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ネット選挙運動解禁後に必要なもの-2: トラッキング

2013年3月21日 in Special

前回は、選挙運動期間中に候補者が言及する様々なデータに関して、事実か否かをチェックするファクトチェックが必要であることを述べました。今回取上げるのは、当選した後の話です。

ネット選挙運動が解禁されると、これまでとは比べものにならないほど多様で大量の情報を、候補者は有権者に対して伝えることができるようになります。その中に含まれているデータの誤りについてはファクトチェックで監視できますが、それだけでは不十分です。候補者はしばしば有権者からの支持を得るために、有権者に対して耳ざわりの良い約束をすることがあります。そこで、候補者が当選した後、実際にどういう行動をとったのかを追跡し、選挙運動期間中に約束した通りに行動しているのかを逐一チェックする必要があります。

イタリアでは非営利組織openpolisが、イタリアの政治活動に関する情報を提供し、市民の政治への関心を高め参加を促すために、いくつかのツールを開発し提供しています

openparlamentoは、イタリアの上院・下院で行なわれていることに関する情報を毎日提供し、議員の活動をフォローすることができるポータルです。openpolicitiでは、自分たちの代議士が誰で、何を行い、どんな発言をしているのかを調べることができます。市民はopenpolicitiを利用して、自分の街の名前から代議士を検索し、各代議士がどのような行動をとってきたのかを詳細にチェックすることができます(下図参照)。voisietequiでは、各種選挙における主要な争点を明らかにし、それに対して各候補がどのような立場をとっているのかを知ることができます。

openpolisの収益は会費、寄付、サービス販売の3本立てです。会費に関しては、正会員が50ユーロ/年、学生会員が20ユーロ/年、維持会員が500ユーロ/年、法人正会員が50ユーロ/年、法人維持会員が500ユーロ/年、政治家会員が50ユーロ/年、政治家維持会員が500ユーロ/年となっています。またopenpolisは、議会・政策の監視・分析を専門としている企業DEPP srlを通じて、有料の情報サービスを提供しています

openpolisは、政治家が選挙公約を守るかどうかを監視するサービスをビジネスとして仕立て、3種類の財源からバランスよく活動資金を調達しているなど、組織運営面でも非常に優れています。

ネット選挙運動解禁後に必要なもの-1: ファクトチェック

2013年3月19日 in Special

いよいよ日本でもインターネットを使った選挙運動が解禁される見通しとなりました。各政党では議員向け研修会などが始まり、有権者も半数が好意的に受けとめているという調査結果も出ています。有権者が投票前に候補者と直接意見を交わし議論できることは大きなメリットがあり、歓迎すべき動きだと思います。

一方で、ネットを通じて広がる情報、特に定量的なデータについては、これまで以上に注意が必要です。先日、アメリカで行われた大統領選挙においても、かなりの頻度で間違った数字が含まれていました。日本でもネットでの選挙運動が始まると、こうした誤った数字が素早く、広範囲に拡大することが懸念されます。

こうした状況に対応するために、アメリカではFactCheckという団体が活躍しています。FactCheckは政治家の様々なメディアを通じた発言を監視し、データが正しいかどうかをチェックしています。

例えばオバマ大統領は「高品質のプレスクールに1ドル投資することによって、後に7ドルのリターンを得ることができる」と主張しました。しかしFactCheckによれば、この数字はミシガンの経済的に困窮している若者を対象にした小規模の2年制プログラムにおける経済分析に基づく数字であることが判明しました。オバマ大統領は「アメリカのすべての子どもに1年制のプログラムを提供する」ことを主張しているため、FactCheckはオバマ大統領が「7ドルのリターンを得ることができる」という数字を用いることは事実に反するとして、FackCheckのサイトで誤りを指摘し公開しています

FactCheckが利用しているデータの多くは、連邦政府や地方政府が公開しているオープンデータです。米大統領選の例が示すように、ネットという新しい選挙活動の場において1票でも多くの支持を得たいと考える候補者は、有権者の関心を引き付けるために刺激的なデータを挙げるケースが多々あります。こうしたデータが正しいかどうかをチェックできる仕組みが日本でも必要です。