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オープンデータのライセンスを考える(13)各国の状況

2012年11月1日 in Special

各国の政府や自治体はオープンデータにどのようなライセンスを適用しているのであろうか。いくつかの例を見てみよう。

<パブリックドメイン>
・Public Domain
米国

<表示ライセンス>
・CC BY
オーストラリア
ニュージーランド

・OGL (Open Government Licence):独自ライセンス
英国

・Ol (Open Licence):独自ライセンス
フランス

<表示・継承ライセンス>
・ODbL
パリ
ナント(フランス)

上にある2つの独自ライセンスOGLとOlの内容は酷似しており、「情報(information)」という表現で著作物とデータの双方を対象とし、免責、例外規定、他の権利との整合性などが記述されている。また互換ライセンスとしてCC BYや ODC-Byが挙げられている点も同じである。ただしその互換性に疑義を呈する向きもある。

これらの例から分かるように国によりオープンデータのライセンスは様々であり、日本でどのような形が良いのかは難しい選択だ。素人の限界で、その落とし所は正直よくわからないのだが、例えば数の多い「表示」ライセンスをベースに、まずは現行法の枠内でできる限り他のライセンスと互換性、相互運用性を確保した対応を考えて欲しいと願う。政府・自治体のオープンデータにはこのライセンス、という「日本オープンガバメントライセンス」のようなものがあると提供者、利用者双方にとって非常に分かりやすいものとなるだろう。

参考:
オープンデータに関する欧州最新動向(NTTデータ)

英政府、公共データを自由に活用できる「Open Government Licence」発表(マイナビニュース)

オープンデータのライセンスを考える(10)ODbLの主要概念

2012年10月29日 in Special

ODbLでキーとなる用語をもとに、その背景にあるデータベース権に関わる概念を見て行こう。

派生データベース(Derivative Database)

著作物でいえば二次的著作物に相当するもの。後述の「集合データベース」と対をなす概念であり、ODbLの継承が必要なデータベースを指す。まるごとコピーして改変した場合だけでなく、実質的な部分であれば一部の利用であっても該当する。

実質的(Substantial)

「実質的」な利用か否かの判断を一律に決めることは難しく、ケースバイケースでの判断とならざるを得ないだろう。OpenStreetMap(OSM)では暫定的に「実質的でない」ものの例として以下のようなものを挙げている。(詳細はOpen Data License/Substantial – Guideline 参照)

  • 100件未満の地物。
  • 100件以上の地物であっても、「抽出」が非系統的であり、明らかにあなた自身の質的な基準、例えば友人と共有するための個人的なマップのためにあなたが訪れたすべてのレストランの位置の抽出、あるいはあなたが書いている本の付録として選んだ歴史的な建物の位置の利用、といった場合に限り、我々は非「実質的」とみなします。あるエリア内の全飲食店や、全てのお城の系統的な抽出は系統的なものと考えられます。
  • 住民が1000人までのエリアに関連する地物。ヨーロッパの村落などのような小さくて人口密度の高いエリアや、例えばオーストラリアのブッシュの1区画のような広域で人口密度の低いエリアなどが考えられます。

集合データベース(Collective Database)

ODbLを継承する必要が無いケースを明らかにするための概念のひとつ。何をもって「集合データベース」と判断するか、その基準には議論の余地がある。OSMでは現在のところ「名前」や「位置」のようなシンプルな判断基準だけで他のデータベースとゆるやかに連携している場合は「集合データベース」と考えられる、とされている。ODbLでライセンスされたデータベースと他のデータベースを組み合わせたサービス提供等を考える場合には、「集合データベース」とみなされる使い方であれば、他のデータベースにODbLを適用せずに利用することができる。 (詳細はLegal FAQ の3d参照)

製作著作物(Produced Work)

オリジナルのデータベース、派生データベース、又は集合データベースの一部分としてのオリジナルデータベースについて、そのコンテンツの全体又は実質的部分を使用することによって発生した著作物(画像、視聴覚資料、テキスト、又は音声など)を意味する。ODbLの文脈で頭にProduced と付いているのは、データベースを元に製作された著作物の意味合いがある。例えば画像としての地図を指し、データベースではないのでODbLの継承条項は及ばない。由来となったデータベースの表記は必要だが、製作した人が新たにライセンスを設定することができる。(詳細はLeagal FAQ の3c あるいはProduced_Work – Guideline を参照)

オープンデータのライセンスを考える(9)ODbLの概要

2012年10月29日 in Special

それではODbLの要約文を見て行こう。(注:正式な内容は原文を参照のこと)

ODC オープン・データベース・ライセンス(ODbL)の要約

これはODbL 1.0 ライセンスの一般の人に読みやすいようにした要約です。下段の免責条項を参照してください。

あなたは以下の条件に従う場合に限り、自由に

  • 共有: データベースを複製、頒布及び利用することができます。
  • 創作: データベースから著作物を作成することができます。
  • 翻案: データベースへの改変、変形及び加工ができます。

「創作(Create)」について補足すると、例えば地理データベースであればその中身は無味乾燥な緯度経度や文字列の並びであるが、それを元に視覚化表現、つまり描画された地図の絵柄はそうではない。同一の地理データから異なる地図が作成されることはよくあることであり、そこには作成者の高度な美的センスが要求される。従って地図の絵柄(絵図)は著作物であると考えられ、ODbLのスコープから部分的に切り離される。絵図には改めて別のライセンスを設定することが可能だ。

あなたの従うべき条件は以下の通りです

  • 表示: あなたはデータベースを公衆利用する場合、又はデータベースから著作物を製作する場合にはODbLで指定された方式に従い、帰属表示をしなければなりません。データベースを利用若しくは再頒布する場合、又はデータベースから著作物を製作する場合、あなたは、データベースのライセンスを他者に対して明示するとともに、原データベース上のあらゆる通告を保持しておく必要があります。
  • 継承: あなたは、本データベースの翻案版、又は翻案版データベースから製作した著作物を公開利用する場合、その翻案版データベースもODbLに基づき提供しなければなりません。
  • キープ・オープン: あなたは、データベース、又はデータベースの翻案版を再頒布する場合、それらに制限をかける技術的手段(DRMなど)を用いることができます。ただし、あなたは、当該手段を使用していないバージョンも再頒布しなければなりません。

「継承(Share-Alike)」はオープンを強制する考え方である。ODbLのデータベースの内容を取得して他のデータベースと混ぜても良いが、その混ぜた結果のデータベース全体にODbLを適用しなければならない。政府・自治体のオープンデータに適用する際は、趣旨に合っているかどうか注意した方が良いだろう。

免責

この文書は、ライセンス契約ではありません。これは、ODbL 1.0を理解するための簡便な参考資料に過ぎず、ODbL 1.0の主要条件を人間が読める形式で記述したものです。この文書からは、いかなる法的効力も生じません。この文書の内容は、実際のライセンス契約に定められている内容とは異なります。適用される実際のライセンス条件については、ODbL 1.0 ライセンス契約の全文を参照してください。

オープンデータのライセンスを考える(8)ODbLとDbCL

2012年10月28日 in Special

前回「現時点では、著作物と事実情報が混在する可能性のあるデータに関して、国内法と十分なすり合わせが終わっているライセンスはまだ存在しない」と申し上げたのだが、現時点でこの条件を満たす可能性が最も高いライセンスがODCが策定した3つのライセンスであろう。国内法とのすり合わせはこれから行う必要があるが、枠組みとして著作物と事実情報が混在するデータに対応したライセンスとなっている。

以後、ODCのライセンスに対する解釈や国内法との整合性の確認は日本国内ではまだほとんど行われていないため、非専門家である筆者の理解によるものであり専門家のレビューを受けていない。認識誤り等にお気づきの際はコメント等でご指摘頂ければ幸いである。

ODbL(ODC Open Database License) はデータベースに対するライセンスであるが、コンテンツ(著作物)についてはODbLと一体化したもうひとつのライセンスであるDbCL(Database Contents License) がカバーする。このようにODbLとDbCLは一体化したライセンスとしてデータベースとコンテンツの双方をカバーしている。このためODbLライセンスを宣言すればそのデータの中身が著作物なのか事実情報なのか個々に判断せずとも包括的に適用できるという作りになっている。

また、コンテンツの中には例えば画像や映像などに既に何らかのライセンスが適用されていることがある。この場合、元のライセンスはそのまま有効であり、ODbL/DbCLは従来の著作物に対するライセンスを置き換えるものではない。ただし、ライセンス間の整合性の問題や国ごとの著作物の解釈差異が発生し得る点には注意が必要である。

ODbLとDbCLについてはオープンストリートマップ・ファウンデーション・ジャパンによるライセンス原文及び要約の英日対訳(試訳)があるのでご興味のある向きは参照願いたい。

オープンデータのライセンスを考える(6)オープン・データ・コモンズ

2012年10月24日 in Special

(c) Open Data Commons, licensed under CC BY.

著作権に対してオープンなライセンスで利用許諾を明示できるように、データベース権に対してもオープンなライセンスがある。その代表的なものがオープン・データ・コモンズ(ODC)による3つのライセンス

  1. PDDL:Open Data Commons Public Domain Dedication and License
  2. ODC-By:Open Data Commons Attribution License
  3. ODbL:Open Data Commons Open Database License

であり、制約の緩い順に上から並んでいる。

ODCはオープン・ナレッジ・ファウンデーション(OKF)のプロジェクトのひとつでオープン・データを推進する法的なツールとしてオープン・データに必要なライセンスを取りまとめた組織である。

最初のPDDLは一言で言えばデータをパブリックドメインに置くものである。
次のODC-Byは権利保有者のクレジット表記さえすれば自由に使って良い(表示条項)とするものであり、3つ目のODbLはクレジット表記に加えて、派生して作られたデータベースにも同じライセンスの適用を要求する、いわゆる継承条項がある。
それぞれが順に、クリエイティブ・コモンズのCC0、CC BY、CC BY-SA にほぼ対応している。

考え方がよく似ているとはいえ、データベース権に対するライセンスなのでデータベース権に特有の概念やCC のライセンスでは明確にされていなかった部分をより分かりやすく改善した部分がある。3つのうち、ODbL が最もデータベース権の対極にあるものと言え、いちばん複雑なので次回はまずこちらから見て行こう。