  • 使ったことはないが、機会があれば使いたい: 16%
  • まったく利用する気がない: 38%

その理由ですが、オンラインを信用していない(11%)というよりは、そもそも対面を好む人が多く(62%)、所詮どこからかは対面で手続きしなければならないと考えている人も相当数います(34%)。最も利用されているサービスが仕事探し(73%)で、その満足度が6.0しかないなど、2012年欧州で失業者問題が深刻化したことも影響しているかもしれません。

興味深いのは、市民のオンラインサービスの対する評価が2007年に比べて2012年は下がっていることです。これはガバメント(-1.3)に限ったことではなく、コマース(-1.3)も、バンキング(-1.2)も、ソーシャル(-0.4)も、軒並み下がっています。市民のオンライン経験が豊富になり、より使いやすく、リッチなユーザー経験を積む人が増え、サービス提供者側には常に改善が求められる厳しい状況にあります。

レポートではこうした厳しい状況を乗り越えるために、政府はどんなことに取り組むべきかについても提言しています。それについては改めて報告します。

参考: Public Services Online ‘Digital by Default or by Detour?’

EU、オープンデータ・スコアボード発表、イギリスがトップ、スペインとフランスが続く

2013年4月23日 in News

EU各国におけるオープンデータ進捗度を表すスコアボードが公開されました

このスコアボードは以下の7つの観点から各国のオープンデータ度を評価したものです。

  • PSI指令の実施状況(2指標)
  • 再利用状況(5指標)
  • フォーマット(4指標)
  • 価格(3指標)
  • 排他的な協定(3指標)
  • 地方におけるオープンデータ実施状況(3指標)
  • イベントや活動(3指標)

評価指標の詳細はこちらで公開されています。グラフの上には7つの評価観点をトグルボタンで選べるようになっており、それぞれの部門でどこがトップかを見比べることができます。

総合点では予想通りイギリスがトップ、スペインとフランスがそれに続きます。スペインというと意外に思われるかもしれませんが、オープンデータの取り組みは以前から非常に活発な国の1つです。政府の財政危機という背景もあるかもしれませんが、メキシコ、ブラジルをはじめ、ラテン系の国々は総じてオープンデータに積極的です。あのお祭りの国イタリアは、イベントや活動でトップにランキングされています。

出典: European PSI Scoreboard

データドリブンエコノミー、『大連立』でICT技術者育成を加速するEU

2013年3月8日 in Special

2013年3月4日、欧州委員会は深刻化するICT技術者不足を打開するために、Grand Coalition for Digital Jobs(デジタル仕事のための大連立)というプロジェクトを立ち上げました。

このプロジェクトは欧州委員会委員長ジョゼ・マヌエル・バローゾの肝入りで開始され、2015年までに90万人も不足すると予想されているICT技術者を育成するために、経済界、政府、教育機関がまさに「大連立」で取り組みます

ヨーロッパでは高い失業率にもかかわらず、毎年10万人を超えるICT技術者の雇用を生み出しています。しかし、ICT技術を身につけた学生や企業人の数が足りず、需給ギャップ克服が大きな課題となっています。

Grand Coalition for Digital Jobsには、既に以下のような名だたる企業、教育機関が参加しています。

  • 企業: SAP, Telefonica, CISCO, HP, Microsoft, Oracle, the Corporate IT Forum
  • 教育機関: the European Schoolnet, the Council of European Professional Informatics Societies (CEPIS), the ECDL Foundation, the European e-Skills Association, Fast Track to IT

さらに、Google, Randstad, ENIなどが参加を決定し、Digital Europe, CIONET, EUROCIO, PIN-SMEなどがプロジェクト開始時点から協力しています。

大連立への参加する機関は、2013年末までに具体的にどのような取り組みを開始するのかを、5月31日までに誓約しなければなりません。欧州委員会のICT技術者育成に向けた取り組みには、まさに待ったなしの真剣さがひしひしと感じられます。

出典: Grand Coalition for Digital Jobs

データドリブンエコノミー、データバリューチェーン構築を急ぐEU

2013年3月7日 in Special

2012年7月1日、欧州委員会は情報社会総局(Directorate General for the Information Society)を再編し、新たに通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局(Directorate General for Communications Networks, Content and Technology)、通称”DG CONNECT”を発足しました。この再編に伴って新たに誕生したのがDirectorate G: Media & DataのUnit G3 – Data Value Chainです。

Data Value Chain Unitは、改編前のUnit E1 – Language Technologiesと、Unit E2 – Technologies for Information Managementと、Unit E4 – Access to InformationのPublic Sector Information関連活動とを統合したものです。

Data Value Chain Unitのミッションは、欧州のデータ資源を合理的に活用し、管理し、再利用することによって、商業的・社会的付加価値を高めることです。世界をリードするアプリケーションや中小企業による新ビジネス創造、公的機関・民間機関の効率向上などを達成するために、オープンデータフレンドリーな政策とビジネス環境を整えることを使命としています。

Data Value Chain Unitが重点的に取り組むのは以下の項目です。

  • 欧州にデータ産業を出現させ、データ集約型アプリケーション領域における効率を高めるための欧州データバリューチェーン戦略を策定すること
  • より優れた意思決定や効率向上を実現するために、ビジュアライゼーションや多言語データを含むデータやコンテンツの分析に関する研究や、データ集約型セクターにおけるデータ駆動型の知恵や知識の活用に関する研究を促進すること
  • オープンデータと言語資源に関する汎ヨーロッパ・ポータルの基礎作りを行うこと

Data Value Chain Unitは欧州委員会におけるオープンデータ戦略推進のまさに中心となり、汎ヨーロッパ・ポータルによってEU全域のオープンデータと多言語リソースを束ね、新しいデータ産業を生み出すためのプラットフォームを作ろうとしています。

参考: Data Value Chain(CORDIS)

EU、データバリューチェーンとマルチリンガル・プラットフォームを目指す

2013年2月21日 in News

1月24日、ルクセンブルクで開催されたPSIグループ・ミーティングで、EUの“Data Value Chain” Unitの政策担当幹部が行ったプレゼンテーションでは、以下の3点がEUの主要目的として強調されました。

  1. データバリューチェーンに親和性の高い政策環境をつくる
  2. マルチリンガルなオープンデータ基盤を構築する
  3. 研究とイノベーションを支援する

“Data Value Chain” Unitという組織があることにまず驚き、さらにマルチリンガルを実現してEUのプラットフォームを作るという戦略にはなるほどと思いました。EUもアメリカも、政府機関の役割をプラットフォーム構築と位置付け、その実現に向けて急速に動き始めています。

出典: