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英国、G8オープンデータ憲章実行計画を発表、オープンデータ戦略をさらに加速

2013年11月5日 in Special

英国政府は先のG8で合意したオープンデータ憲章を具体的に実行するための計画G8 Open Data Charter: UK Action Plan 2013を発表しました。13ページの計画書の約半分、6ページを占めているのが、G8で合意した14種類に及ぶ「価値の高いデータ」のオープンデータ化チェックリストです。2014、2015年のG8サミットでは、このレベルのチェックリストに基づいて、各国のオープンデータ進捗度がチェックされることになると思われます。

 

 

また、Open Government Partnership Summit開催に当たってキャメロン首相は、企業の受益所有権の登録簿公開への強い意欲を表明するとともに、民間企業に対しても政府と同じくオープンデータ化を進めるよう求めています。今後はOGPサミットで宣言した通り、民間企業は受益所有権を明らかにするために必要な広範囲な財務・経理データの公開に踏み切らざるを得ない可能性が高くなっています。「透明性を高めるためのデータ公開」というアプローチが、政府に対しても、民間企業に対してもデータ公開の突破口として使われています。

さらに英国政府は、データを資源として有効活用することで競争優位に立つためのデータ能力戦略を情報経済戦略から独立させて発表するとともに、企業や大学に対してデータサイエンティストの育成支援を要請するなど、データを経済成長の原動力とする姿勢を鮮明にしています。

こうした中央政府の動きに合わせるように、コミュニティ・地方自治省はオープンデータ戦略を改訂し第二版として公開しました。内閣府大臣のフランシス・モードは政府調達の透明性を高める運動をもっと活性化させるために、中小企業は地元議員へもっと圧力をかけるべきだとも述べています。

英国はG8サミットとOGPサミットを非常に上手く利用しました。両イベントを通じて、英国のプレゼンスを高めるとともに、他国へのオープンデータ化圧力を強めることに成功しました。同時にOpen Data Instituteの世界拠点ネットワーク構築も着実に進めており、周到な戦略の下、オープンデータ立国へ突き進んでいます。

 

イズリントン議会に7万ボンドの罰金、誤って精神疾患や家庭内暴力被害者のデータを公開

2013年8月29日 in News

イギリスの情報コミッショナー事務局(Information Commissioner’s Office, ICO)は、イズリントン・ロンドン特別区を管轄とするイズリントン議会に対して、個人情報を不適切に公開したとして7万ポンド(約1千万円)の罰金を命じました。イズリントン議会が情報公開請求に応えて公開したデータの中に、2千人を超えるイズリントンの住人に関する個人情報が含まれていたためです。

イズリントン議会が誤って公開したデータの中には、住人の精神疾患に関する情報や、家庭内暴力の被害者であるかどうかといった、極めて影響の大きい個人データも含まれていました。しかもオンラインで公開されたことによって、多くの住人が被害を受けました。

イズリントン議会によれば、「今回、不適切な個人情報を公開した担当者は、スプレッドシートから誤りを見つけて修正できる十分な能力を有していなかった。今は、情報公開に対応する業務に携わる全職員に対して追加のトレーニングを実施し、公開情報をどうやって準備したら良いのかを習得させている」とのことです。

情報公開請求が増え、対応業務の負荷が増す中、対応する自治体職員のミスはなかなか防げるものではありません。情報公開請求業務の負荷を下げるためには、カリフォルニア州の例にもあるように公開して差支えないデータは基本的に住民に公開し、住民の情報ニーズを満たすとともに情報公開請求件数を削減するという施策が有効です。公的機関が公開するデータに関して、不適切なデータが含まれていないかどうかチェックする方法についても、職員の目視チェックだけではバラつきが大きくなります。不適切ワードや過去の失敗例などのデータを利用したフィルタリング・システムも整備する必要があります。

 

参考: Islington fined £70,000 for publishing personal data on residents

 

G8再考(2)オープンデータ先進国、英米の思惑

2013年8月16日 in Special

G8首脳コミュニケに別添された技術的文書Technical Annexには、G8各国が公開すべき「価値の高いデータ」が具体的に指定されており、G8各国は以下のデータを優先して開示しなければならないとされています。

データカテゴリやデータセットの例を見ると、なるほどと納得できる点も多々あります。しかしどんなデータを公開するのかは、基本的に各国政府の自由裁量に委ねるという選択肢もあったはずです。

もし、仮にTechnical Annexにおいてデータセットを明記するにしても、今回のG8ではオープンデータはトップアジェンダではなく、透明性の中の3つのサブテーマの1つにすぎないのですから、国際関係の透明性に関わるデータを優先して公開するということであれば納得がいきます。しかし、Technical Annexで指定されているのは透明性の範囲をはるかに越えた多様なデータセットです。なぜわざわざG8でこのような具体的なレベルまで踏み込んだのか、ここで少し考えてみたいと思います。

G8で合意された公開すべき「価値の高いデータ」には、オープンデータ先進国である英国の思惑が色濃く反映されています。例えば上記のデータと、英キャメロン首相が2010年から2011年にかけて書簡で政府機関に公開を指示したデータ とを比べてみると、多くの項目に重なりがあることは前にも指摘した通りです。G8ホスト国のトップでオープンデータ推進に極めて積極的なキャメロン首相が、オープンデータを推進するOpen Data InstituteOpen Knowledge Foundation などの協力を得て、オープンデータ憲章の策定にリーダーシップを発揮した結果だと思われます。

一方、米国はオバマ大統領が2009年にOpen Government Directive を発行したのを皮切りに、これまで政府機関に対してさまざまな種類のデータ公開を求めてきました。やはりその大部分もG8のオープンデータ憲章に反映されています。つまり、オープンデータ先進国の英米はすでに実施済み、あるいは自国にて実施中のオープンデータ政策を改めてオープンデータ憲章として今回のG8に提案し、他国から国際合意を取り付けたとも考えられます。

G8首脳コミュニケにわざわざ技術的文書Technical Annexを添付して公開すべきデータを明記したのは、英米がこれらのデータを自国にとって経済的価値が高いデータであるとみなしているからです。オープンデータ先進国である英米は、ビジネス化する上で重要な経済的価値の高いデータを世界標準として定めることで、国内のオープンデータビジネス市場のみならず、G8をはじめとする海外のオープンデータビジネス市場への参入をも視野に入れています

例えば2013年6月13日、台湾のQuanta Computer(広達電脳)は英国のOpen Data Institute(ODI)と業務提携を結び、ODIのメンバーとなりました。Quanta ComputerはノートPCの受託生産大手企業で、今後はODIとクラウドコンピューティング分野やオープンデータの推進に協力していきます。ODIは公設民営のような組織で、運営については一般の営利企業とほとんど変わりません。ODIのCEOガービン・スタークスはスタートアップ育成のプロ中のプロで、実績も豊富です。

この提携に関して、British Trade and Cultural Office (英国貿易文化弁事処)のクリス・ウッド所長は2013年6月19日の記者会見において、「今回の提携を通じてオープンデータの最新動向が台湾に伝わり、産業のイノベーションにつながるだろう」と指摘し(NAA)、「インフラ構築、鉄道と地下鉄、サービス産業、情報と通信技術、クリエイティブ産業において、英国と台湾はさらなる協働を推進する」と共に、英企業の台湾投資を積極的に支援していく意向を表明しました(BBC)。

英国がオープンデータを英企業の海外進出にとって非常に重要な要素と位置付け、国家戦略として推進していることは明らかです。今回のG8におけるオープンンデータ憲章の合意は、そのための周到な地ならしと見ることもできます。世界でオープンデータ運動が高まり、公的機関をはじめとするさまざまな機関が経済的な価値の高いデータを公開しはじめたときに、どうしたら世界のビジネスにおいて主導権を握ることができるのか、オープンデータ先進国の英米はそこまで視野に入れて行動しています。

 

参考:

  • UK wants more trade, energy, infrastructure ties with Taiwan – diplomat(BBC)
  • 広達電脳、英ODIとオープンデータで提携(NAA)

 

G8再考(1)オープンデータ憲章

2013年8月15日 in Special

2013年6月17日から18日にかけて、イギリス北アイルランドのロック・アーンにてG8サミットが開催されました。日本ではほとんど報道されていませんが、今回のG8では透明性が3つの主要課題の1つに設定され、その中のサブテーマの1つとしてオープンデータに関する議論が行われました。オープンデータとは、主に公的機関が保有するデータを公開することによって、政府の透明性向上や市民参画の促進、さらには新ビジネスの創造を目的とする世界的な運動です。

今回のG8サミットが日本にとってどんな意味を持ち、日本はどう対応しなければならいのかを、G8を振り返りながらもう一度考えてみたいと思います。

G8最終日に発表された首脳コミュニケでは、オープンデータ憲章をはじめとするオープンデータ推進に関する数々の合意事項が明記されました。G8で合意したオープンデータ憲章の概要は次の通りです。

  • ž   原則としてデータを公開すること
  • ž   高品質なデータをタイムリーに提供すること
  • ž   できるだけ多くのデータを、できるだけ多様かつオープンな形式で公開すること
  • ž   ガバナンス改善のためにデータや基準、プロセスに関する透明性を確保すること
  • ž   データ公開によって次世代イノベーターを育成すること

日本政府はG8の合意に基づき、2013年末までにオープンデータ憲章を実現するための行動計画を策定しなければなりません。さらに日本政府は、2015年末までにオープンデータ憲章並びにその技術的な詳細を定めた別添Technical Annexに明記されている項目をすべて実現する義務があります。G8の合意内容には、国際的な土地取引や天然資源採取に関する透明性確保のために公的機関が保有するデータを積極的に開示することや、開発援助の透明性について説明責任を果たすためにデータを積極的に公開することなども含まれています。

今回のG8では、日本政府は国際会議という公の場で、オープンデータ憲章を守るという国際公約をしたことになります。

イギリス政府、支出をビジュアル化する新ツールをリリース

2013年7月31日 in News

イギリス政府が支出データをビジュアル化する新しいツール、GISTのβ版をリリースしました。GISTとは、Government Interrogating Spending Toolの略で、OSCARQDSという2種類のツールが含まれています。

OSCARとは、Online System for Central Accounting and Reportingの略で、イギリスの大蔵省(HM Treasury)が政府全体に渡って、主要な会計情報やデータの公式報告のために利用している財務報告システムです。QDSとは、Quarterly Data Summaryの略で、各部門の支出に注目して政府各部門の四半期ごとの支出額をビジュアル化してわかりやすく表示するツールです。もちろんロウデータもダウンロードできます。

Open Knowledge Foundation(UK)は、政府の無駄使いを追及したり、非効率を非難するだけでなく、市民も共に考えましょうブログで呼びかけてます。そのためには、さまざまな観点から予算を視覚化できるツールがあった方が良いとOpenSpendingも考えています。市民と政府が共に当事者として予算の使い道を考えるために、ハッカソンなどでもっといろいろな観点から支出や予算の財務データを分析できるツールを生み出していきましょう。

参考: What’s the deal with the UK government’s new spending tool?

7月4日は『消費者独立記念日』、イギリスでmidata innovation lab始動

2013年7月16日 in Special

2013年7月4日、民間企業が所有している消費者に関するデータを開放し、革新的な新サービスを生み出すプロジェクトmidata innovation lab(mIL)がイギリスで始まりました

midataとは2011年に始まったプロジェクトで、消費者が民間企業の持つ自分の個人データに自由にアクセスできるようにすることを目指したものです。2012年11月にオープンデータを推進しているOpen Data InstituteMidata Hackathonを開催したことをきっかけに、オープンデータの領域を民間所有の個人データにまで拡げる運動として注目されるようになりました。

mILとは、このmidataの取り組みを本格的に進めるために、ビジネス・イノベーション・職業技能省(Department for Business, Innovation and Skills, BIS)が開始したプロジェクトです。mILの目的は、midataの活動を通じて開放される消費者データを活用し、消費者中心のアプリケーションやサービスを実際に開発してその効果を検証することです。イギリス政府はmILが消費者にとっても国の経済成長にとっても有益であると考えています。

mILはこのプロジェクトが、消費者が自分のデータに対する権利を民間企業から取り戻し、自らの意思に基づいて自分のデータの活用方法を決定できる画期的な取り組みであることから、mILがオープンした7月4日を『消費者独立記念日』と宣言しました。

mILには1000名の消費者がボランティアとして自らの個人データを提供しています。ボランティアが提供しているデータは、名前・運転免許証・パスポート・メールアドレスなどの自分自身に関するデータ、所有している自動車や不動産、銀行やクレジットカードの取引履歴、モバイル・電話・ブロードバンド・TVの請求書情報、電気・ガス・水道などの公共料金の請求書などです。ボランティアはどのデータを提供するか選択することができますが、mILは消費者個人のデータを利用して消費者個人に対して新しいサービスを開発することが目的であるため、匿名化などの処置は行われません。詳しくは以下のビデオをご覧ください。

 

 

消費者のデータはPersonal Data Store(PDS)という個人データをオンラインで管理するためのストレージで厳重に管理され、mILが厳選した設立パートナーだけがPDSを通じて消費者データにアクセスすることができます。さらに、ある一定のデータに関しては、ODIが慎重に審査した上で、独立系アプリ開発者にアクセスを許可する場合もあります。

設立パートナーは、AimiaAllfiledAtlantic customer solutionsBBC, Department for Business Innovation & Skills, CognesiaCtrl-ShiftGfKGrappleInformation Commissioner’s Office (ICO), IRM; Moneysupermarket.com, MydexnpowerOpen Data InstituteOfgemPaogaTelefonicaUniversity of SouthamptonUCLVerizonWhich?, O2です。

mILは、消費者データ活用による便益や経済効果と、プライバシーとの最適なバランスについても、このプロジェクトを通じて検証します。mILに関心があり、アプリケーションを開発してみたいという開発者や企業は、Developers Infoから応募詳細を問い合わせることができます。オープンデータの最前線に是非挑戦してみてください(※私も現在問い合わせ中です)。

 

データポータルの1つのお手本、data.police.uk

2013年7月4日 in News, 未分類

イギリスでオープンデータを推進している組織、Open Data Institute(ODI)が推奨するベストプラクティスと基本原則に従った、お手本のようなデータポータルdata.police.ukが立ち上がりました。その名が示す通り、このデータポータルはイギリスの犯罪や警察に関するデータを公開しています。

以下では特徴的な機能をいくつかご紹介します。いずれの機能も単に「データを公開する」というだけにとどまるのではなく、「データを使ってもらう」という利用者視点からデザインされているのがよくわかります。シンプルですが、使いやすい、優れたデータポータルの一例です。

 

カスタマイズ

データを日付で絞ったり、管轄の警察を選んでダウンロードすることができます。

 

大量ダウンロード

2013年5月の全データ740MBを一度にダウンロードすることができます。

 

更新履歴

更新履歴を2013年1月までさかのぼってみることができます。

 

APIに関する優れたドキュメント

データの出所、品質保証、匿名化、問い合わせする際の連絡方法などに関する情報が提供されています

 

参考: Crime and Policing Open Data Portal in UK

Open Government Licence v2.0リリース、Non-endorcementを明記、OGLシンボルを導入

2013年7月1日 in News

イギリス国立公文書館(National Archives)は6月28日、Open Government Licence(OGL) v2.0をリリースしました。ライセンスの本文はこちらから参照できます。

OGL v2.0はOGL v1.0の基本的な用語や条件を引き継いでおり、大きな変更はありません。変更点は、Non-endorcementの項目を新たに設けてより明確に示したことと、OGLシンボルを導入したことです。

なお、v1.0で公開あるいは利用しているデータは、そのまま変更なく使えます。

 

出典: Open Government Licence v2.0

抗生物質耐性がG8サイエンスミーティングのトップアジェンダに、オープンデータで新薬開発を加速

2013年6月12日 in News

イギリスで開催されるG8のサイエンス・ミーティングでは、抗生物質に対する耐性問題がトップアジェンダとなる見込みです。イギリスのデビッド・ウィレッツ大学・科学担当大臣は、新しい抗生物質の開発と効果的な使用方法を見出すために、G8各国がどのような協力ができるのかを話し合いたい意向です。

公衆衛生における最も深刻な問題の1つは、ほとんどの抗生物質が効かない”Superbugs”と呼ばれる抗生物質耐性菌です。専門家は”Superbugs”によって日常的な感染でさえ治療不可能になる日が急速に迫っていると警告しています。実際に世界では毎年、多剤耐性結核が約44万件発生し、約15万人が死亡しています。

2011年にイギリスでは6件の多剤耐性結核が発生し、1995年以来最悪の状態となりました。一方で、過剰な抗生物質投与が薬剤耐性を増やす原因にもなっており、欧州疾病予防管理センター(European Centre for Disease Prevention and Control)は、病院で処方される抗生物質の約半分は必要ないと試算しています。

ウィレッツ大臣は、公衆衛生のような世界規模の問題を解決したり、研究成果を社会的・経済的に最大限活用するためには各国が協調して取り組む必要があり、今回のG8では抗生物質に対する耐性問題を是非議論したいと述べています。さらにウィレッツ大臣は、オープンデータと研究成果に対するオープンアクセスも国際的な重要課題であり、政府の透明性の根幹をなすだけでなく、新薬などの科学的な新発見を加速させ、経済成長をもたらすものであるとも指摘しています。

EUでは2008年1月から2012年6月にかけて、多数の医療機関が保有するデータを集めて解析し、抗生物質耐性と闘う方法をEU加盟国の14の医療機関が協働で発見するDebugITプロジェクトを実施し、大きな成果を上げました。イギリスの医療機関もDebugITに参加しました。ウィレッツ大臣はDebugITのG8版、あるいはワールドワイド版も視野に入れているかもしれません。

さらにイギリスでは先日、Guardianがオープンデータをもとに一般開業医が処方した抗生物質の量を計算し、地図にマッピングして公開しました。イギリスでは不要な抗生物質の投与を減らすために、こうしたオープンデータに基づく情報を活用できる状態に既にあります。

G8加盟国はカナダ、フランス、ドイツ、イタリア、ロシア、イギリス、アメリカ、日本です。日本とロシア以外は、いずれもオープンデータ先進国です。さらに、グラクソ・スミスクラインやロシュなど民間企業の治験データの公開も、新薬開発をスピードアップします。日本が国際的な活動から取り残されないために、官も民も一刻も早いオープンデータ化が望まれます

 

参考:

イギリス国際開発省、国際援助資金追跡ツールを開発

2013年6月6日 in News

イギリス国際開発省(Department for International Development, DFID)は、国際援助資金の使い道を追跡できるツール”Development Tracker“を開発しました(現在はパブリックβ)。Development Trackerは約7000にも上る個々の国際支援活動を、約3000のプロジェクトにグループ分けし、各プロジェクトについての総予算、予算執行実績、援助を受け取った人や団体、プロジェクトの開始経緯がわかる計画書、進行状況を示すレビュー記録などを見ることができます。

Development Trackerによって、NGOは自分たちの活動地域で他にどのような支援活動が行われているのかを容易に知ることができ、活動の重複を避け、未支援地域へ重点的に支援することができるようになります。さらに貧困統計など他のデータと重ね合わせることによって、より精密な支援計画を立てることが可能となります。

DFIDは以前から、国際援助に関する透明性を確保する枠組みである国際援助透明性イニシアティブ(International Aid Transparency Initiative, IATI)の標準に従ってデータを公開してきましたが、こうしたデータを一般の人々が理解するのは容易ではないことからDevelopment Trackerの開発に踏み切りました。

DFIDの開発者によれば、Development Trackerの最大の特徴は、どのプロジェクトにいくら使われたというだけではなく、実際に誰がいくら援助資金を受け取ったかについても調べることができる点です。例えば、”Global Poverty Action Fund”というプロジェクトでは、Partnersというタブを開くことによって、Tearfundという組織に110万ポンドあまりが渡っていることがわかります。

現在、DFIDは信頼できるデータ源からデータを入手し、それをDFIDがIATI標準に変換して公開していますが、次の段階としてデータ提供者にIATI標準の採用を働きかけ、さらにデータ源のネットワークを拡げていく計画です。

出典: DFID’s Development Tracker, mapping the UK’s aid spending, launches in beta